外国人観光客が増加する中、観光客が来てからの対応策が後手に回り、現場に不安が残ったままという地域も少なくない。こういった課題への取り組みを積極的に行っている公益社団法人 熊本県観光連盟(※以下・連盟)の中川 誠さんに解決策を聞いた。
※下記はジチタイワークス観光・インバウンド号Vol.2(2019年9月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 株式会社トゥルース
急増する外国人観光客と、現場とのギャップ
熊本県は、阿蘇や熊本城、温泉地など県下全域に豊富な観光資源を持つ。近年は九州新幹線の全線開業や、熊本空港からの海外定期航路の開設、大型クルーズ船の寄港などが追い風になり、平成19(2007)年時点では40万人に満たなかった外国人宿泊客数が、10年後には74万人にまで増加した。
しかし、観光の現場ではインバウンドの受け入れ態勢が整っていなかった。この点に焦りを感じたと中川さんは振り返る。「事業者の、『言語も文化も違う海外のお客様にどう接したらいいのか』といった不安の声を聞き、対策が急務だと感じました。何より、せっかく熊本に来ていただいた方々に十分なおもてなしができないというのが申し訳なく思えたのです」。
連盟は応対力向上に向け、インバウンド受け入れ態勢の構築を「トゥルース」に委託することに決定。平成27(2015)年から県下全域で「おもてなし向上プロジェクトセミナー」を開始した。現場で実際に応対する接客スタッフ向けの内容のほかに、経営者向けセミナーも実施。事業者全体で課題意識を持つべきだというトゥルースの提案によるものだった。
地震による中断、そして再出発
セミナーも順調に進み、2年目に入ったところで熊本地震が発生した。セミナー事業も一時中断したが、地震後は応援も含め国内外から多くの人が訪れるようになり、来熊者へのおもてなしの必要性がより高まったという。
そのため、態勢が整い次第事業を再開した。まだ一部消極的な事業者もいたが、中川さんたちは啓発を進め、考え方や取り組み姿勢を変えていった。
セミナーでは観光客への心構えや具体的な接客、英語・中国語といった語学が教えられるほか、現場で即活用できる各種ツールも用意。「指さしシート」もその一つだ。「どちらへ行かれますか?」のような基礎会話が5カ国語(英語・中国語[繁体字・簡体字]・韓国語・タイ語)で書かれ、現場ではそれを読んだり、シートを指さしたりして観光客とコミュニケーションをとる。「おもてなし」サポートの一例だ。
受け入れの土台を築いた3年間
セミナーは足掛け3年に渡り、参加した事業者は、空港、宿泊施設、土産店、飲食店、バス・タクシー会社などと幅広い。受講者の約8割から「観光客への対応がスムーズにできるようになった」「多様性の理解が深まった」「今後の不安がなくなった」といった声が寄せられている。「トゥルースには、ベーシックな部分を構築してもらいました。今後は、現場の課題や事業者の声を集め、方向性を決めようと考えています」。
令和元(2019)年の熊本県では、JRの「熊本デスティネーションキャンペーン」が実施され、ラグビーW杯、女子ハンドボール世界選手権大会も開催されるなど受け入れムードが高まっている。「これを機に県内の観光資源を見直し、再発信していきたい。全ての人に『熊本っていいね』と感じていただけるのが目標です」と語る中川さん。県が一丸となった創造的復興は着実に前進を重ねているようだ。
「実践的で細やかな提案が決め手でした」と語る(公社)熊本県観光連盟の中川 誠さん
一気通貫のインバウンド対策で地域活性化を実現する
観光客の満足度向上は、リピーターや新規来訪者を呼び込み、その後の成果に直結する。そのための現場の土台づくりを行うのが、受け入れ態勢構築の全てを一気通貫で行うトゥルースだ。
自治体サポートの流れ/熊本県観光連盟のケース
その他導入実績
観光満足度向上のために“地域を変える”お手伝いをします!
トゥルースでは、地域目標(KPI)に合わせた内容設計を行い、語学、接遇、集客取組施策などを組み合わせてセミナーを実施します。行政はもちろん、民間でも年間2,000件を超えるセミナーを実施。外国人満足度調査などのアセスメントにも対応します。幅の広さと質の高さで地域課題を解決しますので、何でもご相談ください。
株式会社トゥルース 代表取締役 笹西 真理さん
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