自治体にとって重要な課題の一つである「業務効率化」。各自治体とも知恵を絞って様々な施策を行っているが、とりわけユニークなのが姫路市の取り組みだ。
※下記はジチタイワークスVol.9(2020年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 兵庫県姫路市
姫路市は、令和元年7月に、本庁舎内執務室の室温を25度設定にすると発表した。これは大阪市立大学特任教授で疲労医学を専門としている梶本 修身さんからの提言に基づくもので、先進諸国でのオフィス室温は約23度が標準であることや、25度と比較すると28度の方が生産性が低いといった論拠がある。環境省はクールビズでの室温28度を推奨しており、こうした動きに一石を投じる同市の取り組みは注目を集めた。
室温25度設定の試行は同年7月16日から8月31日にわたって実施され、職員向けのアンケート調査も行った。その結果、85%の職員が「業務効率が向上した」と回答。また、83%が「勤務後の疲労感が軽減された」と回答するなど、職員の身体的負担を軽減する効果も確認できた。残業時間は7・8月の合計で前年同月比16,802時間の減(減少率14.1%)という結果であった。これらの数値は、前年に比べて平均最高気温が低かったこと、台風や豪雨対応が減少したことなどの要因が主として考えられる。そうした点もふまえた上で、担当者は次のように語る。「25度設定が最適なのかどうかは検証を重ねていく必要があるが、業務効率化、疲労感の軽減など、職員に好影響を与えたことは確認できた。今後も、CO2排出量や経費の面なども総合的に考慮しながら取り組みを進めていきたい」。
姫路市では、今後さらに対象範囲を広め、出先機関も含めて全市的に25度設定を実施する予定だ。