東京都町田市は「自治体間ベンチマーキング」を平成27(2015)年から始めました。
八王子市や藤沢市など、主に人口が40~60万人程度の自治体が、共同して業務プロセスやコストパフォーマンスを比較し、互いの良い取り組みを共有しながら業務改善を進めています。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.3(2018年10月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 東京都町田市
差異の“見える化”から業務改善へ
「自治体間ベンチマーキング」で比較するのは法令で実施が定められている介護や税などの基幹業務です。
業務の稼働時間、業務処理量、コスト等を業務プロセス単位で見える化し、比較・分析します。次に、参加自治体の実務担当者が一堂に会し、討議形式での意見交換を実施します。これにより、調査票に表れる指標の差異だけでなく、業務のやり方や判断基準などの差異まで見える化することができます。
こうした取り組みの中で、良い仕組みや効率的なやり方をお互いに取り入れ、業務改善につなげています。
具体的な成果が明らかに!
「自治体間ベンチマーキング」を実施した結果、町田市では介護保険業務の認定調査において、市調査員一人当たりの年間調査件数を増やすなど、具体的な改善を実施し平成29(2017)年度には、対象業務全体で職員稼働時間を約6700時間削減する効果が得られました。
この取組に関わった職員は「自治体間でここまでの差があるとは驚きです」「一番の成果は意識が変わったこと。差異がわかったことで、改善の余地が認識できました」と話しています。
ベンチマーキングの展望
平成29(2017)年には外部有識者、市長、副市長等で構成する「町田市行政経営監理委員会」が開催されました。テーマは「自治体間比較による行政経営改革」です。オブザーバーとして内閣府、総務省、東京都が参加しました。「自治体間ベンチマーキング」が、自治体が自発的に改革を行おうとしている点や、優れた取組の横展開につながる点などから評価されました。
今後は、参加自治体個別の最適化だけでなく、全体最適化の視点から、スケールメリットを活かしたアウトソーシングや、さらに、長期的な視点に立ち、AI等の最新のICTの活用も模索していく予定です。