2020-05-15(金曜日)
東京都

技術革新の“小さな種”を “大きな森”へ。 イノベーションを世界へ発信する研究開発拠点。

社会が抱える様々な課題解決について、早くから顧客との「協創」の必要性を感じていた日立。日立の研究開発グループでは、世界中の顧客やパートナーと社会課題の解決に向けたビジョンを共有するとともに、SDGs、Society 5.0の実現に向けて、オープンな交流や協創アプローチを用いて、英知と技術の融合によるイノベーションを発信している。

その拠点として機能する「協創の森」を取材した。

※下記はジチタイワークス特別号 May 2020(2020年5月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

世界中から集う多くの人々とオープンな協創を実現するために。

日立は「複雑な社会課題の解決には日立の力だけでは限界がある」という考えのもと、早くから「協創」の重要性に着目。研究開発においても、顧客とのイノベーション創出のために、協創型の研究開発を進めてきた。ここでいう協創とは、企業、大学、行政などの様々なステークホルダーと日立が、解決すべき課題や将来ビジョンを共有し、お互いに知恵を出し合って新たな価値を生み出すことを指している。

このような協創の取り組みをさらに発展させる形で、平成31年4月、東京・国分寺市の森の中にある中央研究所内に世界へのイノベーション発信基地として開設されたのが「協創の森」だ。中央研究所は、昭和17年の設立以来、社会発展の礎となる多くのイノベーションが生まれた地であり、蓄積された“知”がある。ここに既存施設と併せて協創棟を整備することによって、様々なステークホルダーを呼び、より広範な知と感性を掛け合わせ、グローバルなオープンイノベーションエコシステムを構築する「協創の森」として再構築した。

ここでは、国が推進するS D G s(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)やSociety 5.0の実現に向けて、協創から生まれるイノベーションを加速させることで、“人間中心で持続可能な社会の実現”を目標としている。従来行われてきた1対1の協創だけではなく、世界中の顧客やパートナーと、日立の研究者やデザイナーたちとが一緒にアイデアを共有し、議論を深める。そうやって具体化されたアイデアをもとに、日立の持つOT(Operational Technology)やIT、プロダクトなどを活用し、未来社会にインパクトを与えるイノベーションを創出するという仕組みだ。

機能と環境設備の両面から創造力の高い働き方を推進。

協創の森の中枢となるのが「協創棟」。地上4階建て、延べ床面積約1万6,000㎡の施設内には、顧客やパートナーの課題などを協創によって解決し、新たな価値を生み出すために必要となる“環境”と“機能”が整えられている。

2階のプロジェクトベース(写真1)では、顧客やパートナーが持つ技術と、日立の人工知能(AI)やセンサー、ロボットなどの先端技術やIoTプラットフォームを活用したプロトタイピング(試作)が可能。このような検証をスピーディに繰り返すことで、技術やサービスを集中開発できるのだという。このほか、社内外の人々とのアイデアソンやハッカソン、ワークショップなどを行える「NEXPERIENCEスペース」や、打ち合わせや講演会などに対応するフリースペースであるカフェライブラリー(写真2)、約350名を収容できる国際会議場「日立馬場記念ホール」などが設置されている。

また、基本方針の一つとして「創造力を高めるワークスタイル」を掲げ、ここに集う人々がいきいきと活動できるクリエイティブな働き方の実践に取り組んでいるのも特徴だ。自然光が降りそそぐ建物内や、心地よく風が吹き抜ける「こもれびテラス」(写真3)など、大学のキャンパスのような建築設計は、“議論が活発化するように”と工夫されたもの。施設を囲む豊かな自然との共生も、研究者やデザイナーの探求心を深め、創造力を高めると考えられている。

ここから生まれるスケールの大きな発想が、画期的なイノベーションの創出へ結びつくことに期待したい。

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