自治体向けのベビー用品レンタル事業
少子化対策に力を入れ、子育て支援の充実を図る高森町。令和5年度には支援に特化した係をつくり、幅広い取り組みの一つとして、ベビー用品のレンタル事業を始めたという。今後目指す“子育てに強いまち”への展望を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.32(2024年6月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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子育てしやすい環境づくりの一環でベビー用品のレンタル事業を始めた。
同町では少子化や出生数の低下を課題としており、新生児は令和3年度に39人、令和4年度には22人だったという。この状況に歯止めをかけるべく、まずは子どもを育てやすい環境をつくろうと、令和5年度から子ども未来係が新設された。それまでは福祉係の中で高齢者や障害者支援と分担していたが、妊娠時から子どもが高校を卒業するまで切れ目のない支援を行うため、独立した係で業務に注力することになったという。
「当町では、第1子の出産が少ないという状況です。出産前後からフォローを手厚くし、少しでも安心して産めるような取り組みを始めました。その中の一つに、ベビーベッドなど“子育てスタート用品”のレンタル事業があります。限られた期間しか使わないものなので、レンタルの需要は高いですし、その負担も軽減できるようにと、当町がレンタル料金を助成することになりました」と、楠田さん。
実施にあたり、同様の事業を行っている北海道歌志内市(うたしないし)や浦臼町(うらうすちょう)が委託していた「ダスキン」のレントオール事業部に問い合わせたという。レンタル事業やメンテナンスの実績、全国各地に拠点をもつ連携のしやすさが決め手になったそうだ。
町民に欲しいものを選んでもらい、やりとりは業者に任せられる。
事業は令和5年8月にスタートした。支援対象は出産を間近に控えた世帯と、1歳未満の子どもがいる世帯。同年度に助成したベビー用品はベッド・マットレス・バス・スケールの4種類で、子ども1人当たり4万円を上限に、町民が必要なものを選択できる。同町は対象となる世帯にレンタルを案内し、希望する町民から申請を受け付ける。それを同社へ通知した後は、同社と町民が引き渡しなどのやりとりを行う。上限額を超えない限り町民の料金負担はなく、委託料には同町のふるさと納税の積み立て基金を充てているという。「使いたいものや期間は人それぞれなので、自由に決めてもらえるようにしました。配送から使用後のメンテナンスまで同社に任せられる点も、ありがたいです」。
取り組みの初年度は、新生児が生まれた20世帯のうち6世帯が活用し、ベビーベッドの需要が最も高かったそうだ。「必要性を感じていなかったけど、事業を知って活用したという人や、第1子が使ったベッドがあるが、部屋の配置に合わせて新たにレンタルしたという人もいました。ベビーカーを借りたいという声も聞くので、今後はニーズを踏まえて選択肢も随時調整するつもりです」。
支援する対象や事業の幅を広げまちの魅力として発展させる。
子育て支援に特化して、動きはじめたばかりの同係。将来的には“子育てに強いまち”として、町外からの移住者を呼び込むことも目標としている。そのためにまずは、すでにまちで暮らす人への支援を強化していくという。例えば、同町にある子育て支援センターは、スペースの拡充に向けて動いている段階だ。「センターが新しくなったら、ベビーラックやベビーチェアをレンタルして設置することも検討したいです。子育て支援センターを利用する人たちのニーズに、少しずつでも応えられたらと思います」。
令和6年度からは、産婦人科医や小児科医へのオンライン相談を開始した。今後、妊婦や産後間もない母親への宅配サービスも行う予定。民間と連携して、放課後の子どもの居場所づくりなどにも取り組むという。「レンタル事業をはじめ、こうした支援が町民の背中を押すきっかけになれば。子育て世帯の人たちと対話したり、事業者と連携したりと、みんなでまちの子育て支援を充実させていきたいです。その結果、町民の満足度向上につながり、さらにはまちの魅力として発信できるところまで成長させることを目指します」。
高森町
住民福祉課
子ども未来係
楠田 優香(くすだ ゆか)さん
予算情報
36万円
「パパママ応援子育てスタート用品レンタル事業」として、6月補正予算で計上。財源には、ふるさと納税の寄附額などを積み立てた「未来のまちづくり事業継承基金」を活用した。
導入実績
●北海道歌志内市
●北海道浦臼町
●愛媛県宇和島市など
※レンタル料金の上限・対象のベビー用品・住民の費用負担の有無などは自治体ごとの事業による
※令和6年3月時点(ダスキン調べ)