ジチタイワークス

滋賀県米原市

自治体も住民もラクになる給付事業で地域のデジタル化を促進。

共通プラットフォーム(現:CONNECT-id)による自治体マイナポイント事業

現金給付や商品券配付では、準備の手間や費用に悩む自治体も多いのではないだろうか。各種地域施策のデジタル化を進める米原市では、現金からポイントへの給付に切り替え、住民の利便性と業務の効率化を図っているという。

※下記はジチタイワークスVol.30(2024年2月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。2024年4月以降、一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、自治体向けにCONNECT-idサービスの提供を開始しており、同サービスを利用することで、「自治体マイナポイント事業」を実施することが可能となっています。
[提供]一般社団法人キャッシュレス推進協議会

新型コロナ対応の臨時交付金を活用し地域DXの一つとして実施することに。

これまでの給付事業では、事務作業に要する人員や時間、振込手数料などが自治体の負担となっていた。そこで、デジタル化による負担軽減や、マイナンバーカード普及のため、総務省が推進しているのが「自治体マイナポイント事業」だ。令和3年、庁舎の統合を機にDX推進本部を設置した同市も、地域DXのツールとしてマイナンバーカードを活用する方法を検討していたという。

「当市の場合、カード交付率が伸び悩んでいたこともあり、利活用できる機会を増やすことで、普及を促進していきたいと考えていました」と語る川西さん。臨時交付金の使途について検討していたところ、同事業が推奨事業として明記されていたという。複数の決済事業者との契約が可能で、住民からの申請受理や結果の集計、精算に至るまで、各種作業がデジタルで行えるため、「従来の給付事業と比較しても手間や費用が抑えられることが分かり、実施を決めました」。

令和4年度に行った「米原市マイナポイント事業第1弾」では、マイナンバーカードを保有する住民に1万ポイントを付与。4社の決済事業者と契約したという。「複数の選択肢から、住民が使いやすい決済サービスを選べるようにしました。ある程度、公平性が保たれたことで、議会からの承認も得やすく、スムーズに実施までもっていくことができたと思っています」。

共通プラットフォームが各者をつなぎほとんどのアナログ作業を自動化。

同事業は、「自治体マイナポイントマッチングポータル事務局」が運営する “共通プラットフォーム(現:CONNECT-id)” が、 自治体・住民・決済事業者を繋いで実施されるもの。自治体が施策や給付条件を登録しておくと、住民はマイナンバーカードをスマホにかざすだけで、“米原市在住”であることが自動判定され、好きな決済サービスを選択できる。それらの内容をシステムが自動処理して決済事業者につなぎ、ポイントが付与される仕組みだ。

自治体側で申請不備の確認や、決済事業者へポイント付与の指示をする必要がなく、迅速な給付が可能になるという。「手間を省いた分、1~2人の職員だけで施策実施まで行うことができました。コロナ禍による特別定額給付金事業の際は、対策室に4~5人が常駐していた上に、書類の封入作業や記載内容の確認などでは、全庁に応援を頼む場面もありました。この差は大きいですね」と堀部さん。

実施までのスケジュール調整も事務局のサポートがあり、特に不安はなかったという。「決済事業者とのやりとりや、トラブルの原因調査など、事務局のフォローが手厚く、安心して取り組むことができました」。

各課から事業アイデアが集まり地域のキャッシュレス化が進む。

令和4年度は1万ポイント、5年度には3,000ポイントの付与を実施した同市。「いずれも決済サービスを選べるようにしていましたが、15歳~59歳はスマホ決済サービスを選ぶ人が多く、60歳以上では半数以上が地元のスーパーで使用できるカード式電子マネーの『CoGCa(コジカ)』を選んでいました」。

申請だけで一律にポイントを受け取れる単純付与型だったことも功を奏したのか、令和4年10月時点では54.1%だったマイナンバーカード交付率が、令和5年10月には82.6%まで伸びたという。全国的にも交付率が高い自治体として認識されるようになったそうだ。

「ハードルの高さが懸念されていた高齢者の利用も、支所の各窓口できめ細やかな支援を行ったことで、予想以上の申請数となりました」。マイナンバーカードの普及とマイナポイントの認知度が向上したことで、デジタル給付が実施しやすくなった同市。「今後は、健康診査やボランティアなどの地域活動に参加した住民を対象とした施策を検討中です。イベント参加の後押しとしてなど、幅広い分野で活用していきたいですね」。このほかにも、DX推進本部には各課から様々なアイデアが集まっているという。

最後に川西さんは「自治体マイナポイント事業は、複数の決済事業者と連携できるなど、汎用性が高いキャッシュレス化事業です。自治体にとっては手間や費用を削減できる上、住民にとっても使い勝手のよい事業に改善することができました。取り組む価値は大いにあると思います」と語ってくれた。

自治体にも住民にもうれしいポイント給付事業

自治体のメリット

デジタル化で手間やコストが大幅に軽減
給付業務がデジタルに一元化され、少人数での対応も可能に。

複数の決済事業者と容易に提携できる
1社だけではなく複数の事業者と契約できるため住民の理解を得やすい。

決済サービスごとに給付状況を確認できる
どの決済サービスで、どのくらい給付されているかが簡単に分かる。

住民のメリット

窓口に行かずスマホで簡単に申請できる
マイナンバーカードがあれば、窓口で申請書を書くなどの手間が省ける。

年代ごとに使いやすい決済サービスが選べる
複数の選択肢から、自分に合った決済サービスが選べる。

ワンストップ申請でポイント付与が迅速
現金給付や商品券配付よりも申請が簡単で、ポイント付与までが早い。

 

滋賀県米原市
政策推進部 デジタル未来推進課
左:課長 川西 譲(かわにし ゆずる)さん
右:主事 堀部 省伍(ほりべ しょうご)さん

 

マイナンバーカードを使った3つの審査方法

1.事前審査

・給付対象者リスト(台帳)を事前登録しておくことで、対象者だけが申請できる。
・3つの中で最も利便性が高いとされている審査方法で、自治体から特に好評を得ている。

自治体のメリット

申請情報と給付対象者情報の突合が不要で素早いポイント付与につながる
申請不備への対応が必要ないため、作業負担が大幅に軽減

住民のメリット

マイナンバーカードをかざすと自身が申請できる給付施策だけが表示される
申請に対して自治体は審査しないため最短で当日にポイントが受け取れる

 

事前審査方式で実施した自治体の声

・今回、事前審査を選んで実施しましたが、給付が格段に早いということを日々肌で実感していました。
・給付や審査の方法にバリエーションがあるので参加型やボランティア型の施策にも挑戦したいです。

 

2.自動審査(券面審査)

券面に記載されている住所などの基本情報をもとに、給付対象か否かを自動判定。

3.事後審査

申請情報と、給付条件別に作成した対象者リストを突き合わせ、給付対象か否かを判定。

 

地域住民を対象としたポイント給付事業

長野県立科町

行政手続きデジタル化事業(e-TAX普及事業)

実施期間 令和5年1月16日~2月28日
給付概要 期間中、マイナポータルからe-Taxに連携して確定申告を行った住民に対し、選択した決済サービスで2,000円相当のポイントを付与。行政手続きデジタル化推進策の一環とした。

商品券配付と比較して作業期間が大幅に短縮

商品券での給付事業の場合、券面のデザイン・印刷などの準備に加え、券を郵送した後も回収および集計、精算作業が必要だった。自治体マイナポイント事業として実施することで、それらアナログ作業の大半が削減可能となり、実施までの作業期間が約3カ月分短縮できた。


香川県東かがわ市

市民生活支援事業

実施期間 令和4年10月31日~令和5年1月31日
給付概要 コロナ禍による収入減や、原油価格および物価高騰に対する生活支援策として、マイナンバーカードを取得済みで申請のあった住民全員を対象に、1万円相当のポイントを付与した。

給付事業にかかる人員や諸経費を大幅に削減

マイナンバーカードの券面審査を採用したことで、自治体が負担するシステム開発費が不要に。申請から精算まで、デジタルで完了できるため、少人数でも対応可能に。従来の給付事業と比べ、人件費や外部委託費など各種コストを大幅に削減できた。

 

自治体の疑問に事務局が回答!

自治体の施策目的に合わせて効率的に給付を実施できます。

自治体マイナポイント マッチングポータル事務局(当時)
事業推進担当 後藤 康夫(ごとうやすお)さん

Q1 子育て世帯の世帯主に限定して給付できますか?

対象は自由に設定可能です。
マイナンバーカードにより個人の特定が可能なため、給付対象者リストを作成することで、子育て世帯の世帯主や、特定の検診を受診した人など、施策に応じて柔軟に給付条件を設定できます。

Q2 複数事業者と提携すると、各社との精算が面倒では?

精算は一本化できます。
通常、複数の決済事業者と契約した場合、事業者別の支払い(給付ポイント分の金額)が必要ですが、その作業を事務局が仲介しています。事務局を通して一括払いできるので、精算作業を省力化できます。

Q3 別のアプリでの実績を給付条件にできますか?

連携により可能です。
既存の健康管理、観光支援アプリなどに、事務局が指定するマイナンバーカード認証の仕組みを組み込むことで、既存アプリの活動実績などのデータをもとに対象者へ給付を行うことが可能です。

 

事務局が語る“自治体マイナポイント事業”の未来

自治体マイナポイント事業は、“共通プラットフォーム”を利用することで、住民の申請の手間や、自治体の各種コストを低減できるものとして誕生しました。“キャッシュレス化の推進”という目的のもと、現在はマイナンバーカードを保有し、キャッシュレス決済が利用可能な住民のみが対象となっています(図右上)。

事務局では、より多くの住民や自治体がこの仕組みを活用できるよう、全ての住民に給付できる共通プラットフォームを目指しています(2024年4月以降、一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、自治体向けサービスであるCONNECT-idを通じて、共通プラットフォームを提供しています)。キャッシュレス給付と銀行振込を併用できるよう検討を進めているところで(図左上)、マイナンバーカード以外での個人認証・申請受付についても、実現可能性を検討しているところです(図右下)。銀行振込などの選択を可能にすることにより、結果として自治体側がキャッシュレス給付を選択しやすくなることを期待しています。

キャッシュレスだけではなく、デジタル申請・給付を行う基盤として、自治体側の給付業務の工数・費用を削減するとともに、住民の利便性をさらに向上させ、社会全体のDX推進へ寄与したいと考えています。

お問い合わせ

サービス提供元企業:一般社団法人キャッシュレス推進協議会

CONNECT-idサービス事務局

info@connect-id.jp

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