ジチタイワークス

ビッグデータで見えたリアルなニーズから、潜在顧客を発掘する。

位置情報×検索情報による観光ビッグデータ分析

ビッグデータをもとに観光施策の立案に取り組む地域が増えている。上川町の地域DMO「大雪山ツアーズ」は、ハイブリッドなデータ分析による観光客の動向把握を通じて、観光施策の抜本的な改革に乗り出した。

※下記はジチタイワークスVol.27(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]パシフィックコンサルタンツ株式会社

観光動向の変化に対応するため、“団体客依存”の変革が急務に。

国内最大級の国立公園である大雪山の北部に位置する同町。“神々の遊ぶ庭”と称される層雲峡の麓に広がる温泉郷は、年間およそ50万人の観光客が訪れる、道内でも有数の人気観光スポットだ。

新型コロナウイルス感染症の拡大が沈静化し、客足の回復に向けてこれからが正念場だが、「コロナ禍を経て、来訪客の比率が団体客から個人や小グループへとシフトしています。ただ、これまで団体客をメインに集客していた当町では、少人数客向けの観光施策をほとんど行ってこなかったのです」と瀨川さん。

新千歳空港や札幌市を起点として、公共交通機関を使って同町まで行こうとすると、2~3回の乗り換えが必要になる。そのため、インバウンドはもちろん国内からの来訪も、貸切バスを利用する団体客に偏っていたという。

「夏はともかく、冬に慣れない雪道をレンタカーで移動するのは難しい。今後、個人あるいはファミリー層などを獲得するためには、冬季の二次交通に対して、何らかの対策を講じなければなりません。そのため、少人数客のニーズを正しく把握したいと考えていました」。そうした課題に対し、独自のビッグデータ分析手法を活用した実証実験を提案したのが、「パシフィックコンサルタンツ」だった。

単なる数字の羅列ではない、観光客の“リアル”に迫る分析。

同社が提案するのは、ソフトバンクとの共創で開発した、個人携帯端末の基地局データを活用する「全国うごき統計」。それに、ヤフージャパンの検索データとGPS位置情報をひも付けた「検索×人流データ」をかけ合わせた、国内初※1のハイブリッド分析手法。来訪客の属性や交通手段、立ち寄り・宿泊地、非来訪客の逸失原因や逸失先などが、網羅的かつ複合的に把握できるという。

同町でも数年前から、通信会社が提供する来訪客データを活用したり、対面アンケートによる動向調査を行ったりしていた。「ただ、人の“動き”が見えない、母数が少ないなどの理由で、信頼性の高い統計としては使えませんでした。その点、同社のビッグデータ分析は、我々の期待に沿うものだったのです」。

層雲峡の周辺には、旭川市や十勝川温泉などの人気観光地があり、特に冬は、3地区の冬季イベントを“ハシゴ”して楽しむ客も多い。そこで、令和4年度から、3地区それぞれの観光施策上の課題と、分析したい内容のすり合わせを実施。国土交通省が推進する「ビッグデータ活用による旅客流動分析実証実験事業」にコンソーシアムとして応募し、採択されたことで、同年度下半期の実証実験を行った。

※1 特許第7297137号

“思い込み”による観光施策を見直すべき事実が見えてきた。

実証実験の分析レポートには、コンソーシアムの面々を驚かせる内容が多く含まれていたという。「例えば、新千歳空港や札幌市街から層雲峡を来訪する際、どこにも立ち寄らず直行で訪れる客が意外に多かった。また、3地区の冬季イベント来訪客のうち、近隣エリアよりもオホーツクの流氷観光に足を延ばす客が圧倒的に多いことも分かりました。従来の観光プロモーションを見直すべき、複数の事実が明らかになったのです」。

この結果をもとに、早速二次交通の見直しに着手。従来の高速バスや路線バス以外にも、オホーツク方面へ越境するバス路線について、地元バス会社などと協議中だという。また、非来訪客が比較検討のために検索した対象地やキーワードも活用。同町が目指す「北の山岳リゾート」としての、さらなるブランディング戦略も検討する計画だ。

「近年は、SDGs関連のワードと観光とが同時に検索されるケースが多いようです。層雲峡では数年前から、電動モビリティで周遊できる体制を整備中。今回の分析結果を踏まえ、感度の高い20~30代の人々に、“持続可能な観光地”をアピールしていく考えです」。

上川町 地域DMO 大雪山ツアーズ
事務局長
瀨川 耕市(せがわ こういち)さん

“来た人”と“来なかった人”双方を分析し、集客につながる施策へ

各社がもつビッグデータに、建設コンサルティングの知見を活かした独自の解析ロジック(特許技術)をかけ合わせ、分析を行う。

それぞれの課題に応じたデータ分析が可能

来訪客の“動き”や、比較検索された地域との差別化ポイント、インバウンド分析(下記)まで、各地の課題に応じて柔軟にデータ分析を行う。数十万円からのスタートも可能。

上川町の事例詳細(国土交通省HPへ)
 

インバウンド人流データ

Near(ニアー)社がもつ数百万人※3のインバウンドの位置情報※2から、居住国や交通手段、消費スタイル別に、来訪・周遊動向を把握可能。詳しくは問い合わせを。

※2 いずれも個人を特定されないよう匿名化・統計加工のうえ、少人数の場合は秘匿処理を行ったデータを利用
※3 コロナ前(令和元年)のサンプル数

お問い合わせ

サービス提供元企業:パシフィックコンサルタンツ株式会社

TEL:03-6777-4009
E-mail:DKSR@tk.pacific.co.jp
住所:東京都千代田区神田錦町3-22 テラススクエア15F

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