令和3年10月の衆議院議員選挙、令和4年4月の豊中市長・豊中市議会議員補欠選挙、同年7月の参議院議員選挙において、大学生を中心とする一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN(以下、NO YOUTH NO JAPAN)と連携し、若者の投票率アップに取り組んできた同市。主に18歳の新有権者に的を絞って実施された取り組みの詳細を取材した。
Q.若者の投票率アップを目指した取り組みの詳細を教えてください。
令和3年の衆議院議員選挙から始めた今回の取り組みは、大きく分けて2つあります。
1つ目は「若者向けチラシによる啓発」です。NO YOUTH NO JAPANにデザインしてもらい、選挙の仕組みや投票方法を記載したチラシを作成しました。市内11の高等学校(私立・支援学校含む)の3年生および新有権者に配布することで、投票への参加を呼びかけました。
※令和4年4月の豊中市長・豊中市議会議員補欠選挙では、チラシの活用はなし。
▲チラシ
2つ目は「投票済証の作成・配布」です。NO YOUTH NO JAPANにデザインしてもらい、しおり型の投票済証を作成・配布しました。
▲投票済証
Q.これらの取り組みを始めることになった経緯も教えてください。
令和2年の秋、大阪大学で教職課程(社会科・公民科)の学生向けに出前授業を行った際、NO YOUTH NO JAPANのメンバーの方が受講されていて、授業後にご挨拶したのが出会いでした。
そのご縁で、令和3年の衆議院議員選挙で協働して選挙啓発に取り組もうということになり、相談を重ねて結実しました。
Q.若者の投票率向上にあたり、主に18歳の新有権者に的を絞った理由は何ですか?
若者にとって選挙が大事であること、身近であることを感じてもらいたかったからです。まさに当事者であるNO YOUTH NO JAPANの経験やアイデアを活かし、内容やデザインなど、できるだけ若者の目線に立ったものにしました。
また、特に初めて投票に行く、または今後投票に行くことになる若者が選挙に関心を持つ視点を見出せれば、選挙を身近に感じてもらうことができ、今後の投票行動につながっていくのではないかと考え、新有権者に的を絞った施策を行いました。
Q.複数ある団体の中から、NO YOUTH NO JAPANとの連携を決めたポイントはどこでしたか?
豊中市内の大学(大阪大学)の在学生が団体メンバーであり、団体側に、地元自治体と連携して選挙啓発活動をしていきたいという意向があった点です。
これに加えて、豊中市選挙管理委員会としても、若者向けの啓発を当事者の視点から取り組める団体と協働して選挙啓発活動をしていきたいという思いがありました。当該団体のこれまでの取り組みが同じ方向性を有していると考えられたため、連携することにしました。
Q.この取り組みを行ってみていかがでしたか?
若者が感じていること・求めていることを、その世代の人とともに考えることで、内容的にもデザイン的にも明るく親しみやすいチラシを作成できたと感じています。
また、SNSで投票済証がアップされていたり、期日前投票所で多くの方が投票済証を持ち帰られたため不足が生じたりといった反響があったため、嬉しく思っています。
10~20代を中心とするNO YOUTH NO JAPANと連携させていただき、大変勉強になりました。
現在、令和5年の統一地方選挙に向けて、NO YOUTH NO JAPANと連携した具体的な取り組みについて相談しているところです。
今後も、若者世代の視点を大切に、啓発事業を継続して行っていきたいと思います。