ジチタイワークス

長野県長野市

避難所での入浴が感染症の予防やストレス緩和に有効。

近年、災害が多発し自治体が避難所を開設するケースが全国で増加している。その際に直面する課題の1つが入浴だ。長野市では水を再生循環させるシャワーを設置し、住民に喜ばれたという。危機管理防災課の渡辺さんに話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.19(2022年4月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]ソフトバンク株式会社

避難所開設の4日後から順次シャワーを導入。

令和元年に発生した台風19号で千曲川が氾濫し、甚大な浸水災害に見舞われた同市。10月12日に市が災害対策本部を設置、自主避難所を含め54カ所の避難所が開設され、6,000人を超える住民が避難した。被害状況が明らかになっていく中で、渡辺さんは避難が長期化することを見据えながら、刻々と変わる状況に対応したという。

「平成30年西日本豪雨で倉敷市真備町が被災したとき、応援に行った経験があったため、避難所の状況をリアルに考えることができました。そこで絶対に必要だと思ったものの1つが仮設のシャワーでした。住民は被害家屋の片づけ作業をして帰ってくるため、泥や汗など様々な汚れが避難所に持ち込まれます。感染症の発生を防ぐために衛生面への配慮は非常に重要で、なおかつ避難が長期化する場合、入浴できないことは大きなストレスになると認識していたからです」。

そこで、関係者から緊急対応として提案された「WOTA BOX(ウォータボックス)」の利用を早急に検討。10月16日から順次、市内6つの避難所に計14台を設置した。

敷地内のシャワーは便利と好評で延べ1万人が利用。

同製品は、AIを活用し排水の98%以上※を再生循環利用できるシステム。先進的な水処理技術をもつ「WOTA」が開発し、協業パートナーである「ソフトバンク」は、防災・衛生DXソリューションとして販売・普及に取り組んでいる。

避難所を開設しても、災害時は断水で安全な水を確保できないことがある。同製品は、にごりがなければ川やプールの水などを浄化して利用できるのが大きな強みだ。また、水があっても節水で潤沢には使えない場合も多いが、この製品は、利用した水の状況を水処理IoTセンサーで把握し、複数のフィルターによるろ過と塩素添加、深紫外線照射で処理して再生循環させることで、通常ならシャワー2人分の水(約100ℓ)で、100人が浴びられるという。

「今回、上水道は使えたものの、下水処理場が浸水被害で使えなくなり、数万人もの生活に影響が出ていました。住民に生活排水を抑えるよう呼び掛ける中で、このシャワーは少ない水で利用でき、排水もほとんど出ないため、非常に便利だと実感しました」。

同市では、近隣の入浴施設を利用できるようにしたり、場所と期間は限定的だが、自衛隊が入浴設備を用意したりと、複数の入浴支援を実施していた。その中でも、ほとんどの避難所に設置されたこのシャワーは好評で、11月30日までの設置期間中の利用者は延べ1万人にのぼったという。

※WOTA社調べ

地域の“新しい備え”として平時のイベントにも活用を。

シャワーが利用できることによるメリットは、精神面にも及ぶ。「避難所には常に大勢の人がいて、皆さんは気を張って生活されています。このシャワーは脱衣テントがあり、個人や小さな子どもと一緒にご家族単位で使えるので、短時間でもリラックスでき、ほっとしたという声を多く聞きました」というように、ストレスによる精神的なダメージを防ぐ効果もあるようだ。

同市では、令和2年にコロナ臨時交付金を活用して、災害時の衛生環境確保のために同製品を3台購入した。コロナが収束すれば、災害時だけでなく防災訓練など、平時にも活用していきたいと考えている。

ソフトバンクによると、導入済みの他自治体では、実際にサッカーイベント、宿泊型の避難訓練などでの利用事例も多くあるそうだ。住民に日頃から慣れ親しんでもらう機会となり、イベントや訓練の質や満足度も上げることができる。平時と災害時の両方のフェーズで活用できる“フェーズフリー”の防災ソリューションが、これからますます注目されるのではないだろうか。

長野市
総務部 危機管理防災課 課長補佐
渡辺 修(わたなべ おさむ)さん
 

WOTA BOXがもたらす価値

少ない水を循環して使える

水の汚れや細菌などを処理して98%以上再生し、通常2人分の水で約100人がシャワーを浴びることができる。

遠くへ移動せずに利用できる

簡易に設置できるので、入浴施設に行く移動手段がない、仕事の都合などで昼間に行けない人でも利用できる。

避難所の衛生環境悪化を防ぐ

入浴で体を清潔に保つことで、避難所の衛生環境の保持に貢献する。各種感染症がまん延するリスクを減らせる。

精神的なストレスを和らげる

お風呂やシャワーを使えないことからくる精神的なストレスを緩和し、リラックスできる場を提供する。

配慮が必要な人も使いやすい

介助が必要、子ども連れ、LGBTなど大勢での入浴をためらってしまう人でも、個室なので使いやすい。

WOTA BOXの仕組み

令和2年「グッドデザイン大賞」にて内閣総理大臣賞受賞。令和3年には環境省の「環境スタートアップ大賞」にて事業構想賞を受賞、海外でも環境関連の賞を受賞するなど、国内外で評価されている。

自治体利用実績

全国の被災地で13自治体が利用。大型ワゴンや2tトラックで運搬でき、一般的なコンセントや発電機でも使える手軽さも魅力。

CHECK

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デジタルトランスフォーメーション本部

住所:〒105-7529 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝オフィスタワー
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