ジチタイワークス

山形県山形市

バスのリニューアルで利用者を拡大

山形県山形市の企画調整課は、平成29(2017)年7月に、市のコミュニティバス「ベニちゃんバス」をリニューアル。

利用者を増やすことに成功しただけでなく、あらゆる課題の解決につながっています。

※下記はジチタイワークス Vol.5(2019年4月発刊)から抜粋し、記事は取材時のものです。

3者の課題をクリアにしたのが「ベニちゃんバス」

山形市内にはもともと、市の中心部をまわる商工会議所の「100円循環バス」、平日のみ西側を走る市役所のコミュニティバス「ベニちゃんバス西くるりん」がありました。しかし、市民からは「東側もバスを走らせてほしい」「土日も利用したい」という声が常々あがっていたのです。さらに、両者は運行を民間の交通会社・山交バスに委託していましたが、山交バスは慢性的な運転士不足に頭を悩ませていました。

そこで、利用者が伸び悩んでいた商工会議所の循環バスを廃止し、「ベニちゃんバス西くるりん」に加え、「ベニちゃんバス東くるりん」を新たに設け、西・東・中心市街地をすべてまわるようにリニューアル。結果、3者の課題をクリアすることに成功したのです。

リニューアルを支えたPR大作戦とは!?

「ベニちゃんバス」のリニューアルを広く知ってもらうため、職員たちは沿線の施設を一つひとつ尋ね、パンフレットや案内用のポップを設置しました。さらに、毎年こどもの日に開催している「はたらく車大集合」にベニちゃんバスを出展。子どもを運転席に乗せて撮影会ができるブースを用意し、子育て世代にアピールしました。

また、運行開始記念日には「ベニちゃんを探せ」というイベントも実施。山形市のゆるキャラ・はながたベニちゃんが予告なしにバスに現れ、見事遭遇したお客さんにはベニちゃんバスの缶バッジをプレゼントするというもので、子どもたちから好評を博しました。

こういった地道な活動が奏功し、「西くるりん」のみの頃は年間5万3000人の利用者(商工会議所の100循環バスは30万人)でしたが、リニューアル後は年間で45万人に利用者が増大。今後は、土日の利用者数を伸ばすために一日乗車券を導入して街中を巡ってもらえるような企画を検討しています。

成功に導くために必要な4つの“ワーク”

1.チームワーク

職員にはそれぞれ得意不得意があります。交渉上手な人、事務処理が早い人……など、それぞれの適正を見極めて役割分担を明確にすることがチームでプロジェクトを遂行するためには欠かせません。

2.ハートワーク

高齢者の方が多いため、突然の変更に戸惑う方もしばしば。そのため、導入後、最初の2週間は出発地点の山形駅前に職員が立ち、丁寧に案内・誘導することを徹底しました。

3.ネットワーク

今回は、山交バス、商工会議所とのタッグはもちろん、市役所内の課を超えた連携もありました。例えば環境課との連携で、「COOL CHOICE」のマークをバス車体やパンフレットに入れて国から補助金を受けています。

4.フットワーク

電話でやりとりをするのではなく、実際に現場に足を運ぶことで関係者の信頼を得られます。

「ベニちゃんバス」が市民を救う

組織のチームワークと利用するお客様を想う気持ちが、成功を呼び寄せた事例をご紹介しました。

浮上した課題に真摯に向き合う姿勢は参考にしたいですね。

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