日本で暮らすわれわれには、様々な保険制度がある。いわゆる「社会保険」だが、日本はとても充実している国といわれている。本来は「社会保険制度」を基盤とし、足りない部分を民間保険で補完することが理想とされているが、同制度を考慮せず民間保険に加入する人が多いのが現状だ。公務員には独自の上乗せ制度があり、この保障をうまく活用することで、ムダな保険料を抑えられる可能性がある。そこで今回は、社会保険の役割と保障内容の違いについて「ブロードマインド」平原さんが解説する。
※本記事は、資産形成に対する理解を深めるための情報提供を目的としており、いかなる投資の推奨・勧誘を行うものではありません。
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解説するのはこの方
平原 直樹(ひらはら なおき)さん
ブロードマインド株式会社 マーケティング本部 執行役員
立教大学社会学部卒業後、東証一部上場の大手IT企業に勤める傍ら2006年FP資格を取得。
「資産運用」「退職金運用相談」を専門とし、日本全国の官公庁や自治体などで年間100件を超えるセミナーを開催する傍ら、相談業務やコラムの執筆など幅広く活動している。
働き方などで異なる健康保険証。
皆さんがお持ちの健康保険証には、どのような役割があるでしょうか。共済組合の組合員証(=身分証明証)として認識している人もいますが、最も重要なのは、医療機関に提示することで窓口での支払いは自己負担限度額までになることです。
そんな健康保険証ですが、職業などで発行元が異なることはご存じでしょうか。75歳未満の人でいうと、主に以下の種類があります。
・国民健康保険: フリーランスや年金生活者が持つ保険証
・組合健保(組合管掌健康保険): 主に大企業に勤める社員やその扶養家族が持つ保険証
・協会けんぽ(全国健康保険協会): 民間企業に勤める社員やその扶養家族が持つ保険証
・共済組合: 公務員や私立学校に勤める人が持つ保険証
前述の通り、公務員の皆さんは、共済組合の保険証となりますが、勤め先によって発行元がさらに分かれています。
具体的には、以下の3種類となります。
・国家公務員共済組合
・地方公務員共済組合
・私立学校職員共済組合
保険証について発行元が異なるということは、機能もそれぞれ異なるのでしょうか。機能が全く異なるとなると、保険制度としての役割に差が生じる可能性もありますね。
そこで、法律によって定められた共通の「法定給付」と、健康保険組合ごとに独自に定めた「付加給付(附加給付)」とがあります。
注:共済組合では、「附加給付」と呼ばれることが多いため、以降は「附加給付」で統一します
共済組合の強み!医療費負担を軽減する附加給付制度の活用法。
共済組合の保険証は、附加給付がとても充実しています。
最も知っておくといいのが、大病や大けがをした場合です。大病や大けがをしてしまった場合、高額の医療費がかかってしまうおそれがあります。こうしたことを回避するために、法定給付として「高額療養費制度」があります。
高額療養費制度とは、医療費が一定の上限を超えた場合、自己負担額の一部が払い戻される制度です。なお、その年の4~6月の3カ月間の平均給与をベースに算出する「標準報酬月額」によって、それぞれ上限額は異なります。(以下、図参照)
※1 総医療費とは保険適用される診察費用の総額(10割)
出典:全国健康保険協会ホームページ(https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/)
この高額療養費制度の存在によって、大病した際にも多額の出費がかかることを避けられるわけです。そして、共済組合の保険証をお持ちの皆さんには、さらに附加給付があります。それが「一部負担金払戻金」です。
これは、共済組合独自の給付で、自己負担限度額をさらに引き下げることができるので、利用負担が軽減されます。
例えば、ある共済組合で附加給付の対象となったとしましょう。
同月に同一の医療機関等から受けた診療については、自己負担額が1件につき25,000円を超える場合、その超えた額が共済組合から支給されます。なお、上位所得者およびその被扶養者にあたっては、自己負担額が50,000円となるので注意が必要です。
注:入院と外来の取り扱いなど、ルールが共済組合ごとに異なります。詳細な点は必ずご加入中の共済組合をご確認ください
いずれにせよ、一部負担金払戻金があれば、現職期間に大病した際の経済的な不安は薄れますよね。
公務員でも保険の見直しが必要な理由。
さて、附加給付のある公務員と、附加給付のないフリーランスとでは、どちらが民間の医療保険が必要でしょうか。もちろん、フリーランスの方がより保障が必要であり、公務員の皆さんは保障の必要性が低くなりますよね。
ところが、実際にはフリーランスの人も公務員の人も、同じような医療保険に加入しているのが実態です。
両者が同じ保障に加入しているのであれば、公務員の人は過剰な保障になっている可能性が高そうですね。そのため、公務員こそ保険の見直しをすることで、重複する保障を省いて保険料を削減できる可能性があるわけです。
社会保険の目的や保障内容の違いまでを踏まえて保険選びができているという人は、どれくらいいるでしょうか。社会保障が手厚い皆さんだからこそ、よりご自身に適した保険を選ぶことをオススメします。
次回は、公務員ならではの年金制度と個人年金保険について解説します。
社会保険制度の知識に自信がないという人は……
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