音声の文字起こし・文章の要約を行う総合ソリューション
会議の議事録や広報紙の記事など、自治体職員が文章を作成する機会は多い。取手市では、そうした場面での職員負担の軽減に、AI音声認識ソリューションが力を発揮しているという。一連の取り組みの詳細を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.28(2023年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社アドバンスト・メディア
議会の議事録をより早く、より少ないマンパワーで提供するためのIT活用。
適切な情報公開のため、迅速さと正確性が求められる、議会議事録の作成業務。同市では以前、議会事務局職員が録音データからの書き起こし作業を行っていたという。髙橋さんは「事務局にとって大きな負担でした。複数人で作業をしても、1人当たり年間100時間以上の時間外勤務が常態化していたのです」と振り返る。
そこで導入したのが、AI音声認識文字起こしシステム「AmiVoice(以下、アミボイス)」だ。約25年前から音声認識ソリューションを手がける「アドバンスト・メディア」が提供するシステムで、オフラインで使えるスタンドアローン型。インターネットを介さないため情報漏えいのリスクが少なく、業種に特化したAI音声認識エンジンにより、専門用語なども拾い上げることができるという。「他社製品と比較検討し、認識率やセキュリティの高さ、複数の話者を識別できる機能を評価しました」。
導入後は、1人当たり時間外勤務を年間約30時間削減した上、コストカットも実現。議事録公開も迅速化したという。これだけでも十分な成果だが、同市ではこのメリットを拡大すべく、令和3年からシステムを全庁的に活用中だ。「各部署で議事録作成業務などの効率化を進めています」と岩﨑さん。
議事録作成の効率化だけにとどまらず、防災や窓口業務でも音声認識が活躍。
文字起こしの活用範囲は、議事録作成だけにとどまらないという。「例えば災害時には、対策本部で常時システムを稼働し、リアルタイムの音声文字起こしをモニター表示させています。被害件数などの報告を聞き逃してもしっかりと表示され、緊急会議の記録もできます」。
さらに、同社の技術を活用し、障害福祉課の窓口に「音声認識文字表示ディスプレイ」を導入。これは、職員と来庁者の会話を字幕化し、リアルタイムで小型パネルに表示するもの。聴覚に困難を抱える住民向けの支援ツールだ。「窓口の会話には個人情報も含まれますが、オフラインで稼動しているのでセキュリティ面でも安心です。表示内容の正確性には、住民からも驚きの声が上がっていますよ」。
▲会話の字幕表示の様子。
また、令和3年には議事録全文から重要な部分を抽出するサービスが登場。職員による要約判断が簡便化され、議会だよりの編集業務が大幅に効率化したという。そんな中、令和4年末頃から“生成AI”が社会で注目されるように。これをさらなる業務改善のチャンスと捉えた同市。「これに生成AIを組み込めば、より利便性を高めることができるのではないかと考えたのです」。
生成AIによる業務サポートで、誰も取り残さないまちを目指す。
このアイデアに、同社も開発を急ピッチで推進。並行して岩﨑さんも生成AI活用の注意点をまとめ、ガイドラインを整備した。庁内で研修会を実施し、令和5年7月、GPTを組み込んだ要約システムの全庁運用に乗り出した。
このシステムについて、松﨑さんは「速い、すごいに尽きます」と驚きを隠さない。「AIに文章をある程度要約させて、そこから職員がブラッシュアップする。これだけでもかなりの労力が削減できます。職員の関心も非常に高いです」と期待を寄せる。システムは庁内のインターネット回線限定で運用し、安全性を担保しているという。
岩﨑さんは、「ITによる効率化で職員の業務に余白を生み、その力を住民サービスにまわしていきたいです。障害者や高齢者への対応はもちろん、デジタルの活用で若い世代への情報提供も迅速化し、住民の幸福度向上に貢献できれば」と今後の展望を語る。“2つのAI”の活用が、これからの自治体業務を力強く支えるだろう。
取手市
左:総務部 情報管理課
課長 岩﨑 弘宜(いわさき ひろまさ)さん
中:総務部 情報管理課 デジタル化推進室
室長 松﨑 昌也(まつざき まさや)さん
右:議会事務局
主事 髙橋 賢人(たかはし けんと)さん
自治体業務にフィットする“AmiVoice生成AIシステム”
安心Point1 入力情報は二次利用されない
入力した内容はサーバーに保存されない仕様。
安心Point2 個人情報フィルタ機能あり
住所や氏名などは“市内の男性”などと伏せて変換。
安心Point3 職員間のチェック体制強化
ガイドラインの充実、上長を含めた管理体制を敷く。
活用シーンはほかにも!
●議会だよりの制作
●広報紙の記事制作
そのほか、
●通知文
● プレスリリース
● チラシ・ポスター
●翻訳
● キャッチコピーのアイデア出し
● Q&A資料
などの作成で活躍!
導入においてはデジタル田園都市国家構想交付金の活用例もあり、同社と提携する地方パートナー企業から対面で説明を受けられるのも心強い。無償トライアルは随時受付中、問い合わせを。
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