ジチタイワークス

福島県石川町

コロナワクチン接種予約情報の一元管理で業務の効率化と住民の利便性を両立。

新型コロナウイルスワクチンの集団接種に向け、多くの自治体がWEB予約システムを導入した。高齢者の多い石川町では、全住民の利便性を守るため、自動音声案内を含む電話予約が併用できるシステムを導入。担当者に話を聞いた。

※下記はジチタイワークスVol.18(2022年3月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社サイシード

スムーズな予約管理を目指し急ピッチで検討を開始。

令和2年12月、厚生労働省による「新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業に関する自治体向け説明会」が開催されて以降、各自治体は予約受付体制の構築が求められた。同町も令和3年1月から、ワクチン接種の予約管理体制についての検討を開始。いち早く情報を集めるために、まずは予約管理システムを持つベンダーが集まる説明会に参加し、そのうち7社にコンタクトを取った。

同町では、人口の約38%が65歳以上(令和3年5月時点)と高齢者の割合が高く、WEB以外の予約手段が必要不可欠であった。はじめは、ワクチン接種に関する情報が乏しく、前例のない事業であったため、庁内では“そもそも小さな自治体でシステムが必要なのか” “電話予約だけで十分ではないのか”といった意見も出るなど、正解の見えない中、議論が続いたという。しかし、「人口1万5,000人足らずの自治体とはいえ、電話予約だけでは大混乱になると予測し、予約システム+コールセンターの導入を考えました」と、企画商工課の矢内さん。そして複数のベンターを絞り込み最終的に導入したのが、「サイシード」が提供する「コロナワクチン接種予約管理システム」だったという。

IVRを含む3経路の予約を一元管理する体制を構築。

ベンダー選定にあたっては、20項目ほどの要望事項を準備してヒアリングを実施。その中で同社のシステムは、WEB予約サイトやコールセンターだけでなく、自動音声案内システム(以下、IVR※1)からの予約も可能だったことが導入の決め手になったという。検討段階では、「高齢者が普段使っている電話機とはいえ、IVRを使えるだろうかと不安もありました」。しかし、IVRで受診予約ができる病院も増えていたため、大丈夫だろうと判断。結果的に、WEB・コールセンター・IVRの3経路で住民からの予約受付を開始した。同社のシステムでは、異なる受付方法からの予約も一元管理できる仕組みが整っており、予約情報の集約や管理の手間が省けたという。

また、ワクチン接種事業の状況が日々変化する中、ワクチン接種記録システム(以下、VRS※2)が登場した。突如、想定外のデータ連携が必要となったが、同社のシステムはクラウド利用のため、すぐさまアップデートされスマートに対応。CSVデータで必要な情報が一括出力できたことも、業務効率化につながったという。

※1 IVR=Interactive Voice Response
※2 VRS=Vaccination Record System

システム導入が効率化に寄与すると実感できた。

予約開始日には、庁舎内に設けたコールセンターに15回線を準備したが、予想通り開始直後から電話が鳴りっぱなしの状態となった。しかし、後日データで確認をすると、電話がつながらなかった高齢者の2割程度がIVR利用に切り替え、若年層にも一定数のIVR利用者がいることが分かり、導入の効果が実感できたという。運用後も、受付から接種済票発行、接種回数チェック、VRSとの情報連携まで、システムによって滞りなく進められた。

情報が錯綜し、混乱する状況の中でもスムーズに実施できたのは庁内全体での協力体制もあったという。「自分たちだけではアナログな手段で行おうとしていたため、担当課かどうか関係なく知恵を出し合い、アドバイスをもらって効率的に実施できたと思います」と、保健福祉課の矢内さんは振り返る。

個人情報保護の観点からLINE経由の予約は行わなかったが、「今後は活用法を検討したいですね。きっかけがないと庁内のデジタル化はなかなか進みません。今回でシステム導入の成果を実感できたため、この事例をもとに“一元管理システムによる業務効率化”という手法を、他事業にも横展開できればと考えています」。

石川町の活用例

サイシードのワクチン接種予約管理システムを活用した石川町。複数の受付方法を設け、情報統合できるシステムで業務効率化を実現した。

IVRの導入メリット

IVR予約とは…音声ガイダンスに従って電話機のボタン操作を行うことで、オペレーターなしで受付が可能。
 

強み1 高齢者でもIVRで予約できる!

高齢者が多い自治体の場合、コールセンターに予約が集中する可能性が高く、回線パンクのおそれがある。そんなとき、IVRの併用があれば、分散が可能になる。実際に石川町のワクチン接種事業では、高齢者の約20%がIVR予約だった。

年代別 集団接種予約方法の割合


強み2 コスト削減に効果的!

コールセンターの場合、オペレーターの人件費と対応時間がそのままコストに直結する。IVRの導入で、人の対応件数を減らしコスト削減につなげることができる。

1予約当たりのコスト比較


強み3 24時間受付できる!

開庁時間に連絡ができない住民も、取りこぼさずに対応できる。


強み4 外国語対応も可能!

事前に登録をしておけば、日本語以外の対応も可能になる。

石川町
左:保健福祉課 健康増進係
矢内 貴子(やない たかこ)さん
右:企画商工課 管理情報係
矢内 清春(やない きよはる)さん

“事務局立ち上げの包括支援パートナー”として担当者の困り事をまとめて引き受ける。

石川町のワクチン接種事業に貢献している同社の予約システムは、東京23区の半数以上でも導入され、規模の大小を問わず全国各地で高い評価を得ているが、同社は「これは目指す世界の一部にすぎない」という。システム開発にとどまらない、同社が本来もつサービスの全体像を紹介する。

Before

新事業立ち上げとなった場合、担当職員は、各業務に適した事業者をリサーチ。個々の仕様書を作成し、入札などを経て、決定した事業者に個別発注となり、負担が大きい割に全体コストも上がってしまう。

After

新事業の立ち上げから運営全体を“事務局”に任せる。各種業務の全体最適を考えた上で、システムとオペレーションの要件を定め、迅速に立ち上げ。スタート後も自治体の現場管理の手間を省きつつ、コスト減を図る。

システムを軸にした全体最適化で自治体事業はもっと効率化できる!

同社による事務局立ち上げの包括支援は、システム単体ではなく、コールセンターなど人的コストがかさむオペレーション面まで最適化することで、“自治体の負担軽減・住民サービスの質向上・ベンダーの価値向上”の三方良しを目指しているという。その思いを代表取締役の松尾さんに聞いた。

“システムの販売”だけではなく課題の根本から解決したい。

同社は全国の自治体に知られる存在となったが、「私たちのやりたいことは、受け身の“ベンダー”の範囲より、もう1歩踏み込んだものなのです」と松尾さんは語る。「当社は、自治体向けの“システム構築”を主力事業としている会社ではありません。主に“自社開発のAIシステムを軸にした業務効率化”を提案・実行してきたITベンチャーです」。

予約システムを提供する中で、複雑かつ負担の多い現場の状況を知り、もどかしさを感じたという。「どの自治体も、コロナ禍を乗り切ろうと力を尽くしています。しかし、告知内容とシステムの整合性が取れておらず、問い合わせが殺到する。殺到するから、コールセンターを増員する。そのために予算を取り、必要書類を新たに作成し……と、連携不足により、本来不要な業務が次々と発生する悪循環を目の当たりにしました」。

全体最適ソリューションが現場の横連携を実現する。

松尾さんによると、ワクチン接種に限らず、例えば給付金のように突発的に事務局の立ち上げが必要な事業では、システム構築、コールセンターなどの業務を別々の事業者へ委託することが多いそう。「自治体担当者が複数事業者の関わるプロジェクトを統括することになり、人手不足・経験不足の中で細部まで目を配るのは非常に困難です。また、事務局の中では人件費が大きな割合を占めますが、システムが使いにくい・連携していないとなると、必要以上に人員増、コスト増につながります」。

そんな現状のもと、同社は“事務局の理想像”に向かって、全てのデータが統合されたシステム構築にこだわっている。「もし、自動音声案内システム(IVR)やWEB予約が別々のシステムで管理されていたら、集約するのに無駄な手間とミスが発生します。これはほかの事業においても同様です。だから、一元管理が重要なのです」。

費用を抑えてスピード感のある事務局立ち上げを実現。

包括支援・一元管理のメリットは効率化やコストダウンだけではないという。「事業に必要なピースを自社で揃えているので、事業の立ち上げスピードも、変化への対応も早くなります。事業運営から無駄をそぎ落とし、行政サービスの質をより高めていくお手伝いができればと思っています」。

これは、人手や専門人材の不足、財源不足などで悩む自治体にとって、未来への可能性も秘めた新しい提案ではないだろうか。

サイシード
代表取締役
松尾 陽二(まつお ようじ)さん

包括支援についてはHPから!

包括支援の全体像を紹介した資料はHPよりダウンロードできます。個別相談も承りますので、気軽にお問い合わせください。ワクチン接種予約管理システム資料は、こちらよりダウンロードできます。

お問い合わせ

サービス提供元企業:株式会社サイシード

TEL:03-6871-8691
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿6-18-1 住友不動産新宿セントラルパークタワー19F

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