コロナ禍において、毎年恒例のマラソン大会をオンライン上で実施した滋賀県。県産品のPRを兼ねて近江米などの参加賞を用意したところ、県外からの参加が増え、予想外の収穫があったという。新たな取り組みの工夫や成果について聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.22(2022年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]くりや株式会社
オンライン大会だからこそ県の魅力発信につなげたい!
琵琶湖岸を舞台に、平成22年から毎年2月頃に開催してきた「びわ湖レイクサイドマラソン」。ランナー自身のレベルに応じて、ハーフマラソンと12kmの2つのコースを選べる市民マラソン大会である。これまで県内のアマチュアランナーを中心に、例年2,000~2,500人が参加してきたという。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念された令和2年、第11回大会は初めて開催中止の判断が下された。その後も東京五輪が翌年に開催延期されるなどコロナ禍の影響が続いたため、一時は翌年も開催が危ぶまれた。
2年連続での中止だけは何とか避けたいと主催者側が考えていたところ、同様の悩みを抱えているほかの地域の一部で、マラソン大会を“オンラインで開催”しているという話を耳にした。そこで令和3年、同大会では初の試みとして、オンラインでの開催を決定したのだという。
オンラインマラソンとは、スマートフォンのランニングアプリを利用したバーチャル大会だ。コースは各自で自由に設定でき、指定された期間内に、アプリを起動した状態で所定の距離を走る。すると、大会コースを完走したことになる、という仕組みだ。なお、オンライン開催は、1日で完結する実地開催と異なり、大会期間は約2週間設定された。その期間内に走り切ればいいため、コースの距離は全員一律でハーフマラソンの21.0975kmを採用。
「従来は参加賞として、Tシャツやタオルなどを用意していました。ですが、オンライン開催だと県外からの参加も見込めます。それならば、せっかくの機会なので、県外の方にも喜んでいただけて、県産品のPRにつながる参加賞を用意しようと考えました」と平山さん。
選ぶ際に重視したのが、価格と安全面だという。「高級食材なら、参加賞としてのインパクトは確かに強いでしょう。しかし参加費は高くなります。また、全国に発送するため、生ものは衛生面が心配だったので、対象から除外しました。色々と考えて候補に挙がったのが、近江米と地酒だったんです」。
日本最大の面積と貯水量を誇る琵琶湖。周辺から流れ込む大量の水や豊かな土壌に恵まれ、稲作を中心に農業が発展してきた同県は、“近畿の米蔵”とも呼ばれる米どころ。「みずかがみ」は炊き上がり艶やかで、ほどよい粘りとまろやかな甘みをもつ、近年話題の品種だ。日本穀物検定協会“特Aランク”を獲得しているみずかがみは、同県を代表する名産品。この近江米を包装し、参加者に配送までしてもらえる事業者を探す中で出合ったのが、香川県さぬき市にある米穀問屋の「くりや」だった。
琵琶湖畔を爽快に走るランナーたち。毎年2,000~2,500人のアマチュアランナーの申し込みがあるという。
安全かつ低コストで送れ、包装自体が広告スペースに。
同社は、“おコメに気持ちをコメて贈る”をキャッチコピーに、新しい“コメニケーション”ツールとして「オコメール」を製造・販売している。同商品は、1合分または2合分の米を、1~1.7cmの厚さに真空パックしたもの。いわば“シート状の米”で、専用のケースや封筒に入れて郵送することができる。パッケージデザインは、あらかじめ200種類以上用意されたテンプレートの中から選べるほか、オリジナルでデザインを起こすことも相談可能。
江戸末期に回船問屋として創業以来、長年米穀の卸売りを続けてきた同社が、ノベルティとしての活用で米の新たな存在価値を提案してきた商品だ。
参加賞に同商品を選んだ大きな理由は、コストを抑えられる点だという。「よくあるキューブ型のパッケージだと宅配便でしか送れないため、送料が高めになることがネックでした。その点オコメールは、そのネーミングからも分かるようにメール便で送れるため、費用をぐっと下げられます。米を参加賞とするコースは参加費を1,000円で考えていたので、この点は大きかったですね」と振り返る。
また、安全面に関しても、「オンライン開催なので、必然的に配送となります。個包装にして個人宅まで直接配送してもらえると、人の接触回数が減りますから、今の時代には特にありがたい。大会のスポンサー関連のチラシやパンフレットの封入、さらには発送まで一括して頼めるため、トータルコストの面でも魅力的でした」と平山さんは語る。
さらに、もう1つ大きかったのが、パッケージにスポンサーの名前やロゴを印刷できる点だという。大会の運営は、スポンサーの協力があって成り立っている。実地開催であれば、参加者のゼッケンや沿道の横断幕、スタート・ゴール地点のゲート装飾やフィニッシュテープなど、メディア露出を想定した“目に留まりやすい”仕様で社名や店名を入れられたが、オンラインマラソンになると会場装飾は一切できない。
「大会のホームページなど、広告を掲出できるところが非常に限られてしまいます。ですのでオコメールのように、参加賞を受け取った人が手でつかむパッケージそのものに、広告を自由にデザインできるのは大きなメリットでした」。
オンライン大会への悩みに滋賀県が実践した対策とは?
お悩み01:現地での県産品PRができない
県産品PRを目的に、従来はゴール付近で近江米のおにぎりをふるまっていたが、オンラインだと不可能に。
同商品を参加賞として届けることで、個包装という安全な形で県産品をPRできる。
お悩み02:賞品を手渡しできず配送費が必要
Tシャツやタオルなどの参加賞を当日手渡しで配っていたが、オンラインだと配送となり、コストがかかる。
料金一律のメール便で送れるためコストが抑えられ、参加費への影響が少ない。
お悩み03:会場でのスポンサー広告ができない
現地開催時は会場装飾などでスポンサー名を掲示できていたが、オンラインだと会場での宣伝ができない。
パッケージにスポンサー名やロゴを印刷可能。送る際、企業のチラシやパンフレットも同梱できる。
全国各地の参加者が増加し、絶好の県産品PRの機会に。
手探りで開催したオンラインマラソンではあったが、予想外の成果があったという。従来の参加者比率は、6~7割が県内、残りが県外からの参加だった。ところがオンラインになると、県外からの申し込みが激増。“県内2割・県外8割”と、圧倒的に県外からの参加者が多くなったそうだ。「全国47都道府県から申し込みがあったことには驚きました。結果的に参加者の層が広がり、県産品を多くの人々にPRすることにもつながったと感じています」。
参加賞は、オンライン開催初年度の令和3年に近江米と地酒の2種類を準備。翌年度には、20歳未満や酒が飲めない参加者への配慮から、近江茶も加わり3種類となった。「参加費は米コースが1,000円、酒や茶コースは3,000円と、金額に開きがあったことは確かです。それを差し引いたとしても、米が圧倒的な一番人気。滋賀の米のおいしさを知っていただく良い機会になったのでは」と手応えを語る。
なお、オンラインマラソン2年目の申し込みの際、参加した動機についてアンケートを取ったところ、トップの“練習・モチベーションの維持”に続き、“参加賞が魅力的だったため”という項目が挙がった。“お米が食べたいから”と、参加賞を目当てに参加した人が約8.6%いたそうだ。
衛生面のベンチマークとして個包装の有用性を確認。
まだまだ収束が見通せないコロナ禍では、イベント運営のあり方も見直しが求められている。「コロナ禍を経験したことで、大会運営の環境が大きくわったことを実感しました。マラソン大会は近い将来、再び会場での開催に戻るでしょう。しかし、過去に何ら不都合のなかったやり方でも、今後は開催者、参加者の双方にとってそれがベストな方法といえるかどうかは分かりません。オコメールの利用を通じて、参加者はもちろん運営関係者も含め、大会の安全・安心な運営に関して、新たな考え方ややり方に気づくことができました」。
びわ湖レイクサイドマラソンとしての開催は今年が最後。来年からは残念ながら県内での開催が終了した「びわ湖毎日マラソン」の伝統を受け継ぎ、新たな市民マラソン「びわ湖マラソン」へとその名を変える。現在、その新大会の開催を準備している同県。「大会規模が大きくなる来年からは、全国からの注目度はぐっと高まるはずです。全国各地のランナーの皆さまに参加いただき、実走の大会の中でも今回の経験を活かしながら、県の魅力を安心安全にPRしていきたいですね」と意気込んでいる。
滋賀県 文化スポーツ部 スポーツ課
平山 翔太(ひらやま しょうた)さん
リピート活用自治体 担当者の声
福岡県 上毛町 産業振興課 農政係長
石田 豊後(いしだ ぶんご)さん
言葉では伝えきれない“おいしさ”が伝わる。
福岡県の最東端に位置する上毛町(こうげまち)は、風光明媚な棚田が広がり、良質な米が生産されている。「当町のお米は、一度食べれば誰もがうなずくおいしさです。ただ、一度慣れ親しんだ“家庭の味”の銘柄を変えることは、かなり高いハードルです」。確かに米の銘柄を頻繁に変えている、という家庭の話を耳にすることはあまりなく、違う銘柄の米は“敷居をまたぐこと”自体がまれなのかもしれない。
「おいしさを広めるためにはどうすればいいかを模索する中、こちらの商品と出合いました。郵送でポストへ届けることもできますし、手渡しもできます。後日“おいしかった”というお礼の連絡が届くと、ちゃんと食べてもらえたことが分かります」。同商品によって、しっかりとおいしさを伝えられていることを実感しているという。
様々なシーンで喜ばれるオコメール活用法
厚さはわずか1~1.7cm。手渡しできる上、配送もできるので、活用のシーンは幅広い。また、イラストやメッセージなどを書き込んだり、自治体名やスポンサー名を入れたりも可能。“おコメでできたノベルティ”という意外性から、高い開封率が期待できる。
サプライズ名刺として
インパクトが強く、覚えられやすい。
出生届提出の記念に
窓口を訪れた方へのねぎらいに。
観光イベントのお土産に
記憶に印象付ける後押しに。
こんなシーンでも
入籍届・婚姻届提出の記念に/防災イベントの参加賞として/米寿や卒寿をはじめとした長寿祝いに/地域ブランディングのツールとして/観光ツアーや文化イベント、コンサートのお土産として/ふるさと納税の返礼品として
200種以上の豊富なデザイン
モダンなデザイン性の高いタイプ、油性ペンでひと言書き入れられるタイプ、外国人に日本らしさを分かりやすくPRできる和風図柄タイプ、全国の各県代表銘柄の47都道府県タイプなど、デザインのひな形は豊富に用意されている。
発注から配送までの流れ
さらに要望に応じて選べる多彩な配送オプション
告知資料などを同梱
広報冊子やまちのイベント告知チラシ、施設の割引クーポンなどを同梱可能。
ゆうメールで個別発送
ポストに入るコンパクトサイズなので、全国一律料金で配送可能。
先着で無料サンプルを提供します!
ごあいさつからおもてなしまで、色々な場面で活用できるオコメールのサンプルを、先着300自治体に無料で提供します。使い勝手の良さと受け取ったときのうれしさを、手に取ってぜひ実感してください。
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