震災の経験をもとに防災対策を強化し、“防災環境都市”としても存在感を放つ仙台市。近年は「ダスキンレントオール」と災害協定を締結。協定により得られる物的・心理的な安心感とは?
※下記はジチタイワークスVol.26(2023年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ダスキン
避難所から上がった声をもとに防災対策・備蓄をより強化する。
東日本大震災時、被災地へ物資が本格的に届き始めたのは、震災から3日が経ってからのこと。通常であれば、県庁、市役所、区役所と階層的に物資や情報を提供していく。しかし、大規模震災の中では停電や物流の途絶などもあり、あらゆることがスムーズに進まなかったという。当時、自身も避難所や物資集配拠点で対応にあたっていた御供さんは、「何百人がともに暮らすという状況はなかなかありません。ソフト面からハード面まで、様々な問題が、内容を変えながら次々に発生しました」と振り返る。現場では、“女性の着替えスペースがない” “衛生面から食中毒・感染症が心配だ”という声が寄せられ、どれだけ備えていたとしても、足りないということを実感したという。
そうした経験を踏まえ、同市では、食品の備蓄を24時間分から48時間分に拡充した。それだけでなく、地域団体・施設管理者・市から派遣する避難所担当職員の3者からなる避難所運営委員会を設置。担当者が入れ替わることも想定しながら、備蓄や設備、マニュアルの確認を毎年顔を合わせて実施するなど、防災対策に力を入れてきた。これだけの備えをしている同市は、さらに“もう1つの備え”として、ダスキンレントオールと災害協定を締結したという。
災害発生時に全国の拠点から物資などが得られる安心感。
同協定は、同社がイベント備品のレンタル・設営などの事業で得た経験を活かしたもの。内容は、もしも災害が発生した場合、避難所に必要な資材のレンタル・運搬・設置・撤去、そして衛生管理などを提供するというものだ。
「“いざというときの備えは万全だ”と思っていても、実際に災害が起こると現場は想像以上に混乱し、スムーズに進まないことが多数ありました。そんなとき、イベントの会場設営を日頃行っているスタッフのサポートがあれば、避難所へのスムーズな物資供給が期待できます。同様の協定を結んでいる別の自治体で、実際に他県から物資を運び入れる訓練も実施したということで、安心感があります」と御供さん。また安部さんは「東日本大震災では被害が広域におよび、地域内や近隣から物資の調達が困難となりました。ダスキンレントオールは全国に拠点があり、災害時にはその各拠点から物資を届けてもらえることになっています。そのため、避難所へ迅速に物資を供給することが可能だと感じています」。
平時から先まわりして準備し、安心して暮らせるまちへ。
同市が協定を結んだのにはもう1つ理由がある。それは、大規模災害で避難生活が長期化するにつれ、備蓄品以外のものが必要になることを身をもって体感したからだ。例えば掃除機や洗濯機、冷蔵庫、感染症対策向けのパーテーション、仮設ベッドといった、生活環境や衛生環境の改善に関わるものは必需品だ。「当市には約330の避難所があります。避難所に全ての資材を備蓄することはスペース的にも予算的にも厳しい。その点、同社との協定ではそれらをレンタルで対応できますし、数・種類も豊富に揃っています。また、設営に必要な人材が得られる点にも心強さを感じています」と安部さん。“何の資材がどれくらいの価格か”を事前に設定することで、物資調達にかかるおおよその予算が分かる点も安心感があったという。
このように防災対策を充実させている同市は、今後、どのようなまちを目指していくのだろうか。震災時、高校生だったという安部さんは、「すでに市職員全体の2分の1が、平成23年4月以降に入庁した職員です。だからこそ、庁内全体で防災の意識付けとなるようなことに積極的に取り組んでいきます。また、“防災環境都市”としてさらに魅力的なまちを目指します」と話してくれた。
「平時にできないことは、災害時にできない」。実際に震災を経験した2人からの言葉が胸に残る。自身のまちの備えは、万全だろうか。
仙台市 危機管理局
防災・減災部 防災計画課
左:御供 真人(みとも まさと)さん
右:安部 敏基(あべ としき)さん
レンタル品を活用し、細部まで配慮した避難所開設のイメージ
❶入口
避難所の衛生を保つため、マットを設置。また、高齢者や身体の不自由な方に配慮し、スロープの貸し出しも行っている。
❷共用スペース
ウォーターサーバーや電子レンジなどを備え、飲食や休憩などに利用可能。また、電子機器の充電のため、ポータブル電源を設置。
❸更衣室
安心して着替えることができるよう、男女別の更衣室を設置。パネルで周囲を囲み、プライバシーの確保に努めている。
❹支援物資配布所
支援物資を保管、配布するスペース。人が並ぶことを想定して、ゆとりをもたせたレイアウトになっている。
❺授乳室
周囲を気にせず授乳できるよう、パネルで覆った授乳室を設置。おむつ交換台やベビーベッドなども備えている。
❻ペット預かり場所
ぺットを連れて避難してきた人のため、屋外に専用テントを設置。ケージに入れて預けることを想定している。
❼洗濯コーナー
避難生活が長期化したときのための洗濯スペースを準備。プライバシーに配慮した物干しスペースの配置も行う。
❽避難部屋
プライバシーを確保しつつ、見通しの良さにも配慮。ドアは設けずに目隠しをしている。
自治体との災害協定締結を推進中
協定の締結には費用は発生しない。実際に災害が起きた場合のレンタルやサービス料も事前に設定した価格で提供されるため、予算確保がしやすく安心だ。まずは問い合わせを。
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サービス提供元企業:株式会社ダスキン
レントオール事業部
TEL:06-6821-5124
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