ジチタイワークス

【座談会】受賞によって気づけたこと。これからも大切にしたいこと。

地方公務員の他薦にもとづき、現役の地方公務員が審査を行い、「本当にすごい!」と思う地方公務員を表彰する取り組みである「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」。株式会社ホルグが毎年開催し、2022年で第6回目の開催となる。

そこで、ジチタイワークスも協賛メディアとして、アワードを盛り上げるべくコラボレーション。

今回は、初代受賞者(2017年度)である横浜市・石塚さん、野洲市・生水さん、厚生労働省(元・生駒市)・田中さんの3名にフォーカス。まわりの反応や受賞後の状況、女性公務員のキャリア形成などについてお話を伺った。

石塚 清香(いしづか さやか)さん
神奈川県横浜市・デジタル統括本部

「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017」受賞

 

生水 裕美(しょうず ひろみ)さん
滋賀県野洲市

「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017」受賞

 

田中 明美(たなか あけみ)さん
厚生労働省老健局(元・奈良県生駒市)

「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2017」受賞

 

受賞によって仲間の素晴らしさを再認識した

―― まず、受賞されたときのお気持ちやまわりの反応を教えてください。

石塚さん:賞の存在は知っていたんですが、受賞したことは本当に当日まで知りませんでした。WEBに結果が出た後、急にFacebookにたくさんのメッセージが来て、「何のこと?」って感じになりましたね。思いがけずお祝いの言葉をいっぱい頂いて、うれしいやら混乱するやらでした。


 

生水さん:私は推薦されていることすら知らなかったので、受賞を知ったときはドッキリかと思いました(笑)。「NPO法人しが生活支援者ネット」で一緒に活動しているメンバーが推薦文を書いてくれたんですが、市役所を越えて応援してくれる仲間がいて、私の想いを理解してくれていることがうれしくて、「仲間っていいな」と思いました。
 

田中さん:私は小紫雅史市長と同僚の方からも「推薦したい」という話を事前に聞いていましたが、「そういった企画があるんだ」と驚いたことを記憶しています。私は全国で講演をしているのですが、受賞したことを講師プロフィールに盛り込んでくださる自治体や講演先があり、後に反響の大きさにびっくりしましたね。また、生駒市の大垣さんも同じ年に受賞していて、一緒に新聞のインタビューを受けたことが印象的でした。

 

受賞前の経験が新たな仕事で開花している

―― 受賞後、お仕事の状況は変わりましたか?

石塚さん: もともと「かなざわ育なび.net」というポータルサイトの立ち上げがきっかけでアワードをいただいたんですが、そのポータルサイトが多くの自治体でまねしてもらえるようになったので、その経験をベースにICTを色々やってほしいということになりました。その当時は事務職だったのですが、それならICTに本腰を入れようと思い、専任職試験を受けてICT専任職(現在はデジタル専任職)となりました。
 

生水さん:受賞当時は市民生活相談課長でした。その後、次長になって、部の業務にも携わるようになりました。2022年3月末で市役所は定年退職したんですが、今も週1日、非常勤として働いています。

また、週4日は「厚生労働大臣指定法人・一般社団法人いのち支える自殺対策推進センター」で、地域連携推進部の地域支援室長をしています。あとはNPO法人と一般社団法人の理事も務めています。定年後はのんびりする予定だったのに、なぜか忙しくなってしまって…なんでこんなことに、と思ってます(笑)
 

田中さん:現在は割愛職員として生駒市から厚生労働省へ出向して、老健局の認知症施策・地域介護推進課で、地域づくり推進室の室長補佐をしています。全国の自治体を巡りながら自治体をサポートする仕事です。

 

持ちつ持たれつの関係からネットワークを構築する

―― 受賞時のインタビュー(※)を読んでいて、皆さん共通して「巻き込み力」が強いなと感じました。巻き込み力を磨くために普段から気をつけていることはありますか?

※『Heroes of Local Government』 受賞時のインタビュー

石塚さんインタビュー(全5回)
生水さんインタビュー(全6回)
田中さんインタビュー(全9回)


生水さん:私が市役所に入ったときは、消費生活相談員は私だけでした。1人だけでは力不足で、壁にぶちあたりまくっていたんです。でも、相談者は何とか助けたい。そうなると色んな方の力を借りざるを得ない、巻き込まざるを得ない感じでしたね。

後に、私自身もあちこちから様々なお願いをされるようになりましたが、何があっても断りませんでした。お願いを断らずに受けていくことで、こちらからもお願いできる。その持ちつ持たれつの関係がどんどん増えていくと、色んな方がつながっていくんです。


 

田中さん:1人でできることは限られているので、仲間をつくっていきたいという想いはやっぱりあります。また、活動を拡充していくと今度は継承が課題になっていくので、同じ志を持つ仲間だけでなく、多角的な意見を言ってくれる人も仲間に入れていくことも大事だと思っています。
 

石塚さん:普段から、自分と関わりのある人たちがどんな活動をしているのかは、SNSなどを活用して知るようにしています。「この間こんなことをやっていましたよね」から話が始まると、リアルに会っていなくても距離を詰めやすい。色んな人と交流があるといざというときに頼りやすいですし、自分も頼られればご支援できますし。

 

子育てを経験しなければ分からなかったことがある

―― 皆さん子育て経験があると伺いました。子育て中のキャリア形成で悩んでいる現役のママ公務員もいると思います。子育てとキャリアの両立で苦労した点、もしくは子育て経験が業務に役立った点などを教えてください。

田中さん:私は子どもが2人いるんですが、制度が今のように整備されていなかった時期でしたので、専門性の高い業務を遂行する日と学教行事が重なることが多く、学校行事に全然参加できませんでした。長男が高3の進路を決める時期に、いくら面談日を決めても、その日に限って緊急対応が必要になって行けなくて、担任の先生からネグレクトかと強く叱られたつらい時代もありましたね。

後輩たちが自分と同じ思いをしないよう、体制をしっかりと整え、業務効率化を進めて、子育てしながら仕事に向き合える環境を整備することが大事だと感じていました。


 

生水さん:私が市役所に入ったときは子どもが2人とも中学生になっていたので、田中さんのような苦労はなかったです。管理職時代を振り返ると、部下は男性職員ばかりだったんですが、3カ月育休をとった職員もいました。子育ては決して女性だけのことではないので、男女関係なく子育てしていける視点が必要なんだろうなと思います。
 

石塚さん:私は子どもが3人いるんですが、子どもに育ててもらったと思うことがたくさんあります。定時で絶対に帰るために時間を効率的に使うこともそうですし、子育て世代が持つ課題も自分が経験してみないと絶対に分からなかった。子育て経験がなかったら、業務内容も仕事のスタイルも、今とは違っていたと思いますね。育休をとるとキャリアや昇給が遅れるといいますが、子育ては業務に活きてくる貴重な経験だと声を大にして言いたいです。

 

摩擦の中で自分を磨く

―― これから頑張っていこうという若手公務員に向けて、仕事のコツや心構えについてメッセージをお願いします。

田中さん:目の前のことにしっかり向き合ってコツコツ積み上げていけば花が開く日が来るので、向き合うことの大切さと庁内のみならず、地域内外にネットワークをしっかりつくっていくことが大事ですね。そのためには、自分が話す側にまわるのではなく、上手な聞き手になること。人は聴き上手な方と話すとたくさん話をしたくなります。相手が気持ちよく話せる状態が作れると、そこからまた色んなネットワークが人づてにつながっていくと思いますよ。
 

生水さん:お伝えしたいことは3点あります。
1点目は情報発信をしていくこと。市役所の中って色々な課があるので、どこの課が何をしているかは案外見えないんです。市役所が持ち得る様々なツールを使って情報発信をしていくことで、ほかの課と連携しやすくなります。

2点目は仕事を断らないこと。まずは話を聞いて何ができるか一緒に考えていくことで、風通しのいい風土づくりにもつながっていきます。

3点目は楽しく仕事をすること。仕事がつらくても「楽しい」と笑っていると、つられてどんどん人が集まってきます。「笑う門には福来たる」です。こうして人とのつながりができることで、連携が生まれて仕事がやりやすくなります。


 

石塚さん:公務員は井の中の蛙になりやすいところがあるので、外のすごい人たちと積極的につながってほしいなと思います。私は民間技術者の団体にずっと参加しています。摩擦の中に自分を置かないと磨かれていかない気がしているので、公務員だからこそ、すごい人たちと同じ場所に身を置いて自分を磨くことを心掛けてほしいですね。

 

興味関心を広げるきっかけに地方公務員アワードを活用する

―― 最後に、地方公務員アワード2022に向けてメッセージをお願いします。

田中さん:素晴らしい公務員の人たちが世の中にはたくさんいるので、輝いている人たちをどんどん推薦してほしいと思います。
 

生水さん:公務員には夢とか希望も大事だと思います。住民の命を守っていくという自負を持って、これは素晴らしい仕事だと胸を張って、どんどん伝えていってほしいです。
 

石塚さん:ほかの課の仕事に触れることはなかなかないので、この機会を「面白いことやっている人いないかな」と目を向けるきっかけにしてほしいと思います。

 


「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2022」
「自治体業務マニュアルアワード2022」について

【開催概要】
1)スケジュール

・推薦・応募受付期間:2022年5月31日(火)~7月7日(木)
・結果発表(WEB上)2022年8月中旬
・表彰式:2022年10月7日(金) ※スケジュールは変更する可能性がございます
 

2)応募・推薦方法

▼詳細はこちらから
『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2022』開催のお知らせ
 

3)結果発表等

・2022年8月中旬に、『Heroes of Local Government』 にて掲載
・2022年10月7日(金)夕方に表彰式開催予定(変更可能性有)

 

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