愛知県半田市では、行方不明になった認知症高齢者を短時間で発見できる「SANフラワー見守りサービス」を導入している。
自治体が本サービスを取り入れるメリットとは? 市の担当者にインタビューした。
※下記はジチタイワークスVol.2(2018年6月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 加藤電機
市の担当者と地元企業が協働で開発したサービス
半田市では認知症カフェや行方不明高齢者情報メール配信などを実施し、認知症の方が安心して暮らせるまちづくりを進めています。そこへ、地元企業の加藤電機から「SANフラワー見守りサービス」を紹介されたのです。GPSの欠点をカバーし、高齢者や子どもの居場所がすぐにわかると聞き、開発に関わることになりました。
当時開催していた、市内のドクターやケアマネジャー、介護職員、警察署員、地域住民のみなさんで認知症高齢者の取り組みについて話し合う認知症対応検討会議に、加藤電機にも参加していただきました。そこで出た意見をもとに、「過去の経路地の履歴を確認できる」「複数の人が一緒に捜索できる」といった改良が加えられたと聞いています。サービス改善に関わって約1年かかりました。
実証実験を実施自治体のメリットとは?
毎月の通信料が無料、機器の初期費用・基本利用料がゼロは大きなメリットです。無料で市民の皆さんに貸し出せるため、今は約100人が利用しています。類似のGPSを使う機器だと月額の利用料がかかることもあり、10万人の都市で数人程度の利用人数だと聞きます。その点、半田市では多くの方々に普及しているため、万が一の時もスムーズに発見につながると考えています。実際に今年2月には行方不明になった高齢女性を短時間で発見できました。
半田市では「認知症になっても自分らしく暮らせるまち」を目指して、取り組みを続けています。本サービスをきっかけに市民のみなさんの、認知症への理解が深まればと考えています。(半田市福祉部高齢介護課高齢者福祉担当 吉川 真人さん)
捜索模擬訓練の様子
世界初!※誤差50cmで発見 SANフラワー見守りサービス
※加藤電機調べ
メリット
○高齢者や子どもなど行方不明者が発生したらレーダーで捜索
○誤差50㎝以内で居場所を確認できるのは世界初 ※加藤電機調べ
○ビルの中や地下にいる人も探せる
○1~2キロ圏内なら30分以内に見つかる確率100%※加藤電機 実証実験のデータより
○SANタグ(発信機)は1カ月に1度の充電でOK
○メール配信サービスを導入済の場合、連携可能
自治体での導入の仕組み
○市民にSANタグとSANレーダーをレンタル
○SANアンテナの設置に地元介護施設が積極的に協力
○地元介護施設ご利用者様にSANタグ(発信機)を紹介
○捜索しやすいよう、メール配信サービスに行方不明者が携帯しているSANタグ(発信機)のID番号を記載
アンテナ設置数全国812本!(2018年6月1日現在)
1本のアンテナで東京ドーム6個分のエリアをカバー。街の規模に合わせたアンテナ数が必要。半田市内には約100本のアンテナを設置。(1k㎡あたり約2本)