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バランスボールを活用した運動プログラム
元気に働きつづける上で運動習慣を身に付けることは大切だが忙しいと時間が取れず、手間がかかると続けづらい。福岡市ではバランスボールを事務椅子代わりに使って、公務災害の原因にもなる転倒の予防に役立てているそうだ。
※下記はジチタイワークスVol.36(2025年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]株式会社ルネサンス
福岡市
総務企画局 人事部 職員健康課
右:課長
松田 孝子(まつだ たかこ)さん
中央:安全衛生係 係長
佐藤 仁美(さとう ひとみ)さん
左:補償係 係長
公門 未佳(くもん みか)さん
“転ぶ人”を減らすことで、公務災害の発生を抑えたい。
45歳を超えた職員の公務災害が多く、課題だったという同市。「過去をさかのぼると、公務災害の原因のうち約4分の1が転倒で、60代は転倒した人の約半数が骨折していました。年齢が上がるにつれて、下肢筋力が衰えていくことが原因だと推測されます。何らかの対策が必要だと感じていました」と職員健康課の松田さんは振り返る。
そんな中、同市の公民連携窓口を通じて「ルネサンス」から提案を受けたのが、バランスボールを活用した転倒予防の取り組みだった。「業務中に座っているいつもの椅子をボールに替え、休憩時間に簡単なエクササイズをすることで、下肢筋力やバランス感覚の向上が期待できるという話でした。“仕事をしながら”できる点が魅力的で、時間のない職員でも取り組みやすそうだと思ったのです」と佐藤さんは話す。
また、実施前には安全性にも注意を払ったという。「実証実験でのけがは避けたかったのですが、同社のボールは固定リング付きのため転がりにくく、急な破裂を防ぐ設計でつくられていると聞きました。試してみると確かに安定感があり、椅子にできると実感しました」。そうして令和6年4月に協定を結び、効果を測るための3カ月間の実証実験が始まった。
実証実験の参加を庁内で募ると定員の約1.5倍の希望者が殺到。
まずは、参加希望者を“日常的に運動習慣がない40歳以上”という条件で募集。庁内のイントラネットで告知したところ、すぐに申し込みが入りはじめ、定員100人に対し152人もの応募が集まった。30代も対象にしてほしいとの声や、課全員で申し込んだ部署もあり、予想を上まわる反響だったという。
参加職員が確定した後は、同社による初回の転倒リスク測定会を庁内で実施。3つの体力測定で職員の現状を数値化し、エクササイズのレクチャーも行われた。「運動に対して前向きになれる言葉をかけてもらい、参加者のやる気も高まったようです。今まで受けた研修の中で一番楽しかったという声もありました」と公門さんは笑顔を見せる。
その後、3カ月間はボールを椅子代わりに座りつづけ、休憩時間には各自でエクササイズに取り組んだ。期間中は、参加者同士でグループチャットを作成して、悩みや疑問を共有した。“暑いと蒸れて汗をかいてしまう”という声に対して“タオルを敷くといい”といったアドバイスが寄せられるなど、自然と交流が広がったそうだ。さらに、同社から定期的に励ましのメッセージやエクササイズ動画を送ってもらったことが、職員のモチベーションの維持に役立ったという。
結果の“見える化”によって、参加者の満足度が上がった。
3カ月後に再び測定会を実施したところ、全てのテストで数値の向上が見られたという。「参加者からは“姿勢がよくなった”“肩や腰の痛みが改善した”などの声が多かったですね」。また、テストで効果を数値化した意義も大きいそうだ。中間アンケートでは“効いている感覚があまりない”というコメントもあったが、数値で可視化されることで実感でき、実証実験を機に運動を始めた職員もいたそうだ。
その後、参加者の約8割が期間延長を希望し、効果を知った他職員からの要望もあり、2回目の実証実験を行うことに。「時間がない中でも無理なく続けられて、運動習慣づくりにぴったりだと思います。定年延長で高齢の職員が増えていくので、今後も職員の健康づくりの取り組みは続けていく予定です」。
バランスボールは、人をつなぐ役割も果たしているという。「座っている姿を見た他部署の職員から話しかけられ、職員同士のコミュニケーションが生まれたという話を聞きました。私の上司はミーティングテーブルにボールを2つ用意して打ち合わせの際にも使い、会話も弾んでいるそうです」と松田さん。転倒災害を減らすために始まった同市の取り組み。“バランスボールに座りながら”という働き方が、庁内に新しい風を吹かせているようだ。
■福岡市での実証実験の内容と効果
3カ月間、業務中に座る椅子をバランスボールに置き換え、休憩時間に簡単なエクササイズを実施。取り組み前後の体力測定で効果を検証したところ、全ての項目で向上が見られた。
■ルネサンスが選ばれる理由
プロのトレーナーが携わって企画開発
フィットネスクラブのトレーナーが体のことを考えて開発したプログラム。
安全性を考慮してボールを設計
固定リングで転がりを防ぎ、穴が開いても破裂せず、少しずつ空気が抜ける設計。
ボールのサイズとカラーが豊富
使う人の身長や好みに合わせて、サイズは4つ、カラーは8色から選べる。
バランスボールの導入実績あり
和歌山県田辺市をはじめ、全国12自治体で導入済み。
※令和6年11月 ルネサンス調べ