汎用型の業務改善プラットフォーム「kintone」
新型コロナウイルス感染症対策のように日々変化する状況下で、柔軟に対応し続けるのは難しい。そんな中、大阪府は独自の基準を打ち出し、業務改善ソフトを導入、短期間でのシステム内製で現場を劇的に改善。その取り組みの経緯を追った。
※下記はジチタイワークスVol.10(2020年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]サイボウズ株式会社
新型コロナウイルス感染症という未経験の災禍と現場の限界。
新型コロナウイルス感染症の患者が全国的に急増し始めた令和2年3月下旬、大阪府は症状によって処置を振り分ける「大阪方式」を基準に、感染拡大防止に尽力していた。しかし、保健所や感染者を受け入れる医療機関やホテルなどの現場のニーズに対応できるシステムがなく、保健所の職員が電話で医療機関や感染者へのヒアリングを行い、それを手書きの資料で共有、日ごとにエクセルへ入力するという情報管理を行っていた。やがて人手は不足、情報も錯綜し、職員からは「限界だ」と悲鳴が上がり始めた。
有効な手を打つべく、スマートシティ戦略部が動くことになった。同部は令和2年4月1日に発足したばかりだったが、図らずもこの感染症対策が初業務になり、部内で専任チームを立ち上げた。
チーム内で打開策を練る中、「kintone(以下、キントーン)が使えるのでは」という案が出た。キントーンは業務データの一元化を実現する「サイボウズ」の業務改善プラットフォームだ。これに着目した理由を、大阪府の山縣さんは次のように語る。「以前、他自治体での導入事例でキントーンを知り、いずれ導入したいと考えていました。今こそ、その機会だとサイボウズに声をかけ、全面的な協力を得られることになったんです」。
疲弊する現場を支えて府民の大切な命を守れ!
同府がサイボウズにアプローチしたのは4月6日。一刻を争う中でチームが目指したのは、キントーンをデータベースにして、感染者自身が健康観察データをスマホなどの個人端末から入力、感染者の移動や施設の空き状況などは職員や看護師が入力できるようにし、随時確認・更新が可能な仕組みづくりだった。
システムの構築は、林さんともう1名の職員が担当し、サイボウズがフォローを行った。林さん自身、キントーンでのシステム構築は初めてだったが「直感的に組み立てられるので、慣れるのに時間はかかりませんでした」と振り返る。初動からわずか2週間後の4月20日に運用を開始した。
導入により、現場での感染者へのヒアリングの負担が激減、感染者の情報もリアルタイムに共有が可能になった。入力フォームに項目を追加したり、操作に関する要望が入ったりすれば、チームがすぐにキントーンへ反映させるなど柔軟に対応していったという。
使えるテクノロジーは惜しみなく他自治体へ共有。
キントーンの活用で、対策の現場体制を確立した大阪府。チームはこれに留まることなく、中小企業等への支援金申請対応や医療従事者等へのアンケートなどにも引き続き活用している。林さんはこれらのシステム構築にも関わりつつ、「一度キントーンでシステムをつくると、テンプレート化して再利用・配布できるので、どんどん効率が上がります」と話す。この大阪方式で活かされたシステムは、他自治体にもすぐに提供できるよう公開されている。
大阪府において感染症対策という面で貢献しているキントーンだが、その特徴を活かせば、コロナ後の業務においても様々な利用法が考えられる。山縣さんは、事態の一日も早い収束を祈りつつ、「平時に戻ったら、行政事務のさらなる効率化や、府民サービスの向上にも役立ってくれそうです」と、未来への期待を込めて語ってくれた。
大阪府 スマートシティ戦略部 スマートシティ戦略総務課
参事 山縣 敦子さん
同課 林 嵩大さん
情報の一元化で職員同士をつなぎ、市民サービスも向上
大阪府の新型コロナウイルス感染症対策で大きく貢献したキントーン。この業務改善プラットフォームにはどんな特徴があり、どのようなことが可能になるのか。
1.システムを自ら構築可能
ドラッグ&ドロップで項目を並べる、という直感的操作でシステム構築が可能。プログラミングの経験など特別なスキルが無くても、業務の流れをイメージしながらシステムを組み立てられ、急な仕様変更にも臨機応変に対応できる。
※困ったときはサイボウズの元自治体職員を中心に構成された「公共チーム」がサポート!現場の「困った」という声を親身になって聞き、課題の解決に貢献する。
2.入力フォームと連携できる
「トヨクモ」のWEBフォーム作成サービス「フォームブリッジ」と連携。住民はスマホやPC、タブレットなど手持ちの端末からスムーズに情報の入力ができる。入力内容の確認は同社の「kViewer(ケイビューアー)」を介して行う。
▲スマホでの申請画面
3.帳票の作成までをカバー
同じくトヨクモの「プリントクリエイター」によって申請などの入力内容を即座に帳票化しPDFデータを発行。申請内容をデータ保存したり、プリンタで出力する際に役立つ。手書き帳票に起こりがちな記載ミスなどの発生も防ぐ。
▲発行された帳票
配布テンプレート
今回の感染症対策関連で多くの自治体にすぐ活用してもらえるよう、様々なテンプレートを準備している。
▶中小企業からの申請受付
休業補償、助成金などの申請をオンライン化し、窓口の混雑や時間のロスをなくして職員の負担も軽減する。登録者への一斉通知も可能。
▶飲食店テイクアウト情報共有
飲食店がテイクアウト情報をスマホなどの端末から入力し、自治体がキントーン上でチェック。許可されたものだけが住民に公開される。
他にも「新型コロナウイルス感染症FAQ管理」「公共施設開館状況管理」「イベント等開催状況管理」「支援物資送付・マッチング管理」などを配布中!
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