ジチタイワークス

岐阜県笠松町

子育て世代に、きちんと向き合うために。人口2.2万人の小さな自治体が、あえてSMSを導入した理由

人口2万2,000人ほどの小さなまち・岐阜県笠松町では、子育て支援施策を行う際のツールとして、「ジチタイSMS」を導入している。同町はその規模ゆえ、住民に送付する通知1つの対象者が20人程度であることも珍しくない。手作業での業務遂行が不可能ではない状況下で、あえてSMSを導入した理由は何だろうか。導入のきっかけや今後の展望と共に、笠松町 住民福祉部 健康介護課の田島さんにうかがった。

[提供]株式会社ジチタイワークス

Interview

田島 明さん
岐阜県笠松町 住民福祉部健康介護課 課長

導入の目的は郵送にかかる日数と業務量の削減

― SMS導入のきっかけを教えてください。

田島さん:子育て支援がきっかけではないのですが(笑)。当課からお送りする、郵便物を減らせないかと思ったためです。当課では子育て支援や健診、新型コロナのワクチン接種、介護保険など幅広い事務を行っており、住民の方にたくさんのお知らせを郵送しています。ただ最近は、発送してから住民の方に郵便が届くまでに、日数がかかるようになってきています。ですから、そこのタイムラグを埋められないかと考えていました。
 

― 確かに、郵便物が届くまでに何日もかかるようになってきていますね。

田島さん:おっしゃる通りです。そしてもう1つは、郵送にかかる業務量です。先ほどもふれましたが当課では新型コロナワクチン接種の業務も担当しており、接種券など非常にたくさんの郵便を発送しました。接種券や同封するチラシを印刷して、封入、封かん、発送と非常に多くの労力がかかりました。また、近年は郵便料金の値上げや割引の縮小もありコストも上昇しています。配達日数の長期化、コストの上昇、発送までの業務量を考えると、郵便をメインとした住民の方への情報伝達について懸念を抱きました。

そのときちょうど「ジチタイSMS」の無料トライアルの記事を拝見して、若い子育て世代ならSMSでの情報発信に向いているのではないかと思い、まずは子育て支援での導入の検討をいたしました。
 

― その後、実際にSMS導入の決め手となったものは何でしたか?

田島さん:メッセージを受け取る方が携帯電話さえ持っていれば、特定のアプリの有無を問わず連絡ができることと、比較的コストを抑えて導入できることでした。当町ではLINEを使った情報発信も行っていますが、LINEで特定多数の方にメッセージを送る仕組みを導入するには、相応の費用がかかります。また、携帯番号さえ分かれば連絡ができるSMSは、特定の方に確実に連絡したいシーンに向いており、LINEとのすみ分けができると考えました。

住民の方への情報伝達については、「不特定多数への情報発信はLINE、特定の方への連絡はSMS、紙で送る必要があるものは郵便」といった、状況にあった使い分けが大切だと考えています。その一つとしてSMSは非常に有効なツールだと考えています。郵便からの置き換え以外にも、仕事中や子どものお世話で手が離せないなどの理由で電話に出られない方へ文字で用件を伝えることができるのも大きなメリットだと思います。
 

「できるけど手間」な作業の効率化で、職員の業務量は約1/3に

― 実際にSMSを導入してみて、職員の方の負担は減りましたか。

田島さん体感として、職員の住民連絡に関する業務量がこれまでの1/3ほどになりましたね。これは当町のような人口2.2万人(令和2年時点 )規模の自治体で、事務のデジタル化が進まない要因の1つだと個人的には思っているのですが、一度に対応すべき量がそれほど多くないので、通知を作成・送付する作業が職員の手作業で対応できてしまうんです。当町の子どもの健診の場合、1回の通知の対象が20人ほどで、1カ月に3種類、これを毎月繰り返している訳です。
 

― 何百人、何千人という規模ではないのですね。

田島さん:そうです。とはいえ、その20人の方々に通知をするために対象者の名簿をつくって、封筒に名前を貼り付けて封筒には何種類かの文書を入れてと進めていたので、「できるけど、手間はかかる」という状態でした。1回当たりは大したことはなくても、年間36回となるとそれなりの時間を消費します。それが、SMSだとメッセージを送るだけですから、業務負担はかなり減ったと思います。もちろん導入時にSMS用のメッセージテンプレートをつくる手間はかかりますが、それさえできてしまえば、あとは毎月の対象者の把握と名簿の作成だけで済みますからね。
 

デジタルに一本化「しない」ことで、SMSのスムーズな運用を実現

― 笠松町では、健診や子育て教室の案内をSMSで行い、参加申し込みやアンケートは専用のフォームでと、いくつかのデジタルツールを併用して運用しているのですね。

田島さん:そうですね。もともと健診の問診表やアンケートは全て紙で用意し、お母さんたちには手書きで記入していただいていましたが、今はすでに導入していたLogoフォームを活用して、お母さんには記入をシステム上でお願いしています。このシステムへの誘導にもSMSは相性が良く、SMSで送る健診や子育て教室の案内のメッセージに、システム上でつくった申し込みフォームのURLを張り付けて送っています。メッセージを受け取ったお母さんたちからは「スマホで確認できて良い」「回答を手書きする手間が省ける」と好評です。Logoフォームで回答してもらった内容は、データとして出力できるので、当課としても、回答の集計が効率的に行えるようになりました。
 

― 笠松町からお母さんたちに送ったメッセージは、文章がとても端的にまとまっていますね。「読んだけど、当日の内容が分からない」という方はいませんでしたか?

田島さん:今のところ、特に聞いていません。健診や子育て教室の案内を、SMSだけで完結させていない点も効果があるのかもしれません。当町で実施する最初のお子さんの健診は乳児健診ですが、お母さんたちに乳児健診の案内をする際は、地元の母子保健推進員さんがそれぞれの家庭へ訪問しています。そのタイミングで、年間の行事の概要をまとめた紙を渡してもらっています。SMSはその紙をお母さんたちに渡した後、各行事の開催日の1カ月前に送ります。SMSのメッセージには行事のある日時や場所など最低限の情報しか記載していませんが、お母さんたちは先に渡した紙で行事の概要が分かっているので、SMSで改めて細かく説明しなくても十分伝わっているようです。
 

― 行事の概要は事前に紙で周知し、そのリマインダーのような感覚でSMSを使っているのですね。お母さんたちの携帯電話番号の取得には、苦労しませんでしたか。

田島さん:はい、それも特に苦労しませんでした。お母さんたちの携帯電話番号は母子手帳を取りに来ていただく際に聞いていましたので。今回は子育て支援でスタートしましたが、今後は当課だけでなく全庁的に活用していきたいと思っています。そうなると、携帯電話番号の取得は課題になるかも知れません。もしほかの業務で携帯電話番号を取得できていても、いきなりSMSを送るのは問題になりそうですからね。そのあたりはこれからの課題です。
 

― 「ジチタイSMS」の導入前、庁内では反対や懸念の声などはありませんでしたか。

田島さん:まずは、子育て支援分野でのトライアルでしたから特に問題はありませんでした。ジチタイSMSは、LGWAN環境で使用でき、当町のような人口が多くない自治体でも使いやすい設計になっていましたのでスムーズに進みました。ただ、本格的な導入時には初期費用が必要となるため予算の確保は悩みの種でした。今回はタイミングよく、出産・子育て応援交付金の実施にあわせて予算の確保ができたのでラッキーでした。
 

「顔が見える関係」を保つために、SMSを活用したい

― 今後、SMSをどう活用していきたいですか。

田島さん:今後はさらにSMSの活用により、職員の業務効率化を推進して、子育て世代の方と直接関われる時間を増やしたいですね。当町では、妊娠期から出産期、子育て期(生まれた子が18歳になるまで)の期間にある世帯に、切れ目のない支援を実施しています。ただ、例えば子育てに悩んでいるお母さんにアドバイスをするにしても、相手の事情が分からないと表面的な内容になってしまいます。実情を把握しきれていない場合、一人ひとりに寄り添った支援は難しいと常日頃から感じていますし、「顔を見て話したい」「電話で相談したい」という子育て世代の方も多いです。

母子手帳を対面で渡すところが、その方との関わりのスタートとなっていますが、その後もなるべく顔が見える形で、継続的な支援やサポートをしていける体制ができたらと。そのための時間をつくるためにも、効率化すべきところは効率化していきたいですね。

また、実際にSMSを受け取った方からは、紙よりも携帯電話で確認できるSMSの方が良いという声もいただきましたので積極的に活用していきたいと思っています。さらに、このSMSは子育て支援に限らず、ほかの業務においても活用が可能なツールだと思いますので全庁的な活用が図れるようにしていきたいですね。
 

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