ジチタイワークス

茨城県つくばみらい市

空調された新鮮空気が隅々まで行き渡り、体育館を快適に。

夏場を迎えて多くの自治体が悩む、学校の熱中症対策。特に体育館は面積が広く天井が高いため、空調管理が難しい。つくばみらい市は新たな空調機で、実証実験を行っているという。

※下記はジチタイワークスVol.26(2023年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]日本ピーマック株式会社

学校と災害避難所運営の両面で体育館の熱中症対策が課題に。

コロナ対策が緩和され、全国の公立学校でも徐々に体育や部活動の制限が解除されつつある。体育館の集団利用が増え、これから暑さのピークを迎えるにあたり、体育館での熱中症リスクが懸念される。

つくばみらい市立富士見ヶ丘小学校教頭の飯塚さんは「これまでは業務用の大型扇風機を使う程度で、あまり効果的な手は打てていませんでした。感染症予防のために換気が不可欠ですが、日によっては外より蒸し暑い状況も。運動中は床に落ちた汗を拭かないと危険な場面もありました」と語る。

学校体育館は、災害時に避難所としての機能も担う。「しかし、体育館では暑さ・寒さ対策とプライバシーの確保が課題。いざというときに、安全に避難生活を送れる環境を整える必要がありました」と防災課の大久保さん。対策を検討していたとき、防災などの複数分野で協定を結ぶ「高砂熱学工業」から、実証実験について声がかかった。

同社はグループ会社「日本ピーマック」の技術を使い、体育館に特化した空調機を開発。床面積が広く天井の高い、工場向けに製造していたシステムを応用したものだ。防災の観点から実証実験を行うことになり、令和4年8月、同校の体育館に8基を設置したという。

冷気が下にたまる原理を活かし大空間を効率良く快適にする。

体育館専用の空調機は暖気が上昇し、冷気が下にたまる原理をもとに、床面に近い場所から低速で冷気を送り続ける。そうすることで冷気がじわじわと広がり、暖気は入れ替わるように天井に上がる。低い場所をゆっくりと進む冷気は、人や物の間を縫って広がるため、テントや段ボールなどを並べた避難所の環境にも適しているという。

また、天井に上がった空気を空調機のダクトから屋外に排出することで、窓を開けて換気をする必要がなく、冷房の効率も高くなる。そして、従来の空調機のように風力で冷気と暖気をかき混ぜることをせず、装備された小さいファンで送風する。

それにより動力を抑えられるので、空調エネルギーの省力化にもなる。暖房の場合は、さらに床に近い位置から高速で暖気を流すことで、天井に上がるのを遅らせて、底冷えを防止できるそうだ。

学校の体育館用ということで、本体の吹き出し口は、クッション性のある壁材をビニールで覆い、安全面にも配慮している。「体育の授業や放課後のスポーツクラブなどで使う場合、子どもがぶつかってもけがのリスクが低いことは心強いです」と飯塚さん。

実証実験を通して、避難所の仕様でも冷房効果を確認した。

同校では、8月と12月に体育館内の温度変化を記録した。冷房の設定で、避難用テントを置いて実験した際は、屋外の気温30.2℃、湿度69%に対し、屋内の平均気温24.8℃、湿度49%に。30分ほどで、約1,000㎡全体に冷気が行き渡ったという。暖房ではテントを吹き出し口の前に隙間なく置くと、場所によって温度差が出たものの、テント同士を1m以上離した方が暖気が広がりやすいなど、適切な設置方法が把握できたそうだ。

「教職員、児童、保護者などの利用者からは、快適に授業や行事での活動ができていると、喜びの声が上がっています。3月の卒業式では前もって暖房をつけておいたところ、式典中に寒そうにしている児童や保護者は見当たらず、昨年まで使っていたジェットヒーターは稼働させずに済みました」と飯塚さん。大久保さんも「避難所として活用する際にも、避難者の体調管理に貢献すると思います」と期待を込める。

実証実験を通して見つかった課題を踏まえ、空調機は改良して製品化されるという。今後も温暖化や電気料金の高騰といった空調面の対策に加え、災害への備えが全国各地で必要になるだろう。効率的に快適な空間をつくれるシステムのこれからに注目したい。

左:つくばみらい市立富士見ヶ丘小学校
教頭 飯塚 隆志(いいつか たかし)さん
右:総務部 防災課 主査
大久保 正道(おおくぼ まさみち)さん

冷暖房と換気が一体になった空調機の強み

学校体育館で活用するメリット

1.低速給気で冷気が広く行き渡り、スポーツも快適に

床面に沿って低速の冷気が進み、人や避難用テントなどの障害物を避けて広がる。体感では分からないほどの微風で、バドミントンなど室内スポーツへの影響も小さい。暖気と冷気を混ぜないため送風動力が少なく、エネルギーコストの低減にも。

2.冷気を取り込み暖気を排出する換気機能

冷房時は外気を冷却して室内に取り込み、室内の暖気を上昇させて空調機のダクトから排出する。換気が一体となっているため、ほこりなども同時に排出され、衛生面でも快適に。窓を開けて換気する必要がなく、冷暖房の効率も良くなる。

3.クッション性のある素材を使い運動中も安全に

体育館で使用するため、授業などで子どもがぶつかる場合も想定し、安全面を強化。本体はクッション性のある壁材で、衝撃を吸収する。吹き出し口はビニールレザーで覆い、破損したら取り換えも可能。

暖房時の仕組み

冬季は高速給気することで、広範囲を暖房できる。

協力自治体との新たな実証実験を検討中!

同社では今年の秋以降、同空調機の販売に向けて、新たな実証実験先を検討している。検討に際し、現場調査などを実施する必要があるという。興味のある自治体はまず問い合わせを。

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サービス提供元企業:日本ピーマック株式会社

営業統括本部

TEL:03-5473-7791(担当:山本)
住所:東京都港区虎ノ門3-5-1 虎ノ門37森ビル
E-mail:satoru_yamamoto@pmac.co.jp

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