ジチタイワークス

長野県

“ChatGPT”技術を搭載した文字起こしツールで、業務効率化の可能性を探る。

“GPT”技術搭載のAI文字起こしツール

業務負荷軽減のため、令和3年にAI文字起こしツール「ログミーツ」を導入した長野県。同ツールで「ChatGPT」の機能が利用できるようになり、新たな業務改善の検討が進んでいるという。同県と開発企業の担当者に話を聞いた。

※OpenAI社によって開発されたAIチャットボット

※下記はジチタイワークスVol.27(2023年8月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社時空テクノロジーズ

約3万時間の業務を効率化するために40台を試験導入し実証実験を行う。

自治体職員の業務の中でも、時間的な負荷が大きいのが、定例議会や首長会見、庁内の会議などの議事録を作成するための文字起こし作業だ。同県でも、ICレコーダーで録音した音源を職員が手作業で文字起こししたり、専門のテープ起こし業者に依頼したりして、負担になっていたという。「手作業で行うと、実際の会議の4~5倍の時間がかかります。業者に依頼する場合でも、繁忙期は納期が1カ月以上先になるなど、不便を感じていました」とDX推進課の相田さんは当時を振り返る。令和3年に実施した庁内全体での業務量調査では、約8,000人の職員が、議事録作成に年間で合計約3万時間も費やしている実態が明らかになったそうだ。

同県は市町村が共同でDXを進めるためのワーキンググループを設置していた。グループの研究テーマの一つとして、AI文字起こしツールの比較検討を行っていたが、“約3万時間”という驚きの結果を受け、ツール導入に向けた検討は加速。その際に、「時空テクノロジーズ」が提供するログミーツを先行して活用中だった塩尻市から紹介を受け、実証実験を開始した。操作性や変換精度を試すために、40台の専用端末を庁内に配布し、活用を始めたという。

約4割の時短効果を実感し共同調達で本導入へ。

同ツールは、マイクが内蔵された専用のモバイル端末のボタンを押すだけで、録音と文字起こしが開始されるもの。文字起こしされたテキストは、ほぼ同時にWEBブラウザ上の専用編集画面にも表示。そのため、会議と同時進行でパソコンから文章の修正が可能で、議事録作成の時短につながる。モバイル端末にはSIMが内蔵されており、音声データは携帯電話回線でアップロードされるため、地域の公民館や外出先などLANやWi-Fi設備が整っていない場面でも使用が可能だ。また、無料のWindowsアプリ版も用意されているため、オンライン会議にも対応できる。

「文字起こしの精度を左右するのは、録音品質の良し悪しです」と話すのは、開発者である同社の橋本さん。「実証実験の開始時期には、どうすればうまく使ってもらえるか、職員の皆さんとコミュニケーションを取りながら一緒に試行錯誤しましたね。最適な集音環境を構築できるようにサポートを行いました」。そうしたマイクの配置や機能の使い方をはじめ、庁内での活用を円滑に進めるためのノウハウ提供も同社の強みだという。

「会議室の場所や広さ、人数などの条件を変えながら実験を行い、手作業での文字起こしと比較して、作業時間は約4割削減という結果になりました。精度はもちろん、費用やスペックにも納得できたことで、本導入を決めました」と相田さん。導入にあたっては契約手続きの集約化とコスト圧縮を図るため、県内全77市町村で構成する長野県市町村自治振興組合がまとめて調達し、導入を希望する各市町村に請求する共同調達の方式を採用した。

知事からの発信と同時期に「ログミーツGPT」が登場。

本導入から1年が経過し、庁内では議事録作成への活用が定着してきたという。「リピート利用も増えています。様々な検討会議が実施されている教育委員会での利用が最も多いですが、分野を問わず様々な部局で使われています」。さらに、文字起こし精度を高める工夫を自発的に試みる職員もいるという。北岡さんは「より効果的な使い方をほかの職員にアドバイスする動きも広がっています」。その様子を見て橋本さんも「私たちの出る幕がないくらいに、皆さん自身で試しながら、知見が蓄積されているようです」と、感心しきりの様子だ。

そんな中で令和5年4月、高度な生成AIとして注目を浴びているChatGPTの技術を搭載した、ログミーツGPTが新機能としてリリースされた。「当県では、知事がChatGPTに強く関心をもっていて、同時期に生成AIの活用についての検討指示が出されていました。私たちで、何か取り組めることはないかと相談していたタイミングで、橋本さんからリリースの連絡が入ったのです」。

ログミーツGPTとは、従来の専用編集画面に追加されたボタンをクリックすると、入力したテキストがAIにより要約されたり、要点が箇条書きで整理されたりする機能。様々な用途で活用でき、さらなる業務効率化の可能性を秘めているという。また、一般的に懸念されているような、入力データの二次利用や学習利用はされない設計なので、安心して使えるそうだ。

同サービスのことを知事に報告したところ、5月12日の知事会見で利用開始を宣言。15日から、約2カ月間の試験導入をすることになった。「あまりにスピーディなお返事だったので少し驚きましたが、先陣を斬って試してもらえるのならぜひと、準備を整えました」と橋本さん。

講習会を通じて、触って試せる環境を整える。

総務省は5月に「約款型外部サービスによる生成AIの業務利用」について、原則として要機密情報を取り扱わないこと、利用可能な業務の範囲をあらかじめ特定することなどを、全国の自治体に通知した。「活用の際は注意を、ということだったので、当初はセキュアな環境で何か試せないものかと考えあぐねていました。そんなとき、トライアルとして当面は無料で利用できるということだったので、すぐに全庁に周知することにしました」と相田さん。

「ただ、生成AIの活用について、これから理解していく段階だったので、私たちが中心になってルールを設けることにしました」と居鶴さん。その動きの中で、同社主催の職員向けオンライン講習会を実施。単なる機能説明会ではなく、GPT機能を使った実践型の講習を行い、まずは広く“触れる・試せる”環境づくりを目指した。講習会には、県庁職員ほか一部市町村の担当者など、計100人以上が参加した。また、当日参加できなかった職員のために、録画も行ったそうだ。

生成AIの本質を理解してさらなる業務効率化へ。

庁内でのログミーツの浸透に加え、GPT機能を使えるようになったことで、端末貸出回数は急増。それに対応するため、導入端末数を60台まで増やしたという。現在は、どのような業務で利用できるのか試行する期間として、定めたルールにのっとった活用法を模索中だ。主には議事録作成の要約や要点の整理として活用。さらに、総会や式典でのあいさつ文案をAIに作成してもらうという、GPT機能単独での活用も進みはじめている。「各部署の上長が、あいさつ文案作成や議事録の要約などで生成AIに接するのは、組織的な活用を拡大する上で意義のあることだと考えています」。次の展開としては、定型文書案の作成やExcel関数の作成などを想定しているそうだ。

「GPT機能の活用を通じてさらなる業務効率化を実現するためには、まずリスクと仕組みを理解した上で、自分で使ってみることが重要だと思います。人の話を聞くだけでは自転車に乗れないのと同じですね」と相田さん。「そのためには、さらに触りやすい環境を広げていかねばなりません」と北岡さんも強調する。橋本さんも「様々な場面で使ってもらい、“どこが難しい・使いづらい”という意見をフィードバックしてもらうことで、当社が学ぶべきことも出てくると思います。今後の展開が非常に楽しみです」と、活用拡大に期待を寄せている。

長野県の共同調達による導入経緯はVol.20でも紹介しています

 

長野県
企画振興部 DX推進課
左:担当係長 相田 貞晃(あいだ さだあき)さん
中:主査 北岡 朋也(きたおか ともや)さん
右:主査 居鶴 吾郎(いづる ごろう)さん

 

時空テクノロジーズ
代表取締役CEO 兼 開発責任者
橋本 善久(はしもと よしひさ)さん

業務効率化をさらに後押しするログミーツGPTの使い方

会議や議会、打ち合わせなどの文字起こしはもちろんのこと、ワンクリックで文章要約なども可能になった。さらに、生成AI の機能だけを利用することもできるので、工夫次第で様々な活用法が生まれる。

議事録要約のビフォーアフター

ログミーツに統合されたGPT技術。文字起こしした文章がクリック1つで要約できるようになることで、大幅な業務効率化につながる。実際にどのように要約されるのか、ビフォーアフター形式で紹介する。

 

サービス担当者が答える!自治体からの“よくある質問”

コスト面やセキュリティ面、自治体における導入実績など、ログミーツ導入を検討中の自治体にとっては、気になる点も少なくないだろう。そこで、自治体から寄せられることの多い質問をピックアップし、担当者に回答してもらった。

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TEL:03-5488-6067
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