不動産投資は公務員に適してる?リスクとメリットを徹底解説「不動産投資のススメ」
子どもの教育費や親の介護、老後資産など、将来のことを考えるとお金の不安は尽きない。
「公務員は収入が安定している」といわれるが、その一方で生涯年収がある程度見通せるからこそ、資産形成についてはしっかりと考えていきたい。しかし、「何から始めればいいの?」「公務員に最適な資産形成ってあるの?」「どんなリスクに注意すればいいの?」など、尽きない悩みから最初の一歩が踏み出せない……。そんな悩みもしばしば耳にする。
そこで本企画では、安定している公務員から投資家に転身し、「脱公務員大家」としても活躍している土肥孝行さんに、資産運用への不安を払拭するヒントとなる「お金の授業」を執筆いただいた。
最終回となる今回は、最終ステップの資産運用の中でも「不動産投資」について詳しく解説いただく。「不動産投資は公務員という属性を最大限に活かせる投資法」と土肥さん。どういうことだろうか?詳しく見ていこう。
【不安にバイバイ、公務員のお金の授業】
(1) 不安から脱却、安定している公務員が投資家にデビューしたワケ。
(2) 「公務員=安定」から脱却、将来のお金への不安を減らす具体的なステップ
(3) 不動産投資は公務員に適してる?リスクとメリットを徹底解説「不動産投資のススメ」 ←今回はココ
第2回では、お金の不安を払うためのステップとして現状把握と家計改善についてお話させていただきました。3回目の今回は、最終ステップである資産運用(投資)の中でも公務員のみなさんに最適な不動産投資について分かりやすくお伝えしたいと思います。
Step3:資産運用(投資)
2022年岸田政権が発表した資産倍増計画で「貯蓄から投資へ」とうたわれているように、今、国を挙げて投資を促しています。日本人は金融資産の多くを預金で保有していますが、低金利の今は、そのままではお金を眠らせているだけです。物価が上がっていっている現状では、眠らせているだけどころか資産が目減りしていっているという状況に気づかないといけません。
改めて投資を説明すると、「お金を投じることで将来それ以上の利益になって返ってくるのを期待する行為」です。資産を寝かしておくのではなく、運用して殖やしていくことを期待しているのです。その対象として「株」や「投資信託」や「不動産」などがあります。
不動産投資は、公務員に最適な投資
「公務員に最適な投資は何?」と聞かれたら不動産投資だと答えます。かくいう公務員だった私自身も不動産投資を投資ポートフォリオの軸にしています。
不動産投資とは、投資した不動産を他者に貸して、賃料収入などを受け取るインカムゲインと、その投資した金額以上での売却によるキャピタルゲインを期待する行為のことです。不動産投資の優位性や特徴については後ほど詳しく解説しますが、大前提として不動産投資は「公務員という属性を最大限に活かせる投資法」です。
不動産投資では銀行融資が欠かせません。意外かもしれませんが、銀行員にとって公務員は医師や会社代表よりも社会的信用が高く見られているのです。その強みを活用しない手はありません。なぜなら、公務員という属性は、世間一般から見てリストラや倒産・減給といったリスクが限りなく低いからです。
不動産投資の優位性とは?
続いて、不動産投資の優位性について紹介していきます。第1回でも述べたとおり、私が公務員の皆さんへオススメする投資において、もっとも重視する部分は「ほったらかしにできること」です。その点を踏まえたうえで、不動産投資がほかの投資よりも優れている点は主に次の5つです。
メリット1:安定収入が得られる
株やFXの場合、配当やスワップのようなインカムゲインをねらうよりも、値上がりしたタイミングで売却してキャピタルゲインを得ようとする方が多いわけですが、そのタイミングの見極めや損切りの難しさもあります。しかし、不動産投資なら市況に大きく影響されず毎月家賃が入ってきます。
メリット2:インフレに強い
インフレーションとは「貨幣価値が下がって、物価が上がること」ですが、インフレになった場合、貨幣価値が目減りするので借金の重みが軽くなっていきます。また、物価が高くなったとしても、家賃も伴って上昇していくでしょう。これは不動産投資の強みです。
メリット3:外注化の仕組みが整っている
不動産投資は手間なく進められる外注化の仕組みが整っている非常に優れた投資法です。管理会社やリフォーム会社、定期清掃会社などへ外注できる仕組みが整っているため、本業に支障をきたさずに賃貸経営を行うことができます。購入して入居者さえ決まってしまえば、ほとんど時間と手間をかけなくてもよい状態になります。完全な不労収入とは言い切れませんが、運用にかける時間と返ってくる収入のリターンとの関係でいうと、本業よりもよほど効率のよいものになります。
メリット4:土地の価値はゼロにならない
株やFXなど、ほかの投資商品では価値がゼロになることも考えられますが、不動産投資の場合は最低でも土地の価値が残ります。たとえ建物が古くなって使えなくなったとしても、さら地にして土地として売却することができるのです。
メリット5:レバレッジが効かせられる
他人資本でレバレッジが効かせられること。これが不動産投資の一番の魅力です。レバレッジとは「テコの原理」のことです。不動産投資は融資を受けて物件を購入しますが、それは、自分が持つお金の何倍ものお金を動かせるという意味です。
例えば、1000万円の自己資金があったとします。その1000万円で、年間100万円の家賃収益が見込める投資用不動産を購入したとすると、利回りは10%です。しかし、1000万円を頭金として、年間300万円の家賃収益が見込める3000万円の物件(借入れ2000万円)を購入したとしましょう。「見た目の利回り」は同じく10%ですが、収益は3倍に跳ね上がっています。これがレバレッジの大きな魅力なのです。
副業規定に反しない方法
よく「不動産投資は副業規定に違反するのでは?」と聞かれますが、公務員であっても副業規定に違反せずに不動産投資をすることは可能です。一般職の公務員は国家公務員法の第104条により、所属庁の許可がなければ兼業はできません。これを許可される要件が次のように定められています。
まず、自営に該当する基準および承認基準があります。一定の規模以上となる不動産などの賃貸や、太陽光電気の販売、それに農業などは自営に該当しますが、所轄長の承認を得た場合においては行うことができます。
• 自営に該当する基準
イ)独立家屋の賃貸の場合・・・賃貸件数5棟以上
ロ)アパートなどの賃貸の場合・・・賃貸件数10室以上
ハ)土地の賃貸の場合・・・契約件数10件以上
二)駐車場の賃貸の場合・・・駐車台数10台以上
ホ)賃貸料収入が年額500万円以上等
• 承認基準
1)兼業に係る業務を事業者に委ねることにより、職務の遂行に支障が生じないことが明らかであること
2)職員の官職と当該兼業との間に特別な利害関係の発生のおそれがないこと
3)公務の公正性、および信頼性の確保に支障が生じないこと
ここでのポイントですが、まず「自営」に該当する不動産賃貸業は、承認を得さえすれば行うことができるという点です。言い換えると「自営」に該当しない小規模な不動産賃貸は、承認を受けなくてもよいと解釈ができます。
「自営」に該当する基準ですが、不動産所得の事業的規模判定の形式基準である、「5棟10室基準」と同じであることに加え、「賃貸料収入が年額500万円以上」というところです。従って、所得税の申告では事業的規模と認められない場合でも、「自営」に該当し、承認が必要になる場合があります。
次に承認基準ですが、職務の遂行に支障が生じないことが明らかであり、物件の管理を第三者(親族を含む)に委ねることが要件となっています。つまり、自主管理はNGとされているのです。これは当然の話で、自らの手がわずらわされる自主管理をしていては本業に支障をきたすおそれがあるからです。
以上をまとめると、人事院規則では規模が大きくなっても、職務遂行に支障がなく公務の公正性、および信頼性の確保に支障がない等といった承認基準さえ満たしておれば、兼業は可能です。
詳しい説明は割愛しますが、規模を拡大するために家族を代表とした法人を立ち上げる方法もあります。
さて、ここまでの説明で
• 属性を最大限に活用でき、且つ、ほったらかしに出来るという点で不動産投資が公務員に最適な投資法であること
• 公務員であっても自営規模以下、もしくは、承認基準を満たし兼業の許可がとれていれば不動産投資は可能であること
をご理解いただけましたでしょうか。まだまだ疑問や不安が拭い切れない方もいらっしゃると思います。当時の私も同じでした。その不安や疑問をそのままにせず、まずは学び始めることから始めませんか?この3回のコラムでは伝えたいことのほんの一部しか伝えられていませんが、公務員のみなさんがお金に興味をもつきっかけになればうれしいです。
2023年、お金の不安を不安のままにせず、アクションをともに起こしていきましょう!
土肥 孝行(脱公務員大家)
福井県越前市出身。東京都で地方公務員として従事する。株式投資、投資信託、FX投資等を一通り経験した中で不動産投資にウェイトを置く。土地購入から新築を建てる手法で、利回り13%超の物件を完成させる。スクールやコンサルティング、セミナー登壇等1000名以上に不動産投資について講義を行う。
著書に「失敗のしようがない「新築」投資の教科書」「公務員はいまスグ投資をしなさい!!」。
また、公務員向けに資産運用に関する情報共有の場としてFacebookグループとLINEオープンチャットでコミュニティを運営中。