不動産・金融・証券・株式投資など。気にはなるけど、つい先送りになりがちな「お金のはなし」。
今回は、「月曜から夜ふかし」でもお馴染みの優待株投資家の桐谷広人さんより、株主優待生活を通じてわかった「“桐谷式”株式投資のはなし」を伺った。
桐谷 広人(きりたに ひろと)さん
将棋棋士・投資家
プロフィール
日本テレビ「月曜から夜ふかし」でブレイク。365日株主優待と配当で生計を立てる投資家。プロ棋士七段。バブル絶頂期の1984年に株を始め、バブル崩壊やITバブル、リーマンショックなど相場の浮き沈みを経験。現在の株の資産は約4億円。著書多数。
株価が上がっても下がっても届く、優待品で人生を楽しむ
ーー 株と出会ったきっかけは何だったのでしょうか?
桐谷さん:29歳のとき日本将棋連盟の仲間の紹介で東京証券協和会が主催する将棋部に月1回、指導に行くようになりました。当初、私は「株はギャンブルだから、ギャンブルをやっている人たちとはあまり友達になりたくないな」と思って、関わり合いを避け、レッスンが終わったらすぐに帰っていました。
5年くらい経ったころ、当時私が住んでいた阿佐ヶ谷の商店街にある証券会社の支店に将棋好きの支店長が着任しました。その方の上司に将棋を教えていた縁もあり、支店に何度か訪ねるようになりました。いつもお茶をご馳走になってばかりで申し訳ないので、株価が安くて配当の高い銘柄を購入させて頂きました。たまたま仕手株銘柄だったこともあり、1か月に5万円の利益が出ました。東京証券協和会でも噂が広がり、会員の方ともレッスンの度に飲みに行くようになったことが株との出会いでした。
ーー その後、優待株を買い進められた理由は何だったのでしょうか?
桐谷さん:2005年に日経マネーの取材を受けたとき、優待株を200くらい持っていたという話をしたところ記事になって、「日本一の金持ちにはなれないけど、優待株を持っている数の日本一にはなれるかな」と思って優待株を買い進めていたんです。
ーー 優待株の魅力とは何でしょうか?
桐谷さん:優待株なら、株価が上がっても下がっても優待は来ることです。リーマンショックが起きた際、株が平均株価の3分の1くらいになったんですが、優待は来ましたね。それまでは値上がりを狙って株を買っていましたが、読みが外れると大損するので非常に危険です。
優待株投資を始めた当時はプロ棋士を引退して年金もない状態だったので、優待品として届くお米や缶詰、QUOカードや食事券で数年間、何とか生き延びていましたね。優待株に分散投資して、優待品で人生を楽しむ方法に切り替えたら、私は精神的にも安定しました。
ーー ちなみに、桐谷さんのご経験の中で一番珍しい優待品は何でしょうか?
桐谷さん:私はもらわなかったんですが、道路に置いてあるコーンをつくっている会社が巨大なコーンを優待で送ってきて、みんなびっくりしたみたいです。また、個人的に珍しかったのは熱帯魚が飼えるセットですね。変わった優待品だと思いました。
投資で大事なことはリスクを分散すること
ーー 株と付き合う上での心構えはありますか?
桐谷さん:バブルの頃は変額保険(保険料の一部を株で運用する保険)で、保険に入ったつもりでも大損することがあったりして、公務員の方は投資を怖いと思われているのではないでしょうか。でも、投資で一番大事なことは分散することです。持っている株に対して支払われる配当金は、10万円で株を買っている人と1億円で同じ株を買っている人では配当金額が1000倍違います。
一方で、優待は10万円買っている人も1億円買っている人も同じものをもらえるので、少額投資であるほど利回りが高い。30万円予算がある場合、5万円の優待株を6つ買えるので、バランスが取れて比較的安全なんです。
ーー 株を買うのは手間がかかるイメージがあるのですが、実際はどうなのでしょうか?
桐谷さん:今はネット証券なら手数料も振込料もかかりません。また、私が投資を始めたころは電話で証券会社に問い合わせするしかありませんでしたが、今はインターネットで指値注文ができ、夜の空いている時間に株を売買できます。優待株投資だと株価が上がった下がったと一喜一憂しなくていいので、昼間は仕事に集中できますよ。
公務員の方でもあまり株価が気にならず、優待がもらえればありがたいという感覚で投資できるのではないかと思います。
ーー 桐谷さんはテレビ出演されていることでも話題ですよね。
桐谷さん:電車賃もないので1時間くらい自転車で走って優待の豆腐をもらいに行ったりしていたら、テレビで面白がられるようになりました。私がテレビに出ているのを見て優待株を買う人が増えたので優待バブルみたいになって、買値から下がっていた優待株がどんどん上がって私にも非常にプラスになりました。
若いときはインスタントラーメンばかり食べていたので普通の人より健康状態が悪かったんですが、自転車で何年間も走りまくって今はすごく健康になりました。優待を使うために外出するし、株のことで計算するので脳にいいし、株の仲間も増えるし、優待株投資はいいことずくめだと思います。
ーー 最後に公務員の皆さまにメッセージをお願いします。
桐谷さん:優待株の分散投資は非常に利回りが良く、やり方さえ覚えれば誰でも利益を得ることができます。5万円で優待券を買える会社が100社以上あるので、この記事を通じて「株はギャンブルみたい」と怖がらずに、自分の好きな企業を応援する気持ちで、優待株の分散投資で人生をより楽しいものにしていただきたいですね。
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