官民が連携したキャッシュレスサービスのポイント還元キャンペーンが、徐々に広がっている。より多くの住民を巻き込み、地域経済を活性化するにはどうすればいいのか。神奈川県で成功事例を生んだ「ネットスターズ」の担当者にヒントを聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.21(2022年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社ネットスターズ
地域外へのポイント流出はキャンペーン“あるある”事例。
コロナ禍で地域経済の活性化が課題となる中、キャッシュレスサービスを活用した多様な施策が進められている。ポイントが還元され、お得に利用できるため住民にとってもうれしいキャンペーンだ。様々なバリエーションが生まれているが、小林さんは「キャッシュレスの活用には、効果を最大限に発揮するための2つのコツがあるのです」と語る。
その1つ目は、ためたポイントを購入した地域だけで使えるようにする点。「よくある事例が、地域でためたポイントがほかのエリアで使われてしまうというもの。これでは地域の事業者を支援するという自治体のねらいも十分に果たせなくなってしまいます」。2つ目は、複数の決済サービスを選択可能にするという点。普段使っている電子決済と併用できるようにすれば、住民・事業者ともに利用を拡大することにつながる。
しかし、複数の決済サービスを個別に導入し、独自ポイントのキャンペーン実施となると、システム管理などが大変な上、住民も混乱する。さらに、ポイントが利用できる地域の限定も難しい。こうした課題解決に向けて開発されたのが「かながわPay」だ。
マルチ決済で対象範囲を拡大し利用エリアは絞るという作戦。
かながわPayは、同県が地元店舗の売り上げ増とキャッシュレス化の推進を目的に、令和3年10月から実施した「総額70億円還元キャンペーン」で使われたアプリ。加盟店は決済サービスに申し込み、1つの二次元コードを店頭に置くことで、一般的に普及している最大5つの決済サービスが利用可能になる。住民もアプリをインストールすれば、普段使っている決済サービスで参加でき、購入金額の10%または20%の「かながわポイント」と、各サービスのポイント※が還元される。
金融機関・コールセンター・マーケティング会社と協働の取り組みで、ネットスターズがシステム開発・管理を担当した。同社はこれまでも「StarPay」という事業者向けのマルチ決済ゲートウェイサービスを提供してきた実績がある。県内の経済活性化のために開発されたかながわPayの強みは、ポイントが県内でしか使えないということだ。この仕様について小林さんは「県民や、通勤・通学者がターゲット。利用対象店舗を絞れるので、地域内の経済が循環します。実際、かながわPayのユーザー属性は、約9割が神奈川県民です」と胸を張る。SNSを通じて利用者同士が情報交換をするなど、消費者からも好評な様子が見られ、アプリは最終的に100万ダウンロードを突破したという。
※各サービスは対象外の場合もある
キャッシュレスの日常化を図り地域社会のDXにも貢献。
このキャンペーンへの加盟店は、1万店舗でスタート。協働企業がPRを担当したほか、県も各市町村とともに店舗へ参加を呼びかけた。盛況を見て途中参加する店舗も増え、終了時には約1万8,000店舗に到達。大きな経済効果を生んだという。ある事業者からは、“ほかの地域でも複数店舗を展開しているが、神奈川県にある店舖の売り上げが高かった”と喜びの声が届いたそうだ。
キャンペーン第1弾は令和4年5月末に終了したが、7月からは第2弾が始動している。前回の登録者・登録店舗は継続されるため、再登録の手続きが不要。「システムの改修でより使いやすくなりました。さらに広く普及させていければ」と期待を寄せる。
住民と地元事業者双方のメリットを両立させ、一定の成果を収めた同県の取り組み。反響の声を受け、小林さんは同様の仕組みを全国に広げていきたいと抱負を語る。「経済の活性化はもちろん、キャッシュレス化の定着にもつながるシステムです。この事業を通してまちづくりに貢献できればうれしいですね」。経済活性化の施策に加え、社会のDXまでも視野に入れた、かながわPayの事例が、持続的な地域の発展を進める手がかりの1つとなるだろう。
ネットスターズ
営業本部 統括部長
小林 健介(こばやし けんすけ)さん
自治体・事業者・住民にメリットがあり経済活性化の基盤となる決済システム。
導入自治体の声 ~神奈川県~
神奈川県 中小企業支援課
江波戸 まり子(えばと まりこ)さん
かながわPay導入の大きな目的は、コロナ禍で売り上げが減少している県内産業を支援することでした。また、非接触型の電子決済を活用することで、感染防止対策を促進したいという考えもありました。ひいては、この事業が県内事業者のキャッシュレス化拡大のきっかけになり、地域全体のDXにつなげるねらいも含んでいます。
5月で終了した第1弾は、事業者からも利用者からも大変好評で、実施中だった1月頃に第2弾の実施についての話が進みました。県庁にもメールの問い合わせフォームなどを通して“実施してくれて助かりました” “神奈川県民でよかった”といった感想が届いています。“迷ったら買うようにした”という声は、県内の消費喚起につながったことを実感でき、とてもうれしかったです。70億円の予算も、ポイント付与でそのほとんどを消化。ほかの自治体からの問い合わせも多くいただいています。
この取り組みは、事業者支援とともに、働く方の雇用を守ることや、消費者の生活支援にもつながるものです。第2弾も切れ目なく打ち出していき、利用者・店舗ともに増やして、経済再生の動きを加速させたいと思います。最終的には加盟店3万店舗が目標です。
「かながわPay」の導入メリット
1.ポイントの利用は地域限定
自治体が加盟店を審査・認定することで、特定の地域でしかポイントを利用できない枠組みを構築。予算をもとにしたポイントが県外に流出するのを防ぐ。
2.複数の決済サービスが利用可能
同社が取り扱う決済サービスは国内外含め約20社。その中から効果的なサービスを自治体と相談して決め、各社との個別調整までを担う。
※各サービスはかながわPayの場合
※対象外のものもある
3.管理や対応の手間がかからない
住民向け・加盟店向けのアプリなど、システム全体を一気通貫で提供。問い合わせなどには協働企業が応じるため、取り組みにおける自治体の負担を軽減する。
資料請求、オンラインのデモも承ります!
自治体の規模や予算、要望に合わせてシステム全体を設計・構築します。資料請求は随時受け付けており、お急ぎの場合はオンラインでのデモや、システム説明にも対応していますので、気軽にお問い合わせください。
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