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【セミナーレポート】令和5年度予算×DX/Day1

住民の「生活の質」と「満足度」の向上を目指し、いつ、どのようなサービスを、どういった形で取り入れるのかの判断が、各自治体に求められています。特に「DX」は、国をあげての重要課題として、急速な導入と環境整備が進められています。ただ、導入・活用に関するコスト面の課題、自治体の現況に応じたDX手法の選択に関する課題などで、導入を踏みとどまっている自治体も少なくはないようです。

そこで、先進自治体がどのような施策を経てDX導入を実行したのか、サービス提供企業をどのように選定し付き合っていくのかといった、令和5年度の予算要求と施策に役立つ情報を、2日間にわたってお伝えします。

概要

■令和5年度予算×DX/Day1
■実施日:9月21日(水)
■参加対象:自治体職員
■申込者数:215人
■プログラム
Program1
シン・トセイ 都政の構造改革QoSアップグレード戦略
Program2
静岡県導入!職員の業務改革をパワポ動画DX
Program3
BYODで実現する、自治体デジタルトラスト
Program4
~自治体様のウェブサイトを使ってご紹介~よくある質問を減らすには?
Program5
小規模自治体のデジタル化~今できること


シン・トセイ 都政の構造改革QoSアップグレード戦略

<講師>

東京都 副知事
宮坂 学 氏

プロフィール

平成9年6月 ヤフー(株) 入社
平成24年6月 ヤフー(株) 代表取締役社長
平成25年6月 ソフトバンク(株)(現ソフトバンクグループ(株)) 取締役
平成30年6月 ヤフー(株) 取締役会長(~令和元年6月18日)
令和元年7月 東京都参与(~令和元年9月19日)
令和元年9月 東京都副知事(現任)


行政は“昭和型仕事様式”のまま令和の時代を迎え、予期しなかったコロナ禍でデジタル化の遅れが浮き彫りとなった。そうした課題を克服するため、東京都は令和2年8月から都政の構造改革をスタートさせ、「シン・トセイ」とのプロジェクト名で令和7年までに「デジタルガバメント・都庁」の基盤構築に向けた取り組みを進めている。同プロジェクトの現在地や取り組み事例について、副知事の宮坂氏が紹介する。

行政のデジタルサービスに対するユーザーの評価は?

まず、なぜ「シン・トセイ」という変わった名前の取り組みを行っているのかをお話しします。

東京都、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル在住の10代~70代を対象に、学校教育、仕事上の手続き、転出・転入、税金などの主要分野で、デジタル化された行政手続きを利用しているかどうかをWebアンケートした結果、東京は全てにおいて負けていることが明らかになりました。負けていても品質が高ければ良いのですが、品質面においても全領域で負けていました。つまりデジタルによる行政サービスを提供する点において、量も質も海外の主要都市に在住の人に比べ、東京都民に不便をかけているというのが現状です。

さらに職員のデジタル環境ですが、現在、メール、チャット、ビデオ会議等いろんなツールを使っていますが、満足度を調査したところ不満32%、満足25%でした。ちなみに前回(2021年)は54%が不満だったので、かなり改善されてはいるようです。何とか、満足が不満を越える1年にしたいと考え、職員一同が頑張っているところです。民間企業では、デジタル活用を前提にしたビジネスモデル構築や組織改⾰が進められていますが、行政は、昭和の仕事のやり方を平成になっても改革し損なっているというのが私の印象です。それらを全部止めようというのが、現在の取り組み内容です。

「シン・トセイ」のねらいと制度・仕組み・文化の構造改革

Windows95が発売されて以降、民間企業では一気にデジタル化が進み始めました。一方、行政はそれができていなかったため、ここらで飛躍的に角度を変えるための構造改革が必要です。

都の職員が登庁しなくても仕事ができる、都民も庁舎に来なくても全ての用事が済ませられる、デジタルガバメント・都庁、バーチャル都庁の基盤をつくり終えることが、「シン・トセイ」の目標になっています。この構造改革において、非常に大事な部分があります。下記の図をご覧ください。

我々がやりたいのは、氷山の水面の上の部分です。今は、この部分が小さいのですが、これをもっと大きくするためには、都民から見えない部分である内部の構造改革をやらないといけない。例えば、調達や技術評価の仕組みを変えるとか、クラウドサービスを活用するようにするとか、オープンデータなどをとり入れるとか、方法は多数あります。デジタルサービスの背景にある組織文化や制度に手を入れないと、氷山の上は大きくなりません。

「シン・トセイ」は、2つのプロジェクトで構成されています。1つはコアプロジェクトで、都政の構造改革の突破口となる7つの全庁横断的な取り組みです。もう1つは「各局リーディングプロジェクト」と呼んでいて、各局で新しい取り組みを始めるのがねらいです。以下が、コアプロジェクトと各局リーディングプロジェクトのイメージです。

職員自らがデジタル化に取り組む重要性

デジタル化を推進する上で重要なのは、"職員が自らやる"ことです。ベンダーやエンジニア任せではなく、職員が心の底から「デジタル化したい」と考えなければ、職場は変わりません。例えばペーパーレスの場合、2016年比で約55%まで削減できました。FAXの使用は、2019年比で約99%削減することができました。

ルールを書きかえることも重要です。2021年4月に、「東京デジタルファースト条例」を策定し、行政手続きは原則的にデジタルへ180°転換しました。2023年度までに、約2万8000プロセスの手続きのうち70%(約2万プロセス)ほどをデジタル化するための取り組みを着実に進めています。

以下の図は、過去30年分の財政データを、若い職員がビジュアル化したものと、それに触発された別の職員が、収入の方も見える化したものです。

都庁内だけではなく、都政の現場でも少しずつ変革が起こっています。例えば、豊洲市場では、都庁職員が水産物の衛生監視業務を行っていますが、これまで分厚い魚類図鑑と紙、ペンを持ってまわっていたものをタブレット化したことにより、身軽に動けるようになりました。このように、現場の職員自らが、自分たちの仕事をデジタル化して便利にしたいと考え行動することが重要なのです。

「シン・トセイ」のポイントは、D(デジタル化)に見合ったX(変革)を推進することです。そして、デジタル化した内容をSNSでどんどん情報発信することで、新しい知恵が集まってきます。今年から、「都庁DXアワード」という新しい取り組みを始めました。各局でデジタル化に向けた挑戦をした人を、きちんと見える化し、みんなで評価する文化を創るためのものです。このような前向きなエネルギーをより多く生み出したいと考えています。

静岡県導入!職員の業務改革をパワポ動画DX

<講師>

株式会社4COLORS 代表取締役社長
加山 緑郎 氏

プロフィール

ホテル勤務を経たのち、大手印刷会社にてWebプロデューサーとして従事。その後、2006年に株式会社4COLORSを設立し、国内、国際特許を取得したDXを推進する3Dアバター付動画作成クラウドサービス『PIP-Maker』を開発・提供。


庁内研修や外部向けの説明業務に関して、負担を感じている職員も少なくないはずだ。アバター付動画作成サービス『PIP-Maker』は、現場の職員がパワーポイント資料を使って撮影・録音することにより、専門スキル不要で研修・マニュアル動画の制作が可能になるという。現在、静岡県庁や都城市役所など、複数の自治体や大手企業などが採用し、動画10万本以上の動画が作成されている同サービスの概要について、加山氏が紹介する。

DXの課題/なぜ業務変革が難しいのか?

総務省のまとめによると、自治体DXに向けた主な課題は財政的に厳しい、担当する人員が足りないなどで、約8割の自治体がDXに未着手の状態とのこと。一方で、職員数は減少しており、1人当たり業務量は必然的に増加傾向にありあます。

特にここ数年は、コロナ禍により業務量が増加しており、このままでは、DXの実現はなかなか難しそうです。そこで着眼していただきたいのが、下記の事柄です。

手続きのサポートの案内やマイナンバーに関する説明、法人に対する規定の説明会など、同じことを繰り返し説明するものは、デジタル活用で自動化できます。そうすることで時間が削減され、やるべき時間が生まれます。そして、地域支援や連携、行政から出てきた方針をキャッチアップしてアイデアを練るなど、"人がやるべきこと"をやる。これにより自治体のDX化が図れると考えます。

では、それを誰がやるのかと言うと、現場の職員が少しずつスタートさせることが可能です。弊社が提供するアバター付動画作成クラウドサービス「PIP-Maker」を使えば、今ある資料と説明文章を用意し、パワーポイントを使って、ノートという機能でセリフとしての文章を入れるだけです。

すると、ノートに入れた文章が音として生成され、1本当たり約100ページつくることができます。また、クイズやアンケートも入れることもできます。パワーポイントは図形でボタンを作れますが、このボタンにハイパーリンクを貼ることもできます。アップロードが終わると、CGのアバターが喋る音声が出来上がります。音声は139種類の合成音が用意され、英語や中国語など外国語にも翻訳することができます。

アンケートを準備している場合は、YouTubeのように再生し続けるだけではなく、自動的に止まって利用者がアンケートに参加できるなど、行動を起こさせることが可能です。また、アバターや背景も変えることができます。プレゼンテーションやセミナールームのような形で設定すると、以下の画像のように、セミナー空間で説明しているように演出することも可能です。

マウスで画面を動かし、アバターや文字を拡大することもできます。この動画は、HTML動画という形式で、ファイルサイズは一般的な動画の1/10ほどしかありません。非常に軽いので、動画のURLをウェブに貼ったりメールで送ったり、二次元コードで配るといったことできます。

今、あるものにセリフを入れるだけの簡単作業

弊社の「PIP-Maker」の最大の特徴は、動画撮影や録音を行わなくても、庁内にある研修資料やマニュアルなどに、セリフの文章を入れるだけで動画が作成できる点です。修正が発生した場合も、すぐに直すことができます。さらに、アンケートやクイズを設け、反応を見ながら改善していく、つまりPDCAをまわしていくことができます。

従来のリモートミーティング形式だと、説明する側の職員を拘束することになりますが、オンデマンドでアバターが喋るので、人が要りません。デジタルデバイドの対策や業務フローのマニュアル、ペーパーレスによって動画で伝えるという考え方、職員の研修など、複数部門で現場から使って広がっていくという傾向があります。

民間企業の事例ですが、LIXILの複数部門の社員が「PIP-Maker」を使い、4年間で約5,000本のマニュアル動画を作成しました。従来と比較して、動画公開までの時間を1/30以下に短縮できたようです。

自治体の事例を紹介しますと、例えば秋田市は、高齢者向けのコインバス事業の説明で使っています。担当課長がご自身の顔写真をアップして、アバターをつくられたとのことで、高齢者の手元には紙の利用申込書があり、その手続きの説明動画として作成したそうです。

こちらは、静岡県清水港の局長が、アバターになって挨拶しています。顔写真を1枚アップすることによって、自分のアバターをつくることも簡単にできます。清水港では、社会見学の子どもたち向けの動画も作成しています。

コンテンツ制作の効率化はもちろん、合成音なので、人による説明のばらつきを改善するのにも役立っています。そして、再生回数だけでなく閲覧履歴も残すことができます。何人がどこのページを見て、クイズなら正解・不正解をグラフ化したり、正答率を出したりできるので、職員の番号などを入力するようにすれば、誰が何点取れたかも分かります。そのデータを元に、PDCAをまわしていくことができるわけです。

「PIP-Maker」を使って、累計約10万本の動画が作成されました。特に、ここ数年で一気に増えています。

「PIP-Maker」を使ったDXの進め方は、下記の図を参照してください。無料トライアルもできます。課題解決についてご相談がありましたら、「PIP-Maker」で検索、もしくはぜひお問い合わせください。

BYODで実現する、自治体デジタルトラスト

<講師>

株式会社レコモット 代表取締役CEO
東郷 剛 氏

プロフィール

1992年にコンサルティング企業でワークフローシステムの開発企画に従事。1996年に国産ソフトウェアベンダでマーケティング職に従事。2005年に創業し、代表取締役CEOへ就任。


コロナ禍を機に、一気に進んだリモートワーク。しかし自治体では、セキュリティ面の課題などからリモートワークが普及していない。DXを推進して行政サービスの充実を実現するには、自治体のデジタルシフトが前提であり、そのためにはLGWANとクラウド、庁舎とリモート、BYODと支給端末といったハイブリッドな環境とセキュリティが重要と言える。レコモットの東郷氏が、DXとセキュリティの関係を整理し、シン・デジタルトラストの実現を支援する方法を紹介する。

自治体に必要なDXとは何か?なぜデジタルトラストが重要なのか?

「DX」という言葉は、日本では「2025年の崖」と呼ばれています。2025年には4人に1人が後期高齢者になるので、デジタル化を進めないと民間企業は生き残れないと言われています。一方、自治体向けには、総務省が2020年に自治体DX推進計画を出し、データとデジタル技術活用による業務効率化、行政サービスと住民の利便性を向上させ、新たな価値を創造することが必要だと指摘しています。

自治体DX推進計画をひもとくと、下記のように、重点的に取り組むべき6つの事項が定義されています。

デジタルガバメントが進むことで「住民サービス」がオンライン化、もしくはリモート化される。場合によってセルフサービス化されていき、対面業務が少なくなっていく。そうなると職員も、どこででも仕事ができる状態になってくるのではないでしょうか。

デジタルトラストを支える自治体セキュリティモデルとは?

2015年、日本年金機構情報漏洩事故が発生しました。それを受けて総務省は、「三層の構え」と呼ばれるαモデルを推奨しました。ほとんどの自治体がこのモデルに伴い、6つのネットワーク配下のシステムを運用している状態です。この独自のセキュリティモデルが自治体の負荷を高め、リモートワークが進まない理由になっていると思います。

あまりにも利便性が低いということもあり、最近は、下記図のような構成のβモデルやβ’モデルが出ています。

このモデルは、ネットワーク内で完全に分離されているので安全性が高いのは間違いありません。一方で、庁内からのアクセスに限定しているため、外部からのアクセスに対し、非常に考慮が少ないのです。

これはクラウドサービスに対しても同じで、庁内のインターネットアクセスは自治体情報セキュリティクラウドで厳密に定義されているにもかかわらず、庁外やリモートワーク環境からだと、セキュリティが甘かったりします。本来は便利なもののはずなのに、不便な使い方をしてしまうこともあり、予算が確保しにくい自治体に関しては、かなり高いハードルになっています。

理想的な自治体リモートワークサービス

理想的な自治体リモートワークサービスとはどういったものなのか、整理してみました。まず、考える必要があるのは、「BYOD(個人端末の業務利用)」によるデバイスのハイブリッド化です。

テレワークの対象者が増えると端末の調達コストが上がってしまいますが、BYODも活用することで、コストを大きく下げる効果があります。これからのリモートワークは、自治体支給と個人端末のハイブリッド型へ持っていく必要があると我々は考えています。当然、セキュリティとプライバシーの問題が出てきますから、これを解決する考え方が以下の図です。

自治体の情報資産もデバイスも自治体の資産なので、MDMと呼ばれるモバイルデバイスマネジメントのツールを入れ、端末やアプリ監視もコントロールできました。しかしBYODになるとデバイスの所有者は職員個人になり、プライバシーの問題からMDMを使った監視はできなくなります。

この解決策が、真ん中の水色の破線部分。情報資産だけ管理して守るMAM(モバイル アプリケーション マネージメント)という考え方です。アプリケーションとデータだけ保護ができれば、デバイス本体の管理が必要なくなります。同時に、自治体の情報資産をしっかり守ることができます。

BYODでアプリだけを管理する方法があるのでしょうか?あります。弊社の「moconavi」です。自治体支給の端末でも使えますし、個人端末でも使えるようになっています。moconaviを中心に、リモートデスクトップサービスや、個人のスマホ端末に050番号を付与し、自分個人の携帯電話の番号を取得しながら業務利用もできます。

これを組み合わせた自治体向けの3つのソリューションを紹介します。詳細はそれぞれ、図解で確認してください。

1)あのテレワークサービスと同じ方式でのリモートアクセス


2)庁内外でのコミュニケーション活性化支援


3)βモデルの自治体セキュリティクラウドを安価に

この仕組みは現在、J-LISに申請をしているところです。まだ許可※1が出ていませんが、これができるようになると、インターネット接続系に加えLGWANからも、moconaviが対応している40以上のさまざまなクラウドサービスが使えるようになります。

これまでLGWAN ASPしか使えなかったところから、LGWAN ASPゲートウェイを通じて、αモデルのままでもいろんなクラウドサービスが使えるようになります。当然無害化を実施していますので、LGWAN ASPの要件を満たして安全にインターネットサービス、クラウドサービスを使うことができるようになります。

導入企業は約1300社、地方自治体の導入事例としては和歌山県を紹介しており、10年ほど使っていただいております。無償トライアルやセミナーを随時開催していますので、ぜひお申し込みください。
※1:10月24日にJ-LISの申請が承認されました。サービス名は「moconovi LGWAN接続クラウドゲートウェイ サービス ASPコード:A831571」のご提供が可能になりました。

~自治体様のウェブサイトを使ってご紹介~よくある質問を減らすには?

<講師>

パーソルプロセス&テクノロジー株式会社
ビジネスエンジニアリング事業部
赤石 輝生 氏

プロフィール

法人営業歴13年。ネット広告やSaaSなど無形商材の提案営業を行う。SaaSやネット広告提案の営業実績が評価され、前職ではSaaS総合代理店の取締役を務めた経験もある。


顧客対応業務や、役所内における情報およびナレッジの共有について、課題を感じている自治体職員も少なくないはずだ。そこでパーソルプロセス&テクノロジーの赤石氏が、疑問解決エンジン「Helpfeel」を活用してユーザー自身による疑問の解決を促し、人的リソースを有効に活用できる仕組みづくりについて、実際に導入している自治体様のウェブサイトを参照しながら解説する。

自治体ホームページとFAQの見直しが急務

まず初めに、なぜユーザーは、FAQを見るのか。また、なぜホームページを見るのか。こちらの答えは簡単です。それは、良質な情報をなるべく迷わずに簡単に、そしてストレスを感じずに検索して閲覧したいためです。そして以下の図は、全国200社のコールセンター運営企業が回答した実態調査をもとに可視化した「コールセンター白書」から抜粋した、ユーザーがFAQを見ても答えが出なかったときに起こす行動です。

20~70歳代平均で、50%以上はホームページ(FAQ)による解決割合が高い一方で、約半分のユーザーは、コールセンターでの解決になっています。FAQを見て解決できないユーザーが、再度ホームページに訪れる確率は、10%以下と言われています。
上の図2をご覧ください。問い合わせをする前にホームページを見ている割合は70%。コールセンターに電話をするユーザーは、事前にしっかりと調べていることが分かります。

そんな中で、自治体がすぐに行うべきことは、FAQやホームページの見直しをすることです。ユーザーが求める情報を見つけやすくすることが、急務ではないでしょうか。今回紹介する「Helpfeel」は、"ヘルプページは役に立たない"という常識を変えるサービスです。

ユーザーの自己解決率向上をサポートする

「Helpfeel」は意図予測検索テクノロジーを使うことで、疑問を持ったユーザーに寄り添った情報提供が可能になりました。検索ヒット率が高いだけでは、ユーザーの自己解決率は上がりません。コンテンツの不足と改善体制をしっかりつくることも重要な要素になります。「Helpfeel」は、FAQに必要な全ての要素に対応しております。

開発者の増井 俊之氏はiPhoneのフリック入力を開発したことでも知られています。この「Helpfeel」を管理しているのが、スクラップボックスと言って、誰でも簡単に操作ができる管理システムです。この「Helpfeel」とスクラップボックスを掛け合わせたのが、当社のFAQシステムになります。NOTA社が開発元で、我々が第一次販売代理店という立ち位置になります。

「Helpfeel」を契約いただくと、ウェブディレクター、テクニカルライター、カスタマーサクセスのサポート体制があります。本日のセミナーに参加している方の中で、チャットボットご担当の方なら、シナリオをつくることがあると思うのですが、それらの工数は我々が全部作成していきます。また、カスタマーサクセスサポートがプロジェクトワークフローを明確に効果検証し、調査、戦略、設計、構築、運用・効果測定の各フェーズを、しっかり行います。

ヘルプページに来たユーザーは、検索しても明確な回答が出てこないとページから離れ、再度訪れてくれなくなります。弊社は、ユーザーがいかに来やすくなるかという導線設計やKPI設計までサポートしています。KPIの戦略の立て方は、あらかじめ2年分など見立てたKGIとKPI進捗との差を毎月チェックし、必要に応じて修正を繰り返します。それにより目標であるお問い合わせ削減を目指します。

以下の図は、サポート体制の全体像です。このステップ1~5まで、我々の方でサポートします。契約後は月に1度、私どもカスタマサポートとカスタマーサクセスが打ち合わせを行い、導線の設計改善を主導的に行っています。

他社との違いと「Helpfeel」が選ばれる理由

他社サービスとの違いと「Helpfeel」が選ばれる理由について、下記のようにまとめてみました。契約後も安心のサポート体制、回答へ瞬時にたどり着けるのでユーザーが使いやすい、そして確実に問い合わせ削減ができる。さらに、簡単に導入できる。この5つが、選ばれる理由だと思っています。

成果事例について紹介します。小平市のコロナワクチン接種による導入事例です。窓口への多数入電を予想し、コールセンターへの問い合わせに頼らず疑問解決できるようにする必要がありました。対応施策として、ワクチン接種券の資料や市報に二次元コードを掲載し、住民に利用を促進。

導入効果として、問い合わせを25%削減し、月間2席の工数削減を実現できました。また、オペレーターがFAQを元に、正確な回答と案内が可能となり、苦情の比率が0.8%と少なくなりました。

導入までに、お客様にやっていただくことは、弊社が作成したFAQの解答の作成と確認です。基本的にこの2点以外、やることはありません。契約後も安定して当社の方に任せていただけるのがベストだと思っています。

従来のAIチャットボットのようにシナリオをつくるのではなく、我々の方が全て自動的につくらせていただきますので、その辺もしっかりと安心してお任せいただきたいと思います。

小規模自治体のデジタル化~今できること

<講師>

奈良県田原本町 総務部 総務課 ICT推進室
主幹 藪内 伸彦 氏

プロフィール

平成3年4月に田原本町役場入庁。総務課、財政課などを経て令和3年4月より現職。令和2年11月からは「地方自治体のDX推進に係る検討会」構成員となり、令和3年5月より「デジタル時代における住民基本台帳制度のあり方に関する検討会」実務員も兼務中。


国が目指す「誰一人取り残さない人に優しいデジタル化」を実現するためには、職員数が少なく体制が十分とは言えない小規模自治体でも、DXに向けた取り組みを着実に進めなければならない。“やるべきこと”は多種多様だが、その中でも自治体の情報システムの標準化・共通化、DX推進計画の策定、デジタル人材の活用などを中心に、小規模自治体でもできる取り組みを、田原本町の藪内氏が説明する。

標準システムへの移行について、今できること

田原本町は、人口約3万1,000人の小さな町です。大・中規模自治体は人口が多いので、組織数や課の規模は当然大きく、小規模自治体は組織数が少ないので、例えば総務財政課などは多数の課がまとまって兼任する業務が多いのが特徴です。田原本町のデジタル化に関する主な取り組みのうち、本日は主なものについてご紹介します。

標準システムへの移行については、業者任せにしている自治体も多いと思います。その中で、デジタルPMOという形で毎月の進捗報告があると思いますが、本当にそれで良いのか、皆さんもかなり悩まれていると思います。それでも不安が消えない場合、皆さんはどうしていますか?

そこで、"今できること"を、1~4までまとめてみましたのでご覧ください。

参考までに本町の場合は、平成23年度より基幹システムをクラウドで共同利用しています。それがきっかけとなり、「奈良県基幹システム共同化検討会」という枠組みの中で、7自治体がお互いに色々な相談をしています。今回のDXの取り込みや標準化の取り組みも、単独でするよりも大勢でする方が、安心感があるものです。

自治体DX推進計画策定について

そもそも「自治体DX推進計画策定」とは何なのか。「推進計画をつくる必要があるのか?」、「国の計画をもとにすれば簡単に作れるのではないか?」と、お考えの方もいるでしょう。さらに、「デジタル田園都市国家構想」などデジタル関連の文言が多数出てくるので、混乱しがちです。今できることの1つ目は、実際に自治体DX推進計画を策定することです。

策定にあたっては根拠が必要になります。国は、「自治体DX推進計画」を令和2年12月に策定しており、つい先日、2.0版に改定されました。奈良県の場合は県民を対象に、令和4年3月に「奈良デジタル戦略」を策定しています。本町は、町民を対象にデジタル化することで住民がどういう恩恵を享受できるかを実感してもらうため、「田原本町デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を策定しています。

本町の策定プロセスは以下の通りです。

まずは自治体規模や立地条件などが近い自治体の計画を収集しますが、総合計画との位置づけも必要であるため、政策部署との調整も必要になります。また、ICT推進会議でも内容を協議しており、これは副町長をCISOとしています。策定後は職員への周知を行わないと意味がありませんので、それも直ちに行いました。策定後には各課にヒアリングを実施し、デジタル化できそうな業務のピックアップを考えています。

そして、ここが一番大事なことですが、行政改革の実施を先に行ってください。せっかくデジタル化を推進したのに、行政改革の影響で、その業務自体が無くなる可能性があるからです。本来は、行政行革を先に行った後にデジタル化をシンプルな状態で進めるのが良いと思います。そして、ヒアリングシートをもとにICT推進会議で協議し、ピックアップした業務の個別計画を作成します。

まずはできることから優先的に着手するというのが大切だと思います。本町の自治体DX推進計画はホームページに掲載していますので、関心がおありでしたらご覧ください。

デジタル専門人材の活用・人材の育成

デジタル専門人材の活用と、人材の育成についてです。人材には限りがありますが、意外に候補者は身近にいるかもしれません。エクセルなどが得意な内部職員もいると思いますので、あたってみましょう。

本町も外部のデジタル人材を採用しています。その理由はこちらです。

デジタル専門人材の支援があることを知り、派遣制度を申請。幸いにも田原本町に興味を持ってくれた企業が見つかりました。ただ、着任の時期が新型コロナウイルス感染症の全国緊急事態宣言発令中だったため、波乱のスタートとなりました。外部人材を採用して分かったことを、下記にまとめています。

今後、少子高齢化はさらに進むでしょう。だからこそ、デジタルをうまく活用することが大事だと思います。デジタル化は、あくまで手段であり、良くも悪くも使い方によると考えています。デジタルを全て良いと考えず、アナログで残すべきところは残すことも大事だと思います。それによって、全ての人が安心できるデジタル社会の実現が叶うと思います。

小規模自治体ではありますが、時には他の自治体や外部人材に助けを求めることもあると思います。先ほど東京都副知事の宮坂さんが言われた通り、"職員自らがする"ということで、本町としては職員が主体的に町の規模に合ったデジタル化の検討推進を行いたいと考えております。皆さん、今しかない時間を有効に使って、一緒にデジタル化を進めていきましょう。

 

お問い合わせ

株式会社ジチタイワークス

TEL:092-716-1480
E-mail:seminar@jichitai.works

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