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【セミナーレポート】教員のやめる業務を決める働き方改革〜判断基準と進め方〜

教育・文化・スポーツ
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【セミナーレポート】教員のやめる業務を決める働き方改革〜判断基準と進め方〜

教員の働き方改革を担当する自治体職員を対象にした調査では、「やめる業務の明確化」を課題に挙げる回答が全項目の中で突出して多く、全国の教育委員会担当者の多くが同様の悩みを抱えていることがうかがえます。
忙しさの正体をつかみきれない、どの業務から手をつければよいか判断できない、削減を検討しても「必要な業務」という声に阻まれて進まない——そうした状況に直面している自治体は少なくありません。
そこで本セミナーでは、実際の自治体・企業の取組事例をもとに、やめる業務を見極めるための判断基準や、関係者を巻き込みながら合意形成を進める方法、削減効果を測定する際の視点を紹介しました。


概要

■テーマ:教員のやめる業務を決める働き方改革 〜判断基準と進め方〜
■実施日:2026年6月3日(水)13:30~15:30
■参加対象:自治体職員限定(教育委員会等)
■申込者数:85人

探究学習の推進と“働き方改革”の両立~渋谷区が挑む、未来の学校づくり~

第1部に登壇したのは渋谷区教育委員会事務局の柳田さん。小さな「社会」である学校での「つくる」経験を通じて社会の主体的なつくり手としての意識や力を育むという理念のもと、授業時数特例校制度を全区立小中学校で活用して総合的な学習の時間を倍増させた探究学習「シブヤ未来科」の取り組みと、それに伴う教員負担の増加にハンドブックや専門教員配置、大学・地域連携、生成AI活用、部活動改革などを組み合わせて向き合う、働き方改革の総合的なアプローチについてお話いただきました。

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【講師】
柳田 俊 さん
渋谷区 教育委員会事務局 教育指導課
統括指導主事

小学校教員として13年間勤務した後、2021年に渋谷区教育委員会の指導主事に着任し、探究「シブヤ未来科」の立ち上げに携わる。2025年からは統括指導主事として、引き続き同区の先進的な取り組みをリードしている。

探究学習がめざす姿から始める

本日は渋谷区における取り組みについてお話しさせていただきます。背景の写真は、あと数年後に先陣を切って新しくなる中学校2校の校舎のイメージです。今の校舎でも、子どもたちがリラックスしながら学べるラーニング空間を各校に順に整備しております。
本日の内容としましては、まず本区の特徴的な取り組みである「シブヤ未来科」をご紹介したうえで、学校現場を含めて私たちが働き方改革という視点でどんなことに取り組んでいるかをお伝えしたいと思います。
シブヤ未来科の目指す姿は、学校という小さな社会に子どもたちを閉じ込めず、社会にどんどん出ていって、社会の主体的なつくり手としての意識や力をつけてほしいという願いのもと、自分たちで課題を見つけ、考え、活動し、それを発信したり実際のアクションに変えていくというところで始まった取り組みです。

もう少し具体的に申しますと、シブヤ未来科はいわゆる探究学習と呼ばれるもので、主に総合的な学習の時間の中で行っています。本区では令和6年度からこの総合的な学習の時間を通常の約2倍に増やしておりまして、たとえば6年生ですと、これまでは70時間ほどだったものを、2年前から150時間くらいに増やし、子どもたちがとことん自分の好きなことや社会課題の解決のために、自分たちで課題を見つけて探究に取り組めるような仕組みをつくっています。子どもたちは興味も向いている方向も様々ですので、いろいろな教科を組み合わせながら、STEAMの要素やキャリア教育、アントレプレナーシップの要素も絡めて、最終的には総合的な学習の時間の目標である「自分の生き方を考える」というところを目指し、次の高等学校への進学に向けて力をつけているところです。

探究はやはり楽しくないとやっていられませんので、1年ほど前に子どもたちにアンケートを取ったところ、97%の子どもたちが探究は楽しいと回答しております。

また、自分で問いを立てて学んでいるかという質問に対しても、東京都や全国と比較して渋谷区内の子どもたちは9割ほどがしっかり取り組んでいると自覚しており、非常によい結果が出ています。

発表の工夫や理解度を振り返って次の学習につなげる力、友達同士で協働的に学べているかといった数値も、現場の先生たちの努力と子どもたちの挑戦により全体として伸びてきております。子どもたちからも、シブヤ未来科が楽しくて毎日学校に行きたい気持ちが強くなった、企業と連携してまちづくりを考えたことで企業への興味やキャリア教育につながったといった力強い声を聞いております。

新しい挑戦に伴う負担と向き合う

さて、こうした新しい取り組みをすると、どうしても先生たちの業務の負担が増えるというのは事実でして、これをごまかさずにお話しします。本区のシブヤ未来科の特徴は、文部科学省の授業時数特例校制度を、区立小学校18校、中学校8校の全校で一斉に申請して取り組んでいる点です。各教科から授業時数の最大1割をカットして、その分を総合の時間に上乗せしているのですが、まず各教科の中でいかに効率的に学ばせるかという点で、先生たちが工夫を求められました。教科書の内容はだいたい標準時数の9割ほどで終わるようにできてはいるものの、実際に1割カットすると反復練習ができないなど、現場の先生には苦労の多いところです。

また、シブヤ未来科は総合の時間だけを独立させるのではなく、各教科の要素を組み合わせながら教科横断的に学ぶことをコンセプトとしています。たとえば算数の5年生でグラフを作る統計的な学びを、探究の情報整理・分析の場面で活用するなど、各教科の内容や見方・考え方を統合して学ぶ姿を目指しており、時間割上のカリキュラム・マネジメントだけでなく、内容面でのカリキュラム・マネジメントも必要になる点が、かなりタフなところだったと感じています。特に中学校は教科によって担当の先生が変わりますので、より密なコミュニケーションが必要になっており、これは小学校でも教科担任制が進む中で、今後同じような課題が出てくるのではないかと思っています。

これは令和5年12月に実施したアンケートから、先生たちの生の声を多少加工したうえで抜粋したものです。先生方お一人お一人は新しいことに挑戦したい意欲を持っていらっしゃるのですが、日々の業務に追われて余力がなかったり、企業との調整を一括して担ってもらえるとありがたい、教材研究に十分な時間が割けない、意欲はあるものの疲労との間で葛藤しているといった声が寄せられていました。

先生を支える仕組みという視点

こうした声を受けて、私たちも解決策を講じているところです。おそらく他の自治体さんでも同じような取り組みをされていると思いますが、今回は渋谷の探究に付随する内容を中心にご紹介します。まず1つ目は、探究とは何か、目指す子ども像はどんなものか、どう進めればよいかといった指針になるハンドブックを発行し、すべての先生方に配布しています。これは渋谷区のホームページから申請いただければ無料でお配りできますので、ご興味あればぜひご申請ください。中身としては、子どもたちの問いをどう引き出し深めるか、企業と連携する際の連絡の取り方、目指す子ども像のチェックリスト、ルーブリックの評価基準などを載せています。

それから、今年度から探究専門教員というものを配置しています。大学院の博士課程在籍者や博士課程を修了した方を募集し、現在は中学校4校に配置しています。

子どもたちの問いを深める関わりをしたり、先生たちのカリキュラム設計の助言をしたりと、豊かな知見を持った方たちが活躍しています。地域や企業の方々にも大変支えていただいており、たとえばDIYの会社の方は材料まで持ち込んで、子どもたちが作りたいものを一緒に実現してくださっています。

また、クラスに35人いれば、それぞれ違う課題やテーマ、進捗を抱えていて、学校の先生だけではなかなかフォローしきれません。そこで大学院生や学生を学校に配置し、子どもたち一人一人の探究のサポートをしてもらっています。東京大学さんとの連携協定のもと、インカレサークルのような形で多くの学生が参加してくださっており、気づいた点をフィールドノートにまとめて教員と共有してくれるので、伴走支援する教員としても非常に助かっています。

地域では、元・現職のPTA会長を中心とした一般社団法人「シブタン」を立ち上げていただき、学校と地域・企業を結ぶハブの役割を担っていただいています。

教員向けの生成AIについても、汎用型のCopilotだけでなく、トラブル対応や探究のカリキュラムなどに細かく対応できるようチューニングしたAIを提供しています。

導入して約2年、教職員約600名(会計年度任用職員等を含む)のうちほぼ毎月約500人が校務や授業準備で利用しています。ガイドラインやプロンプト集の整備だけでなく、研修の実施や現場へのヒアリングを通じた改善サイクル、生成AI活用リーダーの指名など、学校現場に広げる工夫を重ねています。

最後に、部活動の改革プロジェクトも行っています。中学校の先生たちは放課後の部活動に取られる時間が非常に長いという課題感から、外部指導員や部活動指導員を配置して、教員の顧問としての関与を必要最小限に抑える仕組みを整えています。

さらに渋谷区スポーツ協会の中に「渋谷ユナイテッド」という部活動があり、学校の教員は基本的に関与せず、区内の中学生であれば誰でも参加できる習い事のようなもので、サッカーやダンスに加えてボウリング、ストリートスポーツ、eスポーツ、料理、アニメ・声優など非常に豊富な種目を用意しており、人気も高くなっています。

子どもたちからは専門的なコーチが入ることで指導が分かりやすくなった、より専門的な指導を受けられるようになったといった反応があり、教員側でも外部指導員が入っている推進校では部活動を負担に感じる割合が明らかに低くなっています。

満足度とウェルビーイングを両立の軸として捉える

こうした取り組みを通じて、教員の働き方に関する意識を令和6年12月から半年ごとに調査していますが、やりがいや誇りを感じている先生、成長を実感している先生、新しいことに挑戦する雰囲気があると答える先生の割合は、いずれもこの1年半で向上しています。

教員の働き方改革で大事な視点は、先生たちの満足度を上げること、特に子どもたちと向き合う時間や自分の成長を感じるプロセス、それを認め合う職場環境だと思っています。ただ、これだけではやりがい搾取になってしまいますので、業務量を減らし効率化させることにも今後さらに取り組んでいきたいと考えています。早く帰れば満足度が上がるという面もあるかもしれませんが、それ以上に業務の中身にフォーカスした方が、先生たち一人一人のウェルビーイングは向上するのではないかと捉えています。もちろん、だからといって残業していいということではありません。

働き方改革と教育の質は決して対立するものではなく、バランスを取って両方を高めていけるという仮説のもと、地域や企業、大学との連携、ICTの活用、外部との協働、先生たちが学び合う仕組みを土台に、試行錯誤を重ねてより良い未来の学校をつくっていきたいと考えています。

子どもたちが主体的に学校をつくり、学校が楽しくなり、先生も楽しく働くことができ、結果として不登校の子どもたちが減って、みんなが笑顔で通ったり働いたりできる学校づくりを目指しています。

先生方の手間を減らせ!スマートロックで挑む学校開放DXとは?

第2部に登壇したのは株式会社リモートロックジャパンの栗林さん。学校開放にまつわる鍵の受け渡しや利用報告の転記といった教員の業務を、予約システム「まちかぎリモート」と暗証番号式スマートロック「RemoteLOCK」の連動によってオンライン化・軽減し、教育委員会への業務集約と利用者双方の利便性向上を両立させた、青森県八戸市や茨城県小美玉市などの導入事例と製品の仕組みについてお話いただきました。

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【講師】
栗林 甫 さん
株式会社リモートロックジャパン 市場開拓室

2023年に構造計画研究所(現・リモートロックジャパン)へ入社し、すまいIoT部に配属。学校開放事業をはじめとする公共施設運営における鍵管理の課題解決の支援に3年間携わっている。

サービスの全体像

本日は弊社の取り組みについて、まず簡単に紹介をさせていただいたうえで、公共施設様の運営において弊社がご提案しているスマートロック「RemoteLOCK」ならびに、公共施設予約システム「まちかぎリモート」がなぜ注目されているのかをご説明し、その後、実際の導入事例と製品のご紹介という流れでお話しいたします。

改めまして、弊社リモートロックジャパンは、もともと建物の構造設計を祖業とする構造計画研究所の一部署として、スマートロックをご提供しておりました。昨年10月頃に独立し、リモートロックジャパンという会社で再始動しています。弊社では、インターネット上で管理ができるスマートロックと、公共施設向けの予約システムなどのプラットフォームをご提供しており、自治体様やホテル様、民間のレンタルスペース様などにご活用いただいています。

実は弊社の「RemoteLOCK」は、全国170以上の自治体様でご利用いただいているスマートロックです。全国の自治体数が約1,700ですので、およそ1割の自治体様に活用いただいている計算になります。

また、予約システム「まちかぎリモート」も、全国25の自治体様でご利用いただいており、公民館や集会所の管理のほか、本日メインでお話しする「学校施設開放」という文脈で多くご活用いただいています。

学校開放に共通する課題という視点

170以上の自治体様にご利用いただく中で、学校開放に関するお問い合わせを数多く頂戴しています。内容としては、学校開放事業における学校の先生方の負担が大きいこと、具体的には、利用者への鍵の貸し出し対応や、学校都合で開放が不可になった際の各団体への電話連絡、利用者が記入した紙の利用日誌をエクセルに転記して市に提出しなければならない、、といった内容です。

学校開放事業という1つの領域に着目するだけでも、多くの自治体様で共通の課題を抱えていらっしゃると、これまでの意見交換やヒアリングを通じて実感しています。

導入自治体の歩みをたどる

ここからは、実際に弊社製品をご利用いただいている自治体様がどのような課題を抱え、どのように製品を活用されているかをご紹介します。1つ目の事例は青森県八戸市様です。八戸市様では、学校開放にかかる教頭先生の負担を減らし、業務を教育委員会に集約したいというご要望がありました。具体的には、年々増加する利用団体や予約の管理、利用団体からの問い合わせ対応や急に施設が利用不可になったときの利用団体への連絡、鍵の受け渡し、紙の利用報告のエクセルへの転記といった、教頭先生の負担が大きい状態を解消したいという課題がありました。将来的に市内の全小中学校65校の学校開放を教育委員会で巻き取ることを検討するにあたり、なるべく人手を介さずに学校開放ができる仕組みをDXを活用することで構築したいと考えていらっしゃいました。

そこで、予約システムの「まちかぎリモート」と暗証番号式のスマートロック「RemoteLOCK」を導入していただき、施設の予約から鍵の受け渡し、利用報告までを一気通貫でオンライン化していただきました。団体管理や予約情報の集計・カレンダー表示、利用不可時の予約団体への自動メール、オンライン利用報告は「まちかぎリモート」で、鍵の受け渡しは「RemoteLOCK」で対応することで、これまで教頭先生が担っていた業務をオンライン化し、教育委員会による学校開放事業の巻き取りと統括管理を可能にしていただきました。

導入事例の2つ目は茨城県小美玉市様です。小美玉市様では、学校と利用団体双方に負担の少ない学校開放プロセスを構築したいというご要望がありました。教頭先生は利用団体からの頻繁な問い合わせ対応や紙の予定表との照合作業、鍵の受け渡しに伴う紛失リスクという心理的負担を抱えておりました。また、利用団体も空き状況を確認する電話に加え、市役所での手続き、鍵の受け取りと返却で何度も学校や市役所に足を運ぶ必要がありました。

「まちかぎリモート」と「RemoteLOCK」の導入により、先生・利用者双方の手間や負担を削減しただけでなく、廃校の管理も人手をかけずに行えるようになりました。導入後は学校への問い合わせの電話がほぼなくなり、紙の管理や鍵の手渡しが不要になったことで、先生方は本来の授業や校務に集中できるようになりました。また、利用団体も自宅から24時間いつでも予約できること、暗証番号で解錠できるようになったことにより、窓口や学校へ行く手間が不要になったと伺っています。

運用の定着を支える仕組みとして捉える

ここからは製品について具体的にご説明します。「まちかぎリモート」と「RemoteLOCK」を連動させることにより、「予約した時間帯だけ利用可能な暗証番号」を利用者に自動で通知することができます。予約システム側では予約受付だけでなく、オンライン決済や利用後の報告、どの団体がどれだけ施設を利用したかといったレポート機能も使えますので、施設運用や利用実態の管理の効率化につながります。

RemoteLOCK自体は暗証番号式のスマートロックで、インターネット上の管理画面から暗証番号の設定・変更・削除が可能です。いつでも使える番号のほか、予約した時間帯しか使えない番号という権限設定もできます。インターネットにアクセスできればどこからでも鍵の情報を確認できますので、市役所の中にいながら遠く離れた施設の鍵の状況を把握することも可能です。

運用イメージとしては、先生や職員向けにいつでも使える暗証番号、対応団体や利用団体向けに予約した時間帯だけ入室できる暗証番号を設定でき、利用者が入室すると管理者にメールで通知が届くため、現地に人がいなくても入室状況を把握できます。

また、暗証番号を「RemoteLOCK」本体に記憶させることができるため、避難所開設用の緊急用の暗証番号として設定しておくことも可能です。実際に能登半島地震の際、富山県高岡市様ではこの機能を活用することで、迅速な避難所開設につなげていただきました(https://remotelock.kke.co.jp/case/takaoka/)。

「RemoteLOCK」のメリットとして、住民の目線では暗証番号式であることの簡単さがあります。スマートフォンやICカードが不要なため、高齢の方や小さなお子様でも使いやすく、鍵の受け取り・返却に行く手間もなくなります。自治体の目線では、離れた場所からコントロールでき、施設に管理人が常駐する必要がない点、履歴確認や電池交換アラート、オートロック機能による閉め忘れ防止といった機能面のメリットもあります。

今後広がる部活動の地域展開においても、地域クラブの関係者に事前に暗証番号をお伝えすることで、鍵の受け渡しの手間を省略できると考えています。


予約システムの「まちかぎリモート」については、施設を選択すると予約可能な時間帯をカレンダーで表示できます。先着予約だけでなく抽選予約にも対応し、利用上限設定と組み合わせることで調整会議の省略、平等な施設利用にもつながります。申請の際は過去の申請内容を参照して簡単に入力でき、支払い画面で減免申請やオンライン決済の選択も可能です。毎週決まった曜日・時間に使う団体や、大会のため数日間連続で予約したいというニーズにも繰り返し予約機能で対応できます。

管理者側は、予約状況をステータス別に色分けしたカレンダーで直感的に把握でき、許可のクリックだけで申請が完了しますし、スマートフォンやメールアドレスを持たない方への代理予約にも対応しています。

利用報告機能により、利用状況をオンラインで集約し、今後の施設開放の方針策定にも活用いただけます。

こうしたスマートロックや予約システムは、新しい地方経済・生活環境創生交付金の対象にもなっており、本日ご紹介した八戸市様をはじめ多くの自治体様がこの交付金を活用して導入されています。

最後にまとめです。多くの自治体様では、学校開放に関わる多くの業務を先生方が担っている状況があります。本来の業務に集中できる環境を整えるとともに、これから始まる部活動の地域展開を見据えた運用整備が必要です。また、予約の管理や鍵の受け渡し、台帳記入といった「人でなくてもできる業務」は、予約システムやスマートロックといった機械に置き換えるという考え方が重要になると考えております。ただし、各学校独自のルールを1つに統一することは難しいため、これまでの利用者に配慮した納得感のあるルール作りが、運用変更を受け入れてもらう鍵になると考えています。

最後に、弊社では自治体様に向けて、「まちかぎリモート」と「RemoteLOCK」のセット、またはそれぞれを無償でお試しいただける実証実験を提供しております。学校の先生方や利用者からの反応を確かめながら、今後の予算取りや方策の策定に活用いただければと思います(https://www.jt-tsushin.jp/articles/service/platform-kke-20250314)。ご興味がございましたら、ぜひ弊社までお声掛けいただければ幸いです。

子どもたちの学びを支える教職員の働き方改革

第3部に登壇したのは横浜市教育委員会事務局の松本さん。人口・児童生徒数ともに全国有数の教育規模を持つ横浜市において、「何をやめるか」にとどまらず、カリキュラム・マネジメントによって教職員の「余白」を意図的に生み出し、それを授業改善や対話に再投資することで子どもの学びの質向上と教職員の働きやすさ・働きがいを同時に実現していく、総力戦としての働き方改革の考え方と具体的な取り組みについてお話いただきました。

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【講師】

松本 進 さん
横浜市 教育委員会事務局 教育政策統括部 教育政策推進課
指導主事

平成18年度より、横浜市立小学校教諭として勤務。令和元年度からは主幹教諭を務め、令和5年度には横浜国立大学教職大学院へ派遣された。令和6年度より横浜市教育委員会事務局教育政策推進課指導主事として、教職員の働き方改革を担当している。

教育規模の大きさと働き方改革の総力戦

教職員の働き方改革を担当しております、横浜市教育委員会事務局教育政策統括部教育政策推進課の松本です。私は小学校の教員から、一昨年度より指導主事として現在の業務に携わっております。本日は、子どもたちの学びを支える教職員の働き方改革というテーマでお話しさせていただきます。

今回のジチタイワークスさんのテーマは「教員のやめる業務を決める働き方改革、判断基準と進め方」と伺っております。まさに重要な視点ではありますが、横浜市における教職員の働き方改革は、現在その先のフェーズに入っていると捉えています。つまり、何をやめるかという議論にとどまらず、教職員が子どもの学びづくりにいかに注力できるか、そのために働き方改革をどう位置づけるかという段階に来ているという認識です。そのため本市では、子どもの学びの質向上と働きやすさ・働きがいを同時に実現する取り組みとして、教育委員会事務局と学校が共通理解のもとで進めていくことを重視しています。本日は、横浜市の教育規模、教職員の働き方改革の総力戦、現状と課題、これからの働き方改革、具体的な取り組みの視点という5点についてご説明します。

まず横浜市の教育規模です。人口約377万人※、児童生徒は約25万人、教職員は約2万人、学校数は小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・特別支援学校を合わせて504校に上ります。

※令和8年9月1日現在は、人口約376万人(3,757,388人 )

このため、何かを全市的に進める際には、即時性や機動性の面で難しさがあるのが実情です。一方で、この規模だからこそ蓄積されるデータを生かせる点や、企業・大学などの立地の多さを背景に、連携協働において高いポテンシャルを有しているという側面もあります。
続いて、教職員の働き方改革は1つの施策で大きく改善されるものではなく、特効薬のない総力戦であると言われています。そのため横浜市では、総合的かつ多角的な視点で働き方改革を進めてきました。本市の教員募集サイトの中で、主な取り組みとして、外部人材等の配置による体制の強化、ICTの活用等による業務改善、風土改革のほか、外部委託等による業務の適正化・精選が挙げられます。

たとえば希望する全ての学校でプール清掃を外部委託しているほか、教職員が休暇を取得しやすいよう学校閉庁期間を設定しており、この期間中は各学校の判断で日直や電話対応も行わない学校閉庁日を設けることができ、多くの教職員が休暇を取得しています。横浜市では年間19日間を設定しており、夏季休業期間は8月3日から16日までの14日間です。また部活動改革についても、ガイドラインの策定・遵守や部活動指導員の配置などを進めています。
昨年度までの4年間の計画である第4期横浜市教育振興基本計画では、遅くとも19時までの退勤を原則とし、働き方改革の推進によって学ぶ時間を確保し、教職員の資質・能力の向上を図ることを目標・方向性としていました。主な指標としては、2か月連続で時間外在校等時間が月80時間を超える教職員数を毎年度ゼロ人とすること、19時までに退勤する教職員の割合を90%とすることを設定していました。

特に月80時間超が2か月連続としている点については、いじめ対応など子どもの生命・安全・安心を最優先に集中的に取り組む中で、一時的に時間外在校等時間が増えることはあり得るという学校現場からの声がある一方、教職員の健康リスクへの配慮も必要であることから、連続しないようにすることを目標として設定しました。また19時までに退勤という指標も、単に時間外45時間以内と示すよりも、何時までに退勤するかの方が現場にとってわかりやすいという意見を踏まえ、朝定時に出勤した場合の1つの目安として設定しています。

風土と意識の変化という視点

ここから、風土改革・意識改革に関する取り組みを4点ご紹介します。1点目は、時間外在校等時間の情報共有とそれに基づく支援・指導の仕組みです。学校現場では庶務事務システムにより教職員自身が日々の勤務時間を把握できるようにしており、学校管理職は随時勤務状況を確認し、長時間勤務者が見られる場合には翌月速やかに改善計画書を作成し教育委員会へ提出します。さらに校長会では区内全体の平均時間や長時間勤務者数を共有し、好事例の横展開も進めています。学校教育事務所でも毎月状況を把握し、定期訪問や管理職ヒアリングを通じて学校への支援・指導を行っており、これらの情報は関係課と学校教育事務所による報告会議、さらに教育長・部長級による管理職会議でも共有され、組織全体で課題を捉える体制としています。



情報の見える化、組織間の連携、継続的な支援を組み合わせることで、持続可能な学校づくりを進めています。

2点目は学校管理職向け研修の強化です。令和4年度から新任2年目校長を対象に、働き方分析ツールを活用した研修を年3回実施しています。このツールは教職員の働き方に関するアンケート結果を可視化し、学校ごとの現状と課題を共有できるもので、令和4年度の実績では研修を受講した学校の約75%で平均時間外勤務が減少し、80時間超の教員数が減少した学校も約68%に上っています。研修では分析結果を踏まえて校内でプロジェクトチームを立ち上げ、日課表の見直しや行事の精選など具体的な改善策の実践につなげています。

3点目は学校・地域コーディネーター研修です。令和7年11月13日に実施したもので、学校と地域をつなぐ役割を担うコーディネーターの皆さんに、国が示す学校と教師の業務の3分類や横浜市教育振興基本計画の指標の経過を共有し、現在の学校や地域の状況について共通理解を図りました。参加者からは学校現場のタスクの多さへの気づきが多く上がり、この実態をしっかり知ってもらうことの必要性が確認できたのは大きな成果でした。同時に、これまでのやり方に固執せず地域や学校の実態に合わせて柔軟に形を変えていく持続可能性の重要性や、地域による学習支援が教職員の負担軽減にもつながるのではないかという指摘、教職員の健康や安定した働き方が最終的に子どもたちへの教育の質に直接反映されるという理解も深まりました。
4点目は保護者への理解・協力を求める情報発信です。働き方改革を進めるうえでは保護者の理解と協力が不可欠であるため、横浜市PTA連絡協議会と連名で、学校や教職員を取り巻く現状や課題、具体的な取り組みをお伝えしており、学校と保護者が課題認識を共有しながら働き方改革をともに進めていく関係づくりを目指しています。

モデル校の知見の横展開

質の高い学びと持続可能な学校の同時実現に向けては、令和3年度から7年度までの5年間、モデル校事業を行いました。午前中集中型の授業や短時間モジュールを導入し、モデル校のA小学校では児童の集中力向上と教職員の裁量時間の確保、時間外勤務の平均8時間以上の減少、児童アンケートで約9割が学習に集中できるようになったと回答するなどの成果を上げています。

現在はこのモデル校事業の知見の横展開を、研究開発学校や特例校でなくても現行制度でできることとして進めているところです。
今年度より横浜市教育振興基本計画は第4期から第5期へ移行しました。2か月連続で時間外在校等時間が月80時間を超える教職員数は、令和3年度以降減少傾向にあり、令和6年度は令和5年度と比較して約33%減となっているものの、目標であるゼロ人には至っていません。19時までに退勤する教職員の割合も、令和6年度の平均は約80.9%で令和4年度以降着実に上昇していますが、こちらも目標値には到達していません。


こうした課題を踏まえ、令和7年度にはチーム学年経営の全校実施やチーム担任制の研究、スクールロイヤーの拡充、部活動の大会運営業務等におけるボランティア活用の拡充、家庭と学校の連絡システムにおける提出書類のデジタル化等の試行、Microsoft365やクラウド版グループウェアの導入、日本スポーツ振興センター災害共済給付金支払い事務の外部委託、学校図書館における新聞購入契約手続きの事務局集約化などを実施しました。

第5期横浜市教育振興基本計画で示している現状と課題の大きなポイントは、教職員に余白を生み出す必要性です。カリキュラム・マネジメントの工夫やモデル校事業の推進などにより裁量ある時間を生み出す取り組みを進め、時間外在校等時間は着実に減少してきています。一方で、事務処理や授業準備、部活動指導、保護者対応に時間を要していること、特別な支援や日本語指導等が必要な児童生徒数の増加に伴い特定の教職員へ業務の偏りが生じていること、デジタル技術を効果的に活用できる体制・環境の整備、教職員一人一人が学校づくりの議論へ主体的に参画する意識と組織風土の醸成という4つの課題も見えてきています。時間外在校等時間は市全体と比較してモデル校の方が縮減している状況が見られ、カリキュラム・マネジメントの工夫が働き方改革に一定の効果を上げていることを示していると捉えており、今後は個別の学校の取り組みだけでなく、モデル校で得られた知見をいかに広げていくか、すなわち横展開が重要なポイントになると考えています。

余白づくりを両立の起点とする

第5期計画 柱5・施策2では、働き方改革により教職員に時間的・心理的な余白を生み出し、教職員がいきいきと働き、学び続け、心身ともに充実した状態で子どもたちに向き合える環境を整えることを目標としています。主な取り組みは、余白を生み出すためのカリキュラム・マネジメント、学校以外が担うべき業務に関する取り組み、教師以外が積極的に参画すべき業務に関する取り組み、教師の業務だが負担軽減を促進すべき業務に関する取り組み、校務DX等の推進、教職員の意識改革と組織風土の醸成の6点です。指標としては、生み出した余白を児童生徒の資質・能力の向上に有効に活用できたと感じる教職員の割合を100%、月の時間外在校等時間の平均時間を現在の35時間から30時間へ縮減することを目標としています。

ここで言うカリキュラム・マネジメントとは、単に教育課程を編成することにとどまらず、学校全体の教育活動や業務を見渡しながら必要な取り組みに重点化し、効果的に資源を配分していくことを指します。その中で重要になるのが、余白を意図的に生み出すという視点です。日課や行事のあり方、ICT活用などを見直し、業務の精選・重点化を図ることで教職員が主体的に使うことのできる時間を確保し、その余白を授業改善や子ども理解、教職員同士の対話などに充てることで、教育の質の向上につなげていくことを目指しています。日課の工夫などにより裁量ある時間を生み出す取り組みを行っている学校数は、モデル校事業の知見の発信等の効果もあり年々増加しており、第5期計画ではこうした具体的な事例の展開や成果の普及、余白の必要性・活用方法への理解を深める取り組みを進め、全校での実施を目指しています。

次期学習指導要領に向けた中央教育審議会の基本的な考え方は、主体的・対話的で深い学び、多様性の包摂、そしてそれらを支える実現可能性の確保の3つとされており、特に実現可能性の確保が前2つを支えるものとして位置づけられています。つまり学びの質を高め、多様な子どもたちを包摂していくためには、それを持続的に実現できる環境整備が不可欠であるという考え方で、これはモデル校の取り組みとも重なる部分です。

本市としては、こうした国の方向性を見据えながら、余白を生み出すカリキュラム・マネジメントを通して教育の質の向上を実現していくという考え方で取り組みを進めています。
具体的な取り組みとしては、通知・調査事務の負担軽減や平準化にも取り組んでおり、校長会・副校長会等からの要望を踏まえ、教育委員会事務局から学校への通知・調査依頼は減少傾向にあります。各課室には削減や統合、繁忙期を避けた発信時期の見直し、発出前のチェックリストの活用などを呼びかけているほか、やむを得ない場合を除き文部科学省の共同調査システムを使用するよう依頼しています。校務DX等の推進としては、保護者の利便性向上と教職員の負担軽減の両立を図るため、家庭と学校の連絡システムの機能拡充による提出書類のデジタル化などを進めています。学校を支える体制としては、外部人材の配置による体制強化をこれまでも進めてきており、今後は配置の継続に加え、外部人材のさらなる活用促進・拡充や連携の強化に取り組んでいきます。


事例の横展開についても、働き方改革通信スマイルや校務DX事例集といった形で好事例を見える化し、すぐに活用できる形で発信しています。ポイントは、特別な取り組みを紹介するというよりも、自校でもできそうだと感じられる事例を届けていくことにあります。こうした横展開を積み重ねることで、各学校においてやり方を変えても良いのではないか、もっと工夫できるのではないかといった意識の変化が生まれ、それが教職員の行動の変化や組織風土の醸成につながっていくことを期待しています。現場から新たな実践をいただきながら内容を更新し、双方向的な取り組みとしてさらに広げていきたいと考えています。

最後に、質の高い学びと持続可能な学校の同時実現に向けた具体的な取り組みの視点を共有します。モデル校の教職員アンケートからは、明確なビジョンと共通理解、カリキュラム・マネジメント、ICT活用、コミュニケーションや情報共有、職場環境の改善、教材研究と研修の時間確保などを複合的・総合的に進め機能させていくことが必要であることが見えてきました。モデル校の知見からの注目ポイントは主に2点あります。1点目は複数の取り組みを関連付けて実行することで、明確なビジョンと共通理解のもと、教職員一人一人が議論に参画する機会を確保し、日常的なコミュニケーションや情報共有を通して学校全体として方向性を揃えていくこと、その前提として意見を言いやすい職場環境、すなわち心理的安全性を高めていくことも欠かせません。2点目は全教職員でカリキュラム・マネジメントを進めることで、全体で取り組むことでやるべきことが明確になって重点化が進み、その結果として業務の精選や軽減が進み、働き方改革と教育の質の向上の同時実現につながっていきます。その中でICTを効果的に活用していくことが、授業改善と業務改善を結びつける重要な要素になると考えています。

教育委員会事務局においては、モデル校の知見や好事例をわかりやすく整理・発信し、方向性を示すとともに、学校が主体的に取り組める環境を整えていくことが役割だと考えています。一方で学校においては、そうした知見を踏まえながら実態に応じて取り組みを組み合わせ、教職員同士の対話を通して具体の実践に落とし込んでいくことが求められます。このように事務局と学校がそれぞれの役割を果たしながら、当事者意識を持って組織風土を醸成していくことが重要ではないかと考えております。


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