ジチタイワークス

【特集】関東大震災から100年~国や地方、官民が一丸となって挑む災害への備えとは~

2023年は、大正12(1923)年9月1日に発生した「関東大震災」から100年という節目の年。

関東大震災といえば、近代化した首都圏に未曾有の被害をもたらした巨大地震(マグニチュード7.9と推定)ですが、現代においても、自然災害の激甚化・頻発化により、各地で大きな被害が発生しています。

いつ発生するのか予測できない「災害への備え」として防災・減災対策の強化が急がれていますが、そのためには、国と地方の連携、官民連携、地域間の連携が重要。また、防災DXをはじめとするテクノロジーの開発・推進、地域における防災教育の推進、地域に暮らす住民一人ひとりの防災意識の向上などが欠かせません。

そこでジチタイワークスでは、この機会に改めて関東大震災について振り返るべく、有識者にインタビューを実施。また、各省庁、地方自治体におけるデジタル技術などを活用した防災・減災対策の取り組みを取材。これと併せ、地域や立場を越えて防災力の向上に取り組むコミュニティの活動も紹介します。

   特集記事の前に! 

緊急調査!関東大震災と防災・減災対策にまつわるアンケート

今回は、特集企画段階で、ジチタイワークス会員と防災担当課を対象にアンケートを実施。関東大震災への認知と、各自治体での防災・減災対策の現状についてお聞きし、100人以上に回答いただきました。ご協力くださった皆さん、ありがとうございました。

 

 

 

他自治体の先進事例

□ 災害想定の見える化、体験シュミレーション

デジタルに不得意な高齢者などのDX対策

高齢者等への情報発信方法(高齢者等への情報伝達が課題と思われるが、防災DXで解決できる方法はないか)


実施期間:令和5年6月29日~7月7日 有効回答数:155
※比率は小数点第1位以下を四捨五入しています
※このデータの無断転載・複製・および他社への開示は禁止させていただきます

関東大震災をデータと写真で振り返る

●関東大震災、阪神・淡路大震災および東日本大震災による被害状況等の比較

※令和5年版 防災白書(内閣府)をもとにジチタイワークス作成
 

 ●関東大震災の震度分布および住家全潰率

注1:図の破線は推定された震源断層面の地表への投影を表す
注2:震度分布は住家全潰率から推定
出典:令和5年版 防災白書(内閣府)

 

●関東大震災発生後の状況(写真)

震災当日、火災により発生した入道雲(出典:内務省社会局「大正震災志」)

▲東京上野周辺を空から撮影(出典:東京市「東京震災録」)

 

関東大震災による死者・行方不明者は、約10万5,000人と甚大な被害をもたらしました。上表のとおり、近年の大震災と比べても、その被害規模と社会経済的なインパクトは極めて大きかったことが分かります。

ここからは、アンケートでいただいたリアルな声と回答結果のデータをもとに、6つの特集記事を展開。有識者のお話をもとに関東大震災による被害とそこからの教訓を学び、各省庁および自治体が取り組む防災・減災対策についてご紹介します。

「防災・減災対策の強化」「防災DXの促進」といっても、人手不足や財源・ノウハウ不足などで、思うように取り組みが進まない自治体も多いのではないでしょうか。結局どう進めていけばいいの?と悩んでいる方や、まさにこれからDXに取り組もうと考えている方など、皆さまのヒントとアイデアになれば幸いです。
 

みんなで守り、安心して暮らす
「災害への備え」を語るつのメッセージ 

Chapter01 - 関東大震災を振り返る。“100年前”に学ぶ教訓とは? 

大正12(1923)年9月1日、南関東~東海エリアに甚大な被害をもたらした関東大震災。被害規模としては、明治以降に国内で発生した地震の中でも最大の自然災害という。発災から、今年でちょうど100年。関東大震災では、なぜそれほど大きな被害が出たのか。震災の体験から、国や地域は何らかの学びを得ることができたのか。名古屋大学特任教授で、関東大震災による被害実態の解明に貢献した地震学者・武村 雅之さんに話を聞いた。

 

Chapter02 - 国や自治体等の災害情報共有はどう変化する?  

発災時、人命救助におけるタイムリミットとされる“72時間”。72時間以内に救える命の最大化を目指す観点から、内閣府では現在、令和6年度の運用開始を目指す「次期総合防災情報システム」の構築を進めている。新システムは国の関係省庁だけでなく、地方自治体などでも利用可能となる予定で、発災時の自治体業務を支援するものとして期待されている。こうした「防災DX」の動きを、各自治体はどのように活用して住民の安全を守るべきなのか、内閣府の塚さん、植原さんに意見を聞いた。

 

Chapter03 - 進化するDXサービス、これからの情報入手法とは?  

自然災害の激甚化・頻発化に伴い、防災DXに向けた様々なサービスが登場している。しかし、情報提供ツールがあまりにも“乱立”すると、自治体職員や住民は、どのサービス情報を基準にすべきか、判断がつきにくくなるだろう。そうした中でデジタル庁では、自治体職員が適切なサービス情報を入手しやすいよう支援するとともに、「データ連携基盤」の設計・構築を推進中という。同庁の取り組みを、デジタル庁の高岡さんに聞いた。

 

Chapter04 - 災害対応を高度化する防災IoTの活用例とは? 

上空からの映像を消火・救命活動に活かすため、各地の消防本部がドローンを導入する動きが広がっている。ただ、各消防本部が入手した画像は、それぞれの本部が管理しているため、複数本部の情報の一元管理や共有は、現状では難しいのが実情だ。そうした中、平成30年からドローンの本格活用を開始している大和市消防本部では、複数台のドローンで撮影した情報をデジタルマップ上に同時投影・共有ができるシステムを導入。「防災IoT」活用による災害対応の高度化に向け、先ごろ内閣府と協働で実証実験を行った。

 

Chapter05 - 3D都市モデルは住民の防災意識をどう高める? 

国土交通省が進める3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU(以下「プラトー」)」。無償で使えるオープンデータなので様々な活用法が考えられるが、特に防災分野に応用すれば、平面のハザードマップでは表現できなかった“垂直方向”の情報も考慮に入れた、避難計画や減災対策を講じることが可能になる。自治体は今後、このデータをどのように活用すべきなのか、同プロジェクトのディレクターである内山さんの意見を聞いた。

 

Chapter06 - 地域や立場を越えたつながりで防災力を高める。 

「よんなな会」は、全国47都道府県の地方公務員と中央省庁で働く官僚がつながり、日本全体を有機的につなげることを目的としたコミュニティ。そこから派生する形で創設された「よんなな防災会」と、同会の分科会として活動する「よんなな防災会女子部」。このページでは、その創設理由や目的を伝えるとともに、活動内容や目指す姿などを紹介する。

 

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