自動運転導入・運行のトータルサポート
高齢化や運転手不足が深刻化する中、公共交通の切り札として注目を集める自動運転。豊見城市では、路線バスを維持すべく、「NEC」を中心とする事業者4社と包括連携協定を締結し、自動運転バスの実証実験を行う計画だ。
※下記はジチタイワークスINFO.(2024年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[PR]日本電気株式会社(NEC)
左から
沖縄県豊見城市
都市計画部 都市計画課
参事 譜久山 誠(ふくやま まこと)さん
班長 安慶田 淳(あげだ じゅん)さん
主査 並里 陽子(なみさと ようこ)さん
住民の生活に欠かせない大切な路線を、自動運転バスの活用で維持したい。
全国各地で路線バスの減便や廃止が相次ぎ、地域交通の維持が難しくなっている自治体は多いだろう。“生活の足”がなくなると、たちまち住民の暮らしは不便になる。そんな中、同市が注力しているのが、市内を一周する路線バスだ。「市役所や商業施設、観光地などを結ぶ大切な路線が、運転手の高齢化などで維持できなくなるのではという危機感がありました」と譜久山さん。さらには、マイカー依存による渋滞も交通課題の一つだったという。同市は世帯当たりのマイカー保有率が高く、隣接する那覇市への通勤や通学で渋滞が多く発生している。そのため、バスの定時性が低下し、住民アンケートでも不便だという声が上がっていたそうだ。
こうした課題がある中、NECを中心とした4社から自動運転バスの実証実験の提案を受けた。自動運転に必要な機能を備えたプラットフォームを活用した導入案に加え、自動運転の企画から実装までを一気通貫で支援する内容だったという。「自動運転を実現することができれば、運転手がいなくても便数を増やせて、バスの利便性が高まります。そうすると、自家用車からバスに乗り換える人が増えて渋滞が緩和され、バスの定時性や速達性が向上する。そういった好循環が生まれるのではと期待しました」。そうして、実証実験の計画を進め、令和6年5月に包括連携協定を締結したそうだ。
3カ月弱で補助金を申請し、事業に必要な予算を確保する。
実証実験を目指すにあたり、最初に障壁となったのが予算の確保だ。実施には、国土交通省の補助金を活用することになったが、自動運転に関する補助金の申請は初めてだった上に、申請期限まで3カ月弱しかない状況だったそうだ。「そんな中、補助金事情に詳しいNECに、申請書の素案作成から取りまとめまで、ほとんど全てをお任せできたので助かりました。当市が行った業務といえば、必要なデータの抽出や軽微な修正作業ぐらいです。各事業者との調整もしてもらえて予定通りに申請でき、無事に採択を受けることができました」。
ほかの面でも大いに助けられたと話す並里さん。「計画をつくるにも、どんな運行ルートが最適で、どんな準備が必要なのか、右も左も分からないところからのスタートでした。現地調査をして当市の希望に合うルートを複数提案してもらうなど、まさに“伴走”という形で支えてもらいました」。
“レベル4”運行の実現に向けて、民間チームとともに進んでいく。
同市では「とみぐすく祭り」が開催される令和6年10月、既存の路線バスの一部区間において“レベル2※1”での実証実験を予定している。距離は約10km、1日5本程度の運行を想定し、住民への周知活動も含めて、具体的な準備を進めているところだ。
同年5月に、協定締結をリリースした反響は想定以上に大きく、住民やメディア、ほかの自治体から多数問い合わせがあったそう。「住民からは、早く乗ってみたいといった声が多く、関心の高さを実感しました。将来的に一般化が見込まれる自動運転の技術を、身近に感じてもらえる機会になりそうです」と安慶田さんは期待を語る。
令和7年度には“レベル4※2”による約4㎞の運行を目指し、徐々に運行エリアを広げる計画だという。その実現のカギは“官民連携”にあると口を揃える。「自動運転については、他自治体を視察して情報収集をしていましたが、実際に当市で始められるのは、提案があったからだと思います」と譜久山さん。「自治体だけでは、地域交通の課題解決は困難です。民間企業には先進技術などの強みがあります。自治体が提案内容をしっかり判断し、かじ取りをしながら、危機感をもって一緒に進めていくことが大事だと感じます」と並里さんも力を込める。
※1 システムが前後・左右の両方の運転操作を支援。
※2 特定条件下でシステムが運転制御を実施。作動継続困難時等もシステムが応答。
各事業者の役割
自動運転技術や公共交通に精通した事業者が連携
NEC
全体の事業企画・推進、自動運転サービスプラットフォームの提供
■ 第一交通産業
自動運転バスの役務提供、将来的な自動運転事業の運営
■ 電脳交通
自動運転車両の遠隔監視者を提供
■ ティアフォー
自動運転車両およびシステムなど、自動運転に関する技術情報の提供
活用した交付金
国土交通省「地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)」を活用。
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