ジチタイワークス

長野県天龍村

持続可能な村づくりを目指し、環境に配慮した設備を導入。

EVリユースバッテリー型蓄電池システム

天龍村は、令和4年度に完成した総合体育施設に、太陽光パネルとEVのリユースバッテリーを使用した蓄電設備を設置した。太陽光では発電できないような悪天候のときでも、一定時間は電力を安定供給できるように備えているという。

※下記はジチタイワークスVol.34(2024年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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左から
天龍村
村長 永嶺 誠一(ながみね せいいち)さん

天龍村小中併設校
校長 野竹 国雄(のたけ くにお)さん

3事案の検討を同時に進めたことで新設備の導入がスムーズに決まった。

ゼロカーボンに向けた取り組みの一環として、公共施設などに太陽光発電設備を設置する自治体が増えている。環境省の調べでは、令和5年度時点で81.5%の自治体が、導入済みあるいは導入検討中という。ただ、豪雨時など太陽光で発電できないときも、多くの電力が必要となる避難所などは、“蓄電”の設備も備えておくことが重要といわれている。同村も、太陽光パネルと「日東工業」が提供する産業用太陽光自家消費蓄電池システム「サファLink-ONE-(リンクワン)」を組み合わせて、天龍村小中併設校の体育館に設置。「同校は、児童生徒数が減少していたため令和6年度に小・中併設校となった学校です。同校体育館は、老朽化が進んでいた村民体育館の代替施設となる総合体育施設として兼用するため、令和4年度に大人も使える規格に建て替えました。これに伴い、村の指定避難所も同体育館に変更し、万が一に備えて発・蓄電設備を導入することになったのです」と永嶺さん。

「幸い、この地域で大規模災害が発生した記録は、ほとんどありません。ただ、自然災害が頻発する近年の状況を見ると、耐震基準を満たした防災拠点が必要だと強く感じていました」。小・中学校の併設、村民体育館の建て替え、新防災拠点の検討がほぼ同時に進行。さらに、環境省の補助事業に採択されたことで、導入はスムーズに決まったそうだ。

※環境省「令和5年度地方公共団体における地球温暖化対策の推進に関する法律施行状況調査 調査結果報告書」より

環境配慮型の仕組みが、自然を大事にする村の意向に合致した。

同村が導入した蓄電池システムは、国産EVの使用済みバッテリーを再製品化したリユースバッテリーを搭載している。リユースなら資源を再利用できる上、製造工程で排出されるCO2の削減にもつながるというわけだ。さらに、もともと車に搭載されていたので、高温下でも動くように設計されている。そのため冷却器を付加する必要もなく、ためた電気を有効に活用できるそうだ。

今回、発・蓄電設備の施工を担当したのは、以前から太陽光発電機器の設置などで付き合いのあった地元の事業者。「環境配慮型の画期的な蓄電設備があると聞き、ぜひ進めてほしいと依頼しました」。令和6年1月から運用開始した同設備は、太陽電池パネルが計156枚と、容量104.4kWhの蓄電池システムで構成されている。

永嶺さんは「当村は、“高齢化社会のモデル地域”でありたいと思っています。そのため、実証実験などを行う機会があれば、当村を活用してもらいたいと知事に伝えたこともあります。また、都会にはない自然環境を守ることが、持続可能な村をつくっていく上で重要だと、村全体で共有していました」と村づくりへの思いも話してくれた。

子どもたちの環境保全意識を身近な設備を通じて高めたい。

同校の太陽光パネルは、晴天であれば、冬場でも校舎や体育館の暖房用電力をまかなえる発電量を有している。「屋根の上の太陽光パネルや敷地内の蓄電設備を実際に眺めることで、校内で使っている電気が生み出されていることを実感できます。小学校の高学年の社会科に、環境教育の単元が盛り込まれますが、教科書だけで学ぶよりも理解が深まると期待しています」と野竹さん。社会科の担当教諭もこれらの設備を、今後どのように授業に活かすか検討を進めているそうだ。また、校内の体育館が、発災時には約200人収容可能な避難所となることも、折に触れて児童生徒たちに説明しているという。

続けて野竹さんは「これから先の時代、村の自然を守り、環境保全の取り組みを実践するのは子どもたちです。太陽光発電はもちろん、バッテリーをリユース活用している蓄電設備も身近にあることで、環境保全に向けた意識が少しでも高まってくれればと思っています」と期待を込めた。

導入後のサポート

●任せられる10年間保証

リユースバッテリーをはじめ、付属機器の故障に対する保証がある。

●様々な保守サービス

コールセンターや年次点検サービス(オプション)などのサポート体制も用意されている。

自治体の課題に合わせてサービスを提供

同社ではサファLink-ONE-のほか、EV充電器や電動車から非常時に給電可能なV2H(EV放電器)盤の相談も可能。詳しくは問い合わせを。

※Vehicle to Homeの略。車のバッテリーから、家に電気を供給できるもの。

お問い合わせ

サービス提供元企業:日東工業株式会社

EMS事業室

愛知県長久手市蟹原2201

TEL:0561-64-0031

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