宮崎県綾町は株式会社電通国際情報サービスと共同で、平成28(2016)年10月からブロックチェーン技術を使った有機野菜の生産履歴を管理するシステムの実証実験に取り組んでいます。
綾町で育てられた有機野菜をブロックチェーン上で管理し、より安全性の高い商品を消費者に届けるプロジェクトです。
※下記はジチタイワークスジチタイワークスVol.3(2018年10月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供] 宮崎県綾町
農業×最新技術で商品の質の高さを全国に発信
綾町は宮崎県宮崎市の北西に位置し、まちの80%が森林です。「日本で最も美しい村」連合の加盟自治体のひとつで、日本で有機農法を早くから取り入れていることで有名です。まちの有機農産品は、消費者の食の安全を守るために独自に金・銀・銅のランク付けをし、販売します。そこでさらに綾町の有機農産品の品質の高さを全国に向けて発信するために今回のプロジェクトに参加しました。
生産者は種を植えてから収穫までの間に野菜の成長過程の写真を撮り、10枚から20枚程度をブロックチェーン上に載せます。パソコンの入力は主に40代の若い生産者が担当し、更新しました。
野菜にはNFCタグ付きのQRコードが付与されているので、消費者はそこにスマートフォンをかざすと、その野菜がどのような土壌で育ち、どういった人の手によって作られ、ここまでたどり着いたのか確認することができるという仕組みです。
生産履歴の見える化で、東京のイベントでも即完売!
QRコードから生産者の情報が読み取れる。
平成29(2017)年3月25日、東京のアークヒルズで開催された「ヒルズマルシェ」に出展したところ、にんじん、レタス、大根、小松菜など計8品目、各30個用意していた商品が終了時間を待たずにわずか2~3時間で完売したのです。
生産者からは「スマートフォンで商品のPRができるのは画期的だ」といった声が寄せられました。
一方で担当者は「実際にブロックチェーンを綾町独自に導入するのはイニシャルコストが掛かりすぎるため、難しい。電通という大企業と提携して事業ができるのはやはり大きな強みである。今後は自分たちだけで綾町の有機野菜を全国へ発信していく工夫を考えなければいけない」と話されていました。