ジチタイワークス

神奈川県座間市

わずか1年でLINEに約80もの窓口機能をもたせ、市民との絆を深める。

行政手続きのオンライン化が注目される中、座間市ではLINE公式アカウントに多くの手続きを網羅し、開設からわずか1年で市民の半数以上が登録している。この大規模なオンライン窓口はどのように実現したのか、その経緯を追った。

※下記はジチタイワークスVol.20(2022年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社Bot Express

首長インタビュー

座間市 市長
佐藤 弥斗(さとう みと)さん

市民の声を広く聞き、ともに幸福な未来をつくる。

「当市では現在、次期総合計画を策定しており、目指すまちの姿を“ひと・まちが輝き未来へつなぐ”と定めています。この計画の中でもDXは重要な位置づけとなっており、並行して『座間市デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略』の策定も進めているところです。

DX戦略は、今後のさらなる少子高齢化などへの対応を含め、次期総合計画を実現するための有効な手法。これらの背景から、当市では令和3年度より、LINE公式アカウントを活用した窓口のオンライン化を進めています。特に今はコロナ禍という側面もあり、市民・職員双方の安全・安心を守っていく必要があります。そうした意味でも、庁内でしっかりと取り組むべき事業として、私からも職員に全庁を挙げての推進をお願いしました。

また、このオンライン窓口の特徴として、“市民とのコミュニケーションができる”という点にも価値があると考えます。市民ニーズをもとに政策を検討する場合、ある程度の意見数とデータの鮮度が必要。これらが政策を決定する根拠となり、市民にとっても自分たちの意見が反映されるということが、市政に対する興味関心や、参画意識の向上につながっていきます。職員の資質向上にも貢献してくれることでしょう。多様化・複雑化する地域課題には、市民と事業者、そして行政とが、これまで以上に向き合っていかねばなりません。この取り組みも1つの契機とし、ともに幸福な未来をつくっていきたいと考えています」。

現場担当者に聞く、窓口オンライン化の進め方。

オンライン化の先に見えた、市民と職員の将来像。

業務改善の中でも“オンライン手続き”の導入は、職員の負担軽減と市民の利便性向上の両面で有効だ。ユーザー数の多いLINEの活用は特に広がりを見せているが、同市もこの動きには敏感に反応した。「自治体のLINE公式アカウントが目立ち始めた令和2年、当市でもLINEの活用を検討し始めました」と矢萩さんは振り返る。他自治体の情報を収集しつつ、システムの選定を進める中で候補として浮上したのが「GovTech Express(ガブテックエクスプレス)」だった。「魅力に感じたのは、手続き構築が簡単な操作で内製できること、様々な機能が定額で利用できること、そして市民側の手続きがLINE1つで完結することで、高い利用率が期待できるという点でした」。

同サービスの導入決定後、矢萩さんは全課を訪問し、導入の意図を説明した上で各課の担当者を決めた。「業務量が増えるのでは」といった意見が出た際は、テスト用メニューをつくり、実際に操作しながら利便性を伝えていったという。「市民にも職員にもメリットがあるという将来像を見せることで、理解者を増やしていきました」。こうした合意形成を経て、令和3年3月に同市の公式アカウントがスタートした。

横連携とトップダウンで取り組みを加速させる!

同サービスは「Bot Express(ボットエクスプレス)」が提供するオンライン行政窓口プラットフォーム。同市公式アカウントで最初にリリースしたのは新型コロナワクチンの予約メニューで、1カ月間で約8,000人が友だち登録したという。その後も公共設備の不具合などを知らせる通報機能やセグメント配信、Q&Aなどを続々と追加。このスピード感について矢萩さんは「当初は1人で内製しましたが、操作が簡単だったことと、同社からのサポートがあったので乗りきれました」と語る。

また、庁内の連携体制も見逃せない。情報システム課を含む3つの課が専門性に応じて業務を担当し、負担を分散。さらに庁内各課の起案書作成をサポートするなどの工夫も重ね、活用が進むよう手を尽くしたという。取り組みの目的と内容を市長に説明したことで、市長から全庁に取り組み推進の号令が発されたことも後押しに。これにより同市の活用はさらに加速していった。

市民も職員も満足度が向上、目指すはもう1つの市役所。

運用開始から1年が過ぎ、現在は約80の手続きがオンライン化されている。令和4年3月にはマイナンバーカードを利用した個人認証システムを導入し、住民票などの発行手続きをLINE内で完結できるように。利便性がさらに向上し、友だち登録者数は人口の半数を超えたという。市民アンケートでは「忙しいときにとても助かる」「夜や土日でも手続きできるのがうれしい」といった反応が多く寄せられているそうだ。

このアンケートは同サービスの機能の1つで、利用者の声をLINEで収集することができる。「この機能をうまく活かせば、市民の声を市政に反映できます。届く量もスピードも、従来の方法とは比較になりません」と矢萩さんは期待を寄せる。今後の展開については「まだ全ての機能を網羅できていません。他自治体の取り組みも参考にしつつ、より多くの手続きをオンライン化していきます」と意欲を見せる。同市に“もう1つの市役所”が完成する日も近いようだ。

座間市 総務部
情報システム課 係長
矢萩 紀之(やはぎ のりゆき)さん

庁内の横連携でオンライン窓口をLINEに集約

市長の号令のもと、庁内が一丸となって進めたオンライン化の取り組み。圧倒的なスピードを可能にしたのが、専門性で振り分けた3課の分業体制だ。

●電話や窓口対応時間が減少した
●庁内の混雑緩和につながった
●申請に不備があってもLINEでやりとりができ、すぐに補完できた

GovTech Expressの3つの特徴

対象は国内約9,200万のユーザー!使い慣れたツールだから利用が進む。

LINEの利用率は、令和2年度の全年代で90.3%※。ほとんどの住民がすでにインストール済みのアプリで、普段使いのツールなので操作説明も不要。他システムへの遷移もなく全ての手続きをLINE内で完結できるため、おのずと利用率も上がる。

※総務省情報通信政策研究所「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書〈概要〉」より

1.住民ニーズに細やかに応える豊富な手続きメニュー

申請、予約、登録など、自治体窓口で行うあらゆる手続きをオンライン化。住民は公式アカウントと友だちになるだけで、いつものトークと同じ操作感で手続きを進められる。

2.住民とコミュニケーションできる双方向性

アンケート機能や通報機能を活かせば、従来の方法よりも広く迅速に住民の声を集められる。対象者を絞り込んだヒアリングや情報発信も可能。

3.どれだけつくってもコストは一定の料金体系

システム利用料は定額で使い放題のサブスクリプション方式なので、機能を追加するたびに予算化する必要もない。多くの手続きを網羅したテンプレートを利用して職員自らノーコードで開発できるから、スピーディなオンライン化が実現する。

新たに開発された機能を全国で共有

ガブテックエクスプレスでは、新機能も続々リリース中。自治体で新たに開発された機能はテンプレートとして共有される仕組みで、広島市LINE公式アカウントで令和4年2月に誕生した下記の機能も、すでに全国で利用が可能だ。

近年はライフスタイルの多様化により、個々のニーズに応じた行政情報の提供が求められています。当市ではこうした課題に対応するため、LINEによる情報発信サービスを導入。今回は学校給食での食物アレルギー事故防止を目的に、食物アレルギー・献立情報の配信を開始しました。アレルゲン検索機能やアラート機能により、保護者の安心につなげたいと思います。利用者アンケートでは、買い物時の夕飯の献立決めに役立つという意見も多く、生活の利便性も向上しているようです。今後も様々な情報発信に活用したいですね。

広島市 教育委員会
学校教育部 健康教育課 課長
村上 早苗(むらかみ さなえ)さん

利用者アンケートの結果

対象:利用者約2,200人中、約570人が回答
期間:令和4年4月21~22日の2日間

「満足している」……約80%

「利用し続けたい」…約98%

フリーコメント

●前日にLINEで通知が来るので、代替食を忘れずに持たせられる
●紙に比べて見逃すことがなくなった
●子どもと給食についての会話が増え、嫌いだった食べ物を好きになっていたことに気づいた!など

3つの視点から生まれたサービスで自治体と住民の距離を縮める。

これまでエンジニアとして、様々な自治体のシステムに関わってきた中で、いくつかの課題が見えてきました。私たちのサービスは、それらを3つの視点で解決したいと考えています。

1つ目は住民の視点。行政の電子手続きは使い勝手の面でストレスを感じることが多くあります。そこで住民側のプロセスを短縮し、簡単・シンプルに使えることを目指しました。

サブスクリプション方式の採用は、2つ目の自治体視点での発想です。行政では検討から予算取りまで長い期間がかかり、導入したシステムは当分変えられないということが起こりがち。こうした状況をサブスクで解決したいと考えます。

そして3つ目が“内製化”というエンジニアの視点です。自治体システムを多く見ていると、ほとんどの自治体で共通点があることに気づきます。この共通部分を標準化し、相違点は自力でカスタマイズできれば、業務のスピードもコストも変わる。そう考えて内製可能なシステムとしました。

ただし、私たちが目指しているのはテクノロジーの進化ではなく、“自治体と住民の距離を近づける”こと。利便性の高いツールに住民が価値を感じれば、自治体と住民がそのツールの中でより気軽にコミュニケーションをとれるようになっていくのです。結果として、住民の思いを政策に反映させる動きが加速する、そんな未来を目指し、サービスの改善を続けていきます。

ボットエクスプレス 代表取締役
中嶋 一樹(なかじま かずき)さん

まずは操作感を無料で体験!

本サービスを体験できるデモアカウントを公開中。弊社LINE公式アカウントを友だち登録し、操作感をご確認ください。自治体事例紹介イベントの情報もお届け。実証実験への参加自治体は先着で募集中です。早めにお申し込みください。
 


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