
IT業界から転じて小金井市に入庁し、納税や感染症対策など多岐にわたる分野で実務を積み重ねてきた堤 直規さん。キャリアコンサルタントとしても活動し、多くの公務員に寄り添い続けてきました。そんな堤さんのロングセラー『公務員1年目の教科書』が、このたびマンガとして生まれ変わります。イラストを手がけたのは、自治体職員として広報やデザインに携わった経験をもつ漫画家・中林 まどかさん。新人公務員のリアルな悩みや成長、先輩・上司との関わりを描き出すことで、「信頼される公務員」へと歩み出す姿を、より身近に、より楽しく感じられる一冊となりました。執筆の背景にある堤さんの想いや、中林さんの工夫にもご注目ください。
※著者の所属先および役職等は2025年9月公開日時点のものです。
※記事の掲載情報は公開日時点のものです。
【著者】
堤 直規(つつみなおただ)さん
東京都小金井市
子ども家庭部長
【プロフィール】
東京学芸大学教育学部卒業、同大学院社会科教育学専攻修了。IT関係を経て、2001年に小金井市役所入庁。納税課長、新型コロナウイルス感染症対策担当課長等を経て、2023年から現職。キャリアコンサルタント(国家資格)、(一社)公務員研修協会理事・認定講師。著書に『公務員1年目の教科書』『公務員の「異動」の教科書』など
【マンガ】
中林 まどか(なかばやし まどか)さん
元つくば市職員
つくばを拠点に活動するイラストレーター・漫画家
【プロフィール】
筑波大学大学院人間総合科学研究科 芸術専攻 修了後、5年間つくば市職員として勤務し、事務のほか、市の広報・プロモーションにかかる様々なイラスト・マンガ・デザインなどを担当。独立後も、地域の魅力発信に関わりながら、自治体・教育分野を中心にイラストやマンガ制作を行っている。
【書籍】学陽書房
マンガでわかる!公務員1年目の教科書
堤 直規(著)
中林 まどか(マンガ)
【本の内容を要約すると?】
すぐ役立つ!ずっと使える!新人も先輩も知っておきたい、ちょっとした、でも、とても大切な仕事のコツ。
サクラ市に入庁した新人・星野 あおいが、先輩・上司たちの助言と励ましを受けながら「信頼される公務員」を目指して成長していくストーリー。中林さんによる魅力的なキャラクターとストーリーで、読みやすくわかりやすく描かれています。
もっと気軽に多くの人に知ってもらえたら!
お陰様で、原著『公務員1年目の教科書』(学陽書房)は、2016年の刊行から12刷を重ねるロングセラーとなりました。
新入職員の「強み」は急成長できること。そして、この時期の「学び」がその後の長い公務員人生を、自分らしく前向きに歩んでいける土台になっていると、多くの職員からの相談と自身の体験を通じて感じていました。原著を執筆したのは、私が失敗や先輩・上司のお陰で学んだ、自分らしく働いていける土台となるコツをお伝えしたかったからです。また、原著は、新入職員への贈り物とされることも多いと聞いていました。
マンガ化は編集者からの提案でしたが、私としても、マンガ化することで、より多くの人に気軽に楽しく読んで役立ててもらえたら。また、主人公と先輩・上司たちの関わりを通して、新入職員の育成に当たる方々にもより役立つものとできれば。せっかくなら楽しいストーリーで。そう思ったのが本書をつくるきっかけでした。
主人公・星野 あおいの成長と先輩・上司の関わり方
何といっても、中林さんによる魅力的なキャラクターとストーリーが最高です!
主人公・星野 あおいが悩んだり、頑張っている姿に「うんうん」と頷き、指導役・上條 美咲の関わり方に「自分もあのときこうできたらなあ」と思ったり、上司・工藤 浩彰の見守る姿にかつての上司たちを重ね合わせたり。ぜひ感情移入しながら読んでいただければと思います。その「体験」がきっと再発見や学びにつながると考えています。
マンガ化されたことで、新入職員の気持ちや成長過程、それに対する先輩・上司・職場としての関わり方が「見える化」され、それぞれの視点で楽しめ、学べるものになったと思っています。マンガの中林さんのご尽力のたまものですが、特に新入職員の気持ち等を大事に描いたと言っていました。
本書は、原著をもとに、「最初の1か月」「序盤の1か月」「後半の6か月」「公務員の土台」づくりで特に大事なことを、オリジナルストーリーでマンガ化しました。たとえば、第1話は“朝イチ”からよい仕事のスタートを切るコツについてで、主人公は周囲に聞いたりしながら「スムーズに仕事を始められる工夫」「気持ちを上向かせるコツ」「忙しくても迷わない方法」があることに気づきます。この「朝イチ」のコツ・習慣は、プライベートを含めてもっと忙しくなったときにも役立ちます。マンガで取り上げられなかったコツは、各章末の「解説」で説明しました。
この本は、直接的には新入職員向けです。仕事や職場で戸惑うとき、分からないことがあったとき、また本書を読み返して、公務員の仕事への自信や前向きな気持ちを取り戻してもらえたらと思っています。その学びが、自分らしく働いていく「カギ」になりますから。そして、新入職員の育成に関わる先輩・上司の方にも。指導役・上條美咲や上司たちは、単に業務上の知識やスキルを「教える」のではなく、主人公の気持ちに寄り添い、その主体性を引き出すよう努めています。みんな忙しい中ですけれど、その中で何ができるか、こんな温かい職場だといいなあと願いを込めました。本書をご参考に、育とうとする新入職員をみんなで励まし支える職場を、ぜひつくっていただけたらありがたいです。
総人口・労働者人口の減少が進む中、新入職員は次代を担う「宝」です。ぜひ、希望をもって前向きに楽しく、公務員人生を歩んでいただくために、本書を役立てていただけたらありがたいです。
仕事の「面白さ」「大切さ」をぜひ新入職員に伝えたい!
「公務員って、本当に大変だなあ」。2001年に転職して、そう戸惑ったのを覚えています。
キャリアコンサルタントとして考えても、公務員という職業には様々な難しさがあります。「やりがいを感じにくい」「成長を実感できない」というご相談をよくいただきます。でも、やはり公務員は素晴らしい職業ですよね。そんな「面白さ」「大切さ」をつくり出し、新入職員に伝え、多くの方々とも共有できたらいいなと思っています。
ジチタイワークスには、前向きに取り組んだ仕事の記事、取り組んでいる自治体や事業者の皆さんの笑顔があふれていて、いつも私も元気をいただいています。どこかでお目にかかったら、ぜひお声かけください!
新人の気持ちに寄り添うマンガでこれからの公務員人生を応援!
公務員一年目は、新しい環境で、初めてだらけの仕事の毎日に期待と不安が入り混じる一年間だと思います。思い描いていたように仕事ができず、自信を無くしてしまう日もあるかもしれません。かつて自治体職員だった私も、そうでした。このマンガをつくるにあたっては、伝えたいポイントを物語に盛り込むだけでなく、そうした新人の気持ちに寄り添い、リアルに描くことを大切にしました。
また、せっかくマンガにするのだから面白くなければ意味がない!という思いから、物語の組み立てや登場人物たちの設定、細かい部分での「公務員あるある」など、楽しく読んでいただける工夫を詰め込んでいます。
気軽に手に取って読んでいるうちに、大切なことが学べて前向きな気持ちになれる、そんな一冊になるよう心を込めて描きました。本書を読んで、これからが楽しみだと思ってもらえたらこれほど嬉しいことはありません!