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公務員でもふるさと納税はできる?制度の概要と活用法を改めて解説!

直接的な節税対策ではなくとも、メリットがあるとされるのが“ふるさと納税”だ。毎年、利用者が増えて人気のある制度だが、正しく利用しなければかえって損をすることもあるという。

そこで今回は、改めてふるさと納税の仕組みや注意点について、元東京国税局職員のマネーライター小林 義崇(こばやし よしたか)さんに教えてもらった。

※本記事は、資産形成に対する理解を深めるための情報提供を目的としており、いかなる投資の推奨・勧誘を行うものではありません。

解説するのはこの方
小林 義崇 (こばやし よしたか)さん
大学卒業後、東京国税局の国税専門官として、都内税務署や国税局などに13年間勤務。相続税調査をはじめ、確定申告の相談対応や不動産売買、証券取引にかかる税務も経験し、「お金持ちはなぜお金持ちになれたのか」社会のリアルを知る。退職後は、マネージャンルの記事執筆を中心に活動。

著書に、『僕らを守るお金の教室』『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)などがあり、累計の販売部数は25万部超。

ふるさと納税の利用者が急増中!

ふるさと納税の制度が導入されたのは、平成20年のことです。ふるさと納税の利用件数は近年急増し、令和5年度の受入件数は、5894.6万件に達しました。これは、10年前と比べて100倍を超える水準です。また、ふるさと納税受入額も初めて1兆円を超えました。

[ ふるさと納税の受入件数および受入額の推移(全国計)] 
ふるさと納税の受入件数および受入額の推移(全国計)
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和6年度実施)」資料(https://www.soumu.go.jp/main_content/000960670.pdf


この驚異的な伸びは、ふるさと納税の手続きが簡素になったこともありますが、“おトクな制度”という認知が広がったことが何より大きいと考えられます。

しかし、実際にどれくらいおトクなのかを正確に知っている人は、それほど多くないのではないでしょうか。そこで、ここからは、ふるさと納税のメリットである“減税”と、“お得な返礼品をもらえる”という2点について解説していきます。

ふるさと納税の仕組みを知る。

ふるさと納税は、その名前から誤解されがちですが、実際は“納税”ではなく“寄附”の一種です。地方自治体に寄附をし、寄附金控除を受けられることが、ふるさと納税の本来の意味です。

また、“ふるさと”と名前についていますが、寄附先は自分の出身地などに限定されず、全国の地方自治体から選択することができます。地方自治体に寄附をし、確定申告もしくはワンストップ特例による手続きを行うと、寄附額のうち2,000円を超える分が、翌年の住民税・所得税から控除されます。

例えば、10万円を寄附した場合、9万8,000円分が寄附金控除の対象となり、自己負担は実質2,000円となるイメージです。ただし、自己負担額を2,000円に収めるには、後述する“上限”のルールに注意する必要があります。
 

[ 控除額の計算 ]
ふるさと控除額の計算
出典:総務省「ふるさと納税ポータルサイト」税金の控除について
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

ふるさと納税は何がお得なの?

ふるさと納税は、少なくとも2,000円の自己負担が生じるため、そこだけ見ると金銭的に損をしていると思う人もいるでしょう。

しかし、多くの地方自治体は、寄附者に対し独自の返礼品を用意しています。例えば、地方の特産物や旅行券、日用品など豊富な種類の返礼品があり、返礼品を目的に寄附を行うことが可能です。

“自己負担額2000円で返礼品をもらえる”と解釈すれば、おトクな制度であることが理解できるでしょう。なお、返礼品の内容は地方自治体により差がありますが、“寄附額の3割以下”と定められています。そのため、次のように計算をすることで、ふるさと納税のおトク度を大まかに把握することが可能です。
 

【寄附額7万円の場合】
・返礼品の上限価値は、2万1,000円(7万円の30%)
・実質負担額2,000円で2万1,000円相当の返礼品を獲得できる。

金銭的なメリットが注目されがちですが、ふるさと納税の魅力はそれだけではありません。選んだ自治体の発展に寄与できたり、普段接することのない地方を知る機会になったりすることも、ふるさと納税のメリットといえるでしょう。

寄附するなら“上限”に注意しよう。

ふるさと納税は魅力的な制度である一方、“上限”があることに注意が必要です。

ふるさと納税による減税効果には限度があり、所得や家族構成などによって決まる寄附額の上限を超えてしまうと、自己負担が2,000円よりも多くなってしまいます。

例えば、上限が3万円であるにもかかわらず、10万円を寄附したとしましょう。この場合、3万円分(10万円×30%)程度の返礼品を受け取れますが、自己負担は7万2,000円(2,000円+上限超過分7万円)となり、損をする結果になります。

ご自身の寄附上限額を調べる際は、ふるさと納税のポータルサイト内にあるシミュレーション機能を活用すると便利です。寄附をする年の収入情報などを入力すると、寄附上限額の目安が表示されます。

このように、メリットのあるふるさと納税ですが、先日、ジチタイワークスが調査した公務員のふるさと納税実施有無アンケートによると、ふるさと納税をやっていない人の中で、約2割がふるさと納税をしていいのか不安に思っているようでした。

もちろん、他の自治体へ寄付をすることでまちの税収が減ることを懸念される方もいらっしゃるかもしれません。

たしかにそうした影響は気になるところですが、公務員がふるさと納税の利用を禁じられているわけではありません。減税効果を得る上で、年収がある程度決まっている公務員や会社員の場合、寄附上限額を把握しやすいため、ふるさと納税をフル活用しやすいといえるでしょう。

ふるさと納税の手続きは2通りある。

最後の注意点は、寄附をした後の手続きをきちんと行うことです。手続きの方法は確定申告が原則ですが、会社員や公務員など給与所得者の場合、寄附先の自治体が5つ以内であれば「ワンストップ特例」という方法を選ぶことができます。

ワンストップ特例は、寄附先の自治体に申請書を提出することで、確定申告を省略するための簡易な方法です。確定申告を行う予定のない給与所得者の方は、ワンストップ特例を使ったほうが簡単に手続きできるでしょう。
 

【確定申告をする場合の手順】
1. 寄附をする自治体を選ぶ。
2. ふるさと納税をし、受領書を受け取る。
3. ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに、住所地を所轄する税務署に確定申告を行う。

 

ふるさと納税ワンストップ特例が適用される場合
※総務省「ふるさと納税ポータルサイト」ふるさと納税トピックスをもとに当社作成
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/topics/20150401.html#block02


【ワンストップ特例を利用する場合の手順】
1. 寄附する自治体を選ぶ。
2. ふるさと納税をする。
3. 寄附先にワンストップ特例の申請書を提出する。

ふるさと納税の手続きは、一度経験すれば難しいものではありません。おトクな制度ですから、検討されている方は、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

 

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