災害備蓄品の管理業務委託サービス
災害備蓄品の管理には多くの労力がかかるため、限られた職員数では行き届かないことも多いという。区内に70カ所の備蓄倉庫がある北区では、こうした課題を民間企業への業務委託で乗り越えているそうだ。取り組みについて話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.27(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社エイジス
何がどこにあるか分からないという住民の声から管理の見直しに着手。
同区では、昭和50年代から災害用物資の備蓄を行ってきたが、住民のライフスタイルの変化などで物資が増え、管理が複雑化。多くの課題を抱えていたという。「災害備蓄品の管理は、物品数量の把握や入れ替え、計画的購入など多岐にわたります。近年では多様性にも配慮し、ハラルフード※の導入を進めるなど、まずは必要な物資を揃えることを優先していました」と栗生さんは話す。その結果、倉庫内の整理が行き届かず、期限切れのまま放置されていたこともあったという。
さらに、実際に避難所を開設した際、住民から“何がどこにあるか分からない” “使いたい物が奥まったところにあって取り出せない”などの声もあった。そこで、倉庫の管理体制や整理状況を抜本的に見直すことを決めたという。防災の有識者を交えた検討会を数回にわたって開催し、備蓄倉庫管理の5カ年計画を策定。
「エリアを分けて段階的に整理を進めていくことにしました。5年かけて全ての見直しを行う計画です」。課題感をもって進める中で、備蓄品管理の知見と実績をもつ「エイジス」を知ったという。同区のニーズにしっかりマッチしており、入札の結果、令和4・5年度の管理を委託することになった。
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「北区災害用備蓄・管理・供給計画」を策定し、備蓄倉庫の整理を5年かけて段階的に進めている。
▶令和2年度 1年目
防災備蓄倉庫………………5カ所
▶令和3年度 2年目
防災備蓄倉庫………………7カ所
▶令和4年度 3年目
資機材倉庫、
避難所備蓄倉庫……………19カ所
▶令和5年度 4年目
資機材倉庫、
避難所備蓄倉庫……………19カ所
▶令和6年度 5年目
資機材倉庫、
避難所備蓄倉庫……20カ所(予定)
専門業者のノウハウが活かされみんなが使いやすい倉庫に。
同社に委託しているのは、棚卸し、賞味期限の調査、備蓄品の再配置、簡易清掃、配置レイアウトマップ作成の5つの業務。委託して特に成果を感じているのは“整理状況の改善”だという。「倉庫の奥に詰め込まれていた不用品を処分できたことで、導線やスペースが十分に確保できるようになりました。また、段ボール箱は崩れにくい積み方にしたり、内容物を把握しやすいようラベル面を外側に向けたりなど、専門業者ならではのノウハウで整理してもらえました」。
また、配置レイアウトマップを見やすいところに掲示することで、初めて倉庫を訪れた人でも、何がどこにあるかを把握しやすくなったという。
「整理後の避難訓練の際に、住民から“倉庫が整理されていて使いやすい”という声をいただきました。どんな物資が備蓄されているのか実際に確認できたことで、自分事として捉えてもらえたように思います。また、きちんと管理されていることが伝わり、安心してもらえたのではないでしょうか」。避難所開設は、主に自主防災組織や自治会が担うため、万が一の際にも分かりやすいよう倉庫内を整えておくことが重要だという。
備蓄品の情報を住民と共有し災害時の円滑な避難所運営を。
同社の手を借りながら、順調に倉庫の整理を進める同区。職員の負担軽減にもつながっているという。「以前は1つの倉庫の確認にも、現地へ行って状況を把握し、戻ったあとに整理や入れ替えを検討し……と半日ほど必要でした。現在はその分の時間を省力化できています」。
今後は、整った状態を維持しつつ、避難所の運営を担う自主防災組織などへ情報の周知を進めたいという。「発災直後に職員はいないため、倉庫内に保管されている物資や配布方法を知っておいてもらう必要があります」。また、同社からは立体的な画像で倉庫の状況を確認できるサービス「3DVR」の提案も受けているという。平面図だけでなく倉庫内をVRで確認できるため、さらなる省力化の観点から検討しているそうだ。
災害備蓄品の整理整頓については、多くの自治体が課題を抱えているのではないだろうか。栗生さんは、まずは計画案をつくり、それを踏まえて具体的なロードマップを描くことが重要だという。「漫然と“倉庫内の整理を進める”というだけでは、その必要性を理解してもらいにくく、予算を確保するのは難しいでしょう。単発的ではなく、総合計画などにのっとった形で進めることが大事だと思います」と提案する。
東京都北区
危機管理室 防災・危機管理課
課長 栗生 隆一(くりゅう たかかず)さん
無料トライアル受付中
本格導入の前に、棚卸しの無料トライアルが可能。トライアルで、賞味期限の切れた食料品や段ボールの破損などが判明した自治体も。1年で全ての倉庫を見直すのではなく、数年かけて段階的に進めていくのも手段の一つだ。詳しくは問い合わせを。
新サービス3DVR
360°撮影した画像を組み合わせ、立体的に見せる新サービス3DVR。倉庫内を歩きまわるような感覚で、備蓄品の配置状況などを確認できるため、把握しやすい。
お問い合わせ
サービス提供元企業:株式会社エイジス
部署:新規事業開発室
TEL:043-350-0888
E-mail:1151@ajis-group.com
住所:千葉県千葉市花見川区幕張町4-544-4
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