ジチタイワークス

キャリア形成に重要な「仕事の段取り力」とは?

「仕事にやりがいを感じられない」「これからのキャリアが思い描けない」......。
自治体で働く中で、誰もが一度は“キャリアデザイン”で悩んだことがあるだろう。

本企画では、静岡県庁職員や藤枝市副市長などのキャリアを積み、現在は藤枝市理事兼人財育成センター長を務める山梨秀樹さんに、「公務員のキャリアデザイン」について執筆していただく。
これまでジチタイワークスWEBでも、様々な自治体職員の方に仕事観や経験について語っていただいたが、本企画ではキャリアデザインについての全体像を俯瞰して考えていく。

第3回目の今回は「仕事の段取り力」について。
山梨さんは「仕事をテキパキとよどみなく行うための知恵と工夫は、スピーディーに効果的な業務成果を出すことに寄与し、仕事の不安も解消します」と述べている。それでは早速、仕事の段取り力について掘り下げていこう。

あなたの仕事の「段取り」は?

あなたがキャリア形成を進める上で重要な要素となるのが、あなたの仕事の段取り方です。

仕事をテキパキとよどみなく行うための知恵と工夫は、スピーディーに効果的な業務成果を出すことに寄与し、仕事の不安も解消します。

どの分野に配属されても、早く要領よく課題の解決や施策につなげていく。これが「段取りの力」であり、あなたのキャリアを豊かに形成するため、若いうちから培うことが大切です。

それでは「段取り力」はどんな要素で成り立ち、どうすれば会得できるのか。一緒に考えてみましょう。

 

仕事の改良、新規事業の企画の段取りとは?

どの部署の仕事でもそうですが、仕事を改良したり新たな事業を始めたりするとき、まず行うべき基本的な段取りがあります。それが、「思考の段取り」です。

公務には必ず、「なぜやるのか?」「どうして必要なのか?」という理由と目的があります。そこで、あなたの中でいつでも次のような思考の流れをつくります。

仕事の改善も新規事業の構築も、あなたの力量を社会で試す「作品づくり」です。私は自分の立案した改革案や新規事業を「わが行政作品」と呼ぶことにしています。

この作品づくりは、改革や事業への社会的な要請(行政目的)と、それを実行することで生まれる社会的な成果(行政効果)を整理することから始まります。

では、この整理と実行の段取り力は、どうしたら身につけることができるのでしょうか?

 

日常業務で、何を心がけるか?

仕事の改革や優れた施策・事業を創り上げる段取りの力は、あなたの日常の仕事に向けた姿勢と態度、つまり仕事の仕方次第で、グングンと身についてきます。

具体的には、次の通りです。これらをできるだけ日頃の習慣にしていけば良いのです。

 

①早く察知し、すぐに動く

市町村の窓口には、毎日多くの人々が訪れます。手続きや要望、苦情、面談、相談、照会、マスコミの取材など内容も様々。日々押し寄せる事案に対し、「逃げずに受ける」姿勢を貫きます。

逃げの姿勢で引っ込んでいたのでは、課題もつかめないし戦略も思いつきません。

まず動く。自ら進んで乗り出す行動パターンを毎日続けていくと、次第にこの力がついてきます。仕事に追われる状態から、仕事を追いかける態勢に変わっていきます。これは多戦・多学で身につけるワザです。

 

②何が問題なのかを、正確につかむ

いま一番にやるべきだと思うことを、早く選択するワザです。

課題を感じたら、まず現場に行く。地域の状況を見て聞いて、何が原因で、何が求められているのかをつかみます。

様々な課題についてこの動作を繰り返すことで、課題の本質と具体的な対処のイメージが、早く、くっきりと見えるようになります。

事業立案の際、現場の情報やデータなどから、なぜそうなったのかを早くつかんで対応を企画し、的を絞って構築できるようになります。

さらには、解決したときの情景も動画のようにリアルに想像できるようになります。

これはイマジネーションとシミュレーションの力です。課題もその解決方法も、全て現場にあります。何事も現場をきちんと見る習慣が大事です。

 

③具体的にどうするかを、早く決める

新規施策や事務事業の改善などで、当面どこまで対処できるか。できるだけ簡明な資料をつくり、自分の発想や構想を1枚のペーパーで戦略案にするワザです。

資料や書類をたくさんつくるのが仕事ではありません。そんなものはあなたの自己満足に過ぎません。

戦略は早く決め、早く人々に向けて放射すべきで、簡潔・明瞭に、分かりやすい戦略書をつくれるかどうかが大事なのです。これには、具体的な行動案を書き出して整理する習慣が役立ちます。

行動の選択肢を整理し、早く決めて実行するには、「まずここまではできる!」という最初の小さな成果をイメージすることです。

あなたの考える最初の成功画像を、早く相手に示しましょう。こうしていくと、あなたの作業スピードはだんだん上がってきます。それは役所の素早い反応と行動で、人々をうならせる信用にもつながります。

 

④思いを形にする行動をパターン化する

事業案がまとまったら、上司に論理的に説明して協議します。資料は簡潔に、説明は丁寧に。これが晴れて事業として実施されると、成果とともに評価、指摘や反省点が出てきます。

そこで、次にどうしたらいいかを自分の言葉でまた簡潔に書き出し、整理します。それを事業案(または改善案)にして協議・調整をし、また実行に移すのです。この一連の行動が「行政作品に向けた段取りパターン」です

日常業務の中で、この循環的なパターンは誰でもつくれます。

どの部署に行っても、思考⇒言葉⇒事業化⇒実行⇒思考⇒言葉⇒事業化…の循環系で行動すると、あなたの業務スピードは年々速くなります。

1年に1業務程度を対象に行動すれば、どこに異動しても具体的な成果が出せるようになり、仕事が楽しくなります。

 

⑤誠実に聞き、誰もが分かるように伝える

あなたの仕事への思いと具体的な戦略を、熱量を持って伝え、対話につなげるワザです。日頃から分かりやすい言葉の選択を心がけることで培われます。

人々が求めているのは、あなたの施策ビジョンです。「まちをこうしたい!」というあなたの考えと、それを実現する具体的な施策を、上司や住民に一発で届くよう分かりやすく語って対話を仕掛けましょう。

思いを言葉に、言葉を戦略に。施策・事業は簡明な言葉で語られる「物語」と言えます。

そして事業は上司や経営幹部の理解と後押し、同僚の協力が必要ですから、組織内での「同じ思いの共有」が重要です。上司と会話し、関係者にしつこいほど連絡を取って内容を共有しましょう。

すると、あなたに周囲を引きつける求心力と指揮力が生まれてきます。日頃の職場での会話の数、あなたが醸し出す「風通し」が大きく作用するのです。何より明るさが大事です。

 

あなたは仕事を通じて、上記のワザの幾つかをすでに会得しているはずです。
さあ、自信を持っていきましょう!

 


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【連載】「公務員のキャリアデザイン」を学ぶ

第1回:自治体職員のキャリアデザインとは、“公務員としての人生設計”です。だからこそ、組織は、職員を優れた職業人としてどう大成させるかについて、重い責任を負っています。その一方、住民の幸福度を上げるための自治体の最重要テーマは、組織の総合戦力を上げること。そこで、第1回では、職員の人生設計に組織が寄り添い、自治体の将来を担う人財を明るく育むワザについて考えていきます。

第2回:人財育成システムをうまく稼働させるためには、職場のリーダーや管理職の具体的な日常行動が非常に重要です。「肝心なのは、組織、職場に、明るくて気持ちの良い空気を、言葉の力で意図的につくる努力」だと山梨さんは述べています。また、職場の士気を上げる方法として、各職員の徹底した仕事情報の発信も重要です。その背景には「常時的説明責任」があるとのこと。一体どういうことなのか、掘り下げて学んでいきましょう。

第3回:キャリア形成を進める上では、仕事の段取り方も重要です。山梨さんは「仕事をテキパキとよどみなく行うための知恵と工夫は、スピーディーに効果的な業務成果を出すことに寄与し、仕事の不安も解消します」と述べています。「段取り力」がどんな要素で成り立っているのか、どうすれば会得できるのか、日常業務で何を心掛ければ良いのか、具体的に見ていきましょう。


プロフィール

山梨 秀樹(やまなし ひでき)さん

昭和33年11月生まれ。昭和58年3月京都大学経済学部を卒業し、同年4月、静岡県庁に入庁。総務部市町村課、旧総理府(現内閣府)地方分権推進委員会事務局、静岡県総務部合併支援室などを経て、平成20年10月藤枝市行財政改革担当理事、平成24年8月同市副市長、平成28年4月静岡県知事公室長、平成29年1月静岡県理事。平成31年3月に同県を定年退職し、同年4月から藤枝市理事。令和2年4月から同市人財育成センター長を兼ね、現在に至る。

著書に「伝えたいことが相手に届く!公務員の言葉力」(ぎょうせい)。ほかに寄稿、論文、大学ほかでの講義、講演など。

著書

伝えたいことが相手に届く!公務員の言葉力』(ぎょうせい)

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