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無電柱化とは?国が推進する無電柱化のメリットと自治体事例の紹介。

道路の地下空間に電力線や通信線をまとめて収容したり、表通りから配線が見えないよう配置したりすることで、道路から電柱をなくす「無電柱化」の積極的な推進が進んでいる。無電柱化には大きくコストがかかるケースが多いものの、実現によって様々なメリットを享受できる。

本記事では、無電柱化とは何か、またそのメリットと無電柱化に着手している自治体の事例を紹介する。

【目次】
 • 無電柱化とは 

 • 無電柱化のメリットと課題
 • 無電柱化の事例紹介(京都市・つくば市)
 • 無電柱化は激甚化する自然災害対策としても重要

無電柱化とは 

無電柱化とは、道路から目に見える範囲に電柱や配線を見ないように敷設することを指す。無電柱化は、道路の地下空間に電力線・通信線などをまとめて収容する電線共同溝による電線類の地中化をはじめ、表通りから配線を見えないようにする裏配線などの手法により実現できる。

電柱が道路上にあることで、地震や台風、積雪などによって倒れた電柱が道路をふさいでしまうことがあるだけでなく、災害救助の遅れや断線による漏電・感電などの二次災害が発生するリスクもある。

これらの課題を解消しながら後述するメリットを享受できるとして、日本では昭和60年頃から無電柱化に取り組んでいる。しかし、欧米やアジアの主要都市と比較して、日本の無電柱化は遅れているのが現状だ。 

平成28年には、無電柱化の推進に関する法律が施行された。この法律では、自治体の責務についても明言されており、自治体は無電柱化の施策を迅速に策定・実施する責務を有するとされている。

さらには、令和2年12月に閣議決定された「防災・減災、国土強靱化のための5カ年加速化対策」 により、国は電柱倒壊リスクがある緊急輸送道路の無電柱化を進めている。

無電柱化のメリットと課題

無電柱化の実現により、自治体・市民の両者に様々なメリットが生まれる。しかし、実現にはいくつかのハードルを越えなければならないだろう。

ここからは、無電柱化によって享受できるメリットと併せて、迅速な実現を阻む課題について紹介する。

無電柱化4つのメリット 

無電柱化の実現により、主に次の4つのメリットが生まれる。

◆安全な通行空間の確保
道路上から電柱がなくなることで、歩道を広くとれるようになる。バリアフリー化も進めやすくなり、ベビーカーや車いすも通行しやすくなることは住民にとってメリットだ。

◆都市景観の向上
電柱や電線が見えなくなることで、都市の景観が向上することはメリットの一つといえるだろう。視界を遮断するものがなくなることで、空が広く感じられる美しい街並みをつくれるようになる。

◆災害発生時の安全性の向上
電柱が地上にある状態では、地震や台風などの自然災害の際に電柱の倒壊による事故・ケガや断線による漏電・感電など、二次災害の発生リスクが少なからずある。

無電柱化により、これらの危険性がなくなるほか、電柱倒壊による交通マヒを防ぎ、災害時の緊急車両の通行がスムーズになることもメリットだ。

◆情報通信ネットワークの安全性の向上
情報化社会の進展により、どの地域においても情報通信ネットワークが張り巡らされるようになった昨今、災害時の電柱の倒壊によるネットワークの遮断は個人だけでなく、多くの企業に影響をもたらしている。

電線類の地中化により、災害時の情報通信回線の被害が軽減され、無電柱化は、災害時の情報通信ネットワークの遮断を防ぐ観点でも重要だ。

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無電柱化にある4つの課題

日本の無電柱化が進まない背景には、コストの高さに加え、長期におよぶ工事や道路幅の狭さ、事業者などとの調整が困難なことにある。

◆コストが高い
無電柱化にあたり、電線共同溝を選択すると、1kmあたりの整備費用は約3.5億円にものぼる。小型ボックス活用埋設やケーブルを地中に直接埋設する直接埋設などより低コストで実現する手法も存在しているが、思ったように進んでいないのが現状だ。

◆工事期間が長い
無電柱化の一般的な方式である電線共同溝方式では、設計・手続きから舗装復旧工事 完了までに、で約7年もの期間を要することから、着手が難しいケースも少なくないようだ。

◆道路幅が狭い地域では工事が難しい
道路幅が狭い地域においては、施設の設備や電気を安全に供給するための設備である地上機器の設置場所の確保が困難なことから、無電柱化が進んでいない。解決策としては、直接埋設や電線類の一部を軒下や壁面に設置する軒下配線、裏通りから配線する裏配線など、多様な整備手法を検討・実施する方法がある。

◆事業者や地元との調整が難しい
無電柱化の計画は、事業者側の視点が中心となっており、生活者側の視点が不十分という現状がある。地域が望む合意形成を進めるためには、各地方ブロックや県、地元協議会に地元の代表者を含めるなど体制を構築すべきと国土交通省は指摘している。

また、地上機器の設置場所などの合意形成においても、地元との協議が重要だ。無電柱化をしても、地上機器が景観を阻害したり、地上機器の上にゴミが置かれたりしてしまうことがあるため、合意形成が進まないケースがある。

これらの課題は、住民への十分な説明や、地上機器の形状を工夫することで解決できる可能性がある。

無電柱化の事例紹介(京都市・つくば市)

ここからは、実際に無電柱化に取り組んでいる自治体の事例を紹介する。

case.1 歴史ある街並みを守りながら、狭小道路の課題を解決した京都市

京都市にある先斗町通では、狭小な道路での無電柱化に成功している。

先斗町通では、道路の幅員の狭さに加え、ガスや水道、下水管が多く埋設されていたことから地下に電線類を埋設することが難しいという課題を抱えていた。

また、電力の需要密度が市内で最も高いために、限られた場所に多くの地上機器を設置する必要があった。歴史と伝統のあるまちとして、景観に調和した整備を行うために、「先斗町方式」として、以下2つの方法で無電柱化を実現している。

一つが、小型ボックスを活用し、升サイズの縮小を図った。小型ボックスは、道路地下の両側に配置し、そのほかのライフラインとの共存が可能になった。

そしてもう一つが、地上機器の設置に民有地を活用するほか、景観に配慮し美装化することで、景観を損なわない無電柱化を達成している。

case.2 電柱がない街並みを継承・推進する「つくば市無電柱化条例」

つくば市では、平成28年9月30日に「つくば市無電柱化条例」を施行。

同市では、中心市街地や、つくばエクスプレス沿線開発地区の各駅前などで、すでに無電柱化されていたが、国家公務員宿舎などの跡地における開発では、架空線によって電線類を整備する箇所もあらわれてきたという。

無電柱化は良好な景観だけでなく、防災の観点からも重要であることから、すでに無電柱化している区域の無電柱化維持とあわせ、そのほかの地区においても、一定の条件を満たした場合には、無電柱化に努めなければならないとした。

条例では、すでに無電柱化されている地域を無電柱化区域と定め、開発事業者などが電線類地中化のための費用を負担することなどを定めた。また、街灯においては照度を定め、その照度を確保した照明を設置しなければならないとされている。

あわせて、無電柱化区域以外においても、努力規定として無電柱化に努めること、街灯の設置に努めることが設けられた。

※参考:つくば市 「つくば市無電柱化条例」

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無電柱化は激甚化する自然災害対策としても重要

大型の台風やゲリラ豪雨など、激甚化する自然災害への対策は、住民の安全を守るために重要な事項である。自然災害時の電柱の倒壊による二次災害などを防ぐためにも、無電柱化の促進は必須といえるだろう。

無電柱化におけるコストやスペースの問題は、様々な手法を検討することでクリアできる可能性が高い。

これから検討を始める自治体は、上記のように、実際に無電柱化を実現している自治体の手法や、条例を参考にしてみてはいかがだろうか。
 

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