ジチタイワークス

埼玉県入間市

CO2排出量を“見える化”し、現状把握から削減実行までを総合的にサポートする。

脱炭素の取り組みは官民問わず重要な課題といえよう。しかし、目に見えないものを削減するのは難しい。そこで注目されるのが、CO2排出量を算出する「e-dash」。自治体と地域内の企業が連携・導入する事例も多いという。

※下記はジチタイワークスVol.26(2023年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]三井物産株式会社

様々なソリューションを開発し地域の脱炭素を後押しする。

“環境と調和する社会をつくる”を経営の重点課題に掲げ、グループ全体で脱炭素に取り組む「三井物産」。「世界的な潮流を受け、自治体も企業も課題意識は高まっていますが、“何から手を付けていいか分からない”という声もよく聞きます」と、同社の生澤さん。

現状把握が取り組みの第一歩と考え、“CO2排出量の可視化”をキーワードに様々なソリューションを開発しているという。例えば、商品ラベルにCO2排出量の削減率を記載して消費行動の変容を促す「Earth hacks(アースハックス)」や、AIを活用した人流解析事業「GEOTRA(ジオトラ)」など、画期的なサービスを生み出している。

「自治体と域内企業が手を組んで脱炭素に取り組む事例も増えています」と話すのは、令和2年に同社から事業会社化した「e-dash」の山崎さんだ。同名のサービスは排出量の可視化だけでなく、目標設定や計画策定、削減の実行までサポートする。

業務負担も導入コストも抑えてCO2排出量を数値で正確に把握する。

自分たちのCO2排出量を、タイムリーかつ正確に把握できている自治体や企業は限られるだろう。排出量は活動量と排出係数の乗数で求められるため、Excelに数値を入力して算出することは可能だ。しかし、それでは担当者の実務負担が大きくなる。また、排出係数の設定は細かく、正確に算出するには専門知識が必要になるという。

「自治体が地域の脱炭素を進めるためには、まず域内企業が自社のCO2排出量を把握することが大切です。把握が進まないことには、掲げられた目標に向けたアクションも難しいでしょう」と山崎さん。そこで同サービスでは、導入のしやすさにこだわっている。担当者の作業は、電気やガス、燃料などエネルギー関係の請求書をスキャンしてアップロードするだけ。そうすると、環境省のガイドラインにもとづくCO2排出量がグラフとして自動的に反映される。算定基準の変更も自動更新されるため、常に正確なデータを得られるという。

また、料金は導入する拠点数に応じて月額1万1,000円(税込)からと安価に設定。費用面でのハードルも下げることで、中小企業を含めて広く普及させたい考えだ。このほか月々の電気やガスの使用量やコストを管理でき、省エネにつながるようなメリットもあるそうだ。

CO2排出量の可視化・削減を総合的にサポートする「e-dash」

地域の環境を守ることが世界の未来につながっていく。

自治体が導入する場合は2つのパターンがある。まずは自治体が公共施設の管理で使用する方法だ。通常は年1回、全施設の合算値として算出されるが、導入後は施設ごとにデータを毎月見られるようになる。営業から運用まで担当する井上さんは「事務作業の省力化に加え、各施設が当事者意識をもてるようになったと評価されています」と話す。

次に、自治体が旗振り役となって域内企業の導入を支援する方法だ。導入済みの自治体では、企業から“思っていたより簡単だった” “脱炭素について理解が進んだ”という声が上がっているという。この結果を受け、“まずは製造業を中心に導入したが、別の業種にも広めていきたい”と評判も上々だ。

総合商社としてグローバルに活動し、産業の枠を越えて事業を展開する三井物産。「様々な脱炭素のニーズに対して、省エネや創エネ、カーボンオフセットまで幅広い提案ができます」と生澤さん。グループ力を結集し、地域の未来・世界の未来に貢献したいと語ってくれた。

三井物産
Sustainability Impact事業部
新事業開発室 室長
生澤 一哲(いけざわ かずのり)さん

e-dash
代表取締役社長
山崎 冬馬(やまさき とうま)さん

e-dash
エンタープライズ部 部長
井上 雅章(いのうえ まさあき)さん

 

官民連携でゼロカーボンシティの実現を目指す

導入自治体の担当者の声

埼玉県 入間市
環境経済部 副参事
中村 慧(なかむら けい)さん

脱炭素への機運を醸成し、協議会を設立する

入間市では昨年度、脱炭素に関する専門部署を立ち上げ、急ピッチで仕組みづくりを行ってきたという。「地域の脱炭素を進めるために、民間企業の協力は欠かせません。当初から官民連携での取り組みを考えていました」と、担当の中村さん。工業・商業・農業・金融など様々な業界に声をかけ、まずは先進事例を学ぶ勉強会からスタート。脱炭素への理解が進んだところで、それらの団体とともに「ゼロカーボン協議会」を設立した。オブザーバーとして経済産業局や環境省を加え、迅速に情報提供や支援ができる体制を整えている。

同市は県内有数の工業都市であり、協議会に属する組織の中でも特に、脱炭素に対する工業会の意識は高い。「会長をはじめ、今のうちから脱炭素に取り組んでおかないと、サプライチェーンから外されるという危機意識があったようです」。

同サービスで脱炭素経営のモデル企業をつくる

そこで、産業部門における脱炭素を掲げて「GXリーダーシップ事業」をスタート。「CO2排出量を可視化することで、企業や市民に行動の変容を促したいのです」。導入の決め手になったのは、企業の実務負担が少なく、低予算で運用できること。工業会の協力により、経済産業局や金融機関の参画も得て、迅速に立ち上げられたという。

まずは地域経済の担い手となり得る企業が導入。費用は各社が負担し、数値データは市にも共有されるという。「すでに一部の企業が導入を決めるなど成果が出始めています。脱炭素経営の成功事例を確立し、ほかの域内企業にも波及させたい」と話してくれた。

参加費無料 Zoomウェビナー

「実例から学ぶ、自治体での脱炭素の取り組み」

令和5年8月1日(火)14時~15時30分(開場13時45分)

脱炭素の具体的な進め方として、「自治体×e-dash」の取り組みを紹介する。自治体施設における対応と、地域事業者への支援について、自治体担当者の声を盛り込みながら、詳しく解説。

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お問い合わせ

サービス提供元企業:三井物産株式会社

エネルギーソリューション本部
Sustainability Impact事業部
新事業開発室(e-dash担当)

住所:東京都千代田区大手町1-2-1
E-mail:e-dashtknds@dg.mitsui.com

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