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【セミナーレポート】導入自治体の実績から学ぶ!AI・RPAが自治体DXにおすすめな理由

自治体業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が全国的に進んでいますが、多様なDX手法の中で、具体的にどのやり方を導入すれば良いのか迷っている自治体も少なくはないようです。そんな中でお勧めしたいのが、AIおよびRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。

国が本格的に支援体制を整えているため取り入れやすく、「作業効率化」、「業務の可視化」に向けたひとつの手法として、DX化を進めている自治体に積極的に導入されている傾向があります。

そこで今回のセミナーでは、行政向けのDXソリューションを提供するNTTビジネスソリューションズと、実際に導入して業務効率化を実現している岐阜県関市の行政情報課・亀山さんに、課題解決の方法について説明してもらいました。

概要

◼タイトル:導入自治体の実績から学ぶ!AI・RPAが自治体DXにおすすめな理由
◼実施日:2022年6月17日(金)
◼参加対象:自治体職員
◼申込者数:155名
◼プログラム
Program1
自治体DXにおけるAI・RPA推進の取り組み
Program2・トークセッション
関市でのAI-OCR・RPAの導入効果と今後の展望


自治体DXにおけるAI・RPA推進の取り組み

<講師>

NTTビジネスソリューションズ バリューデザイン部
コアソリューション部門 マネージドIT担当
フィールドサービスG 扇本 一輝 氏

プロフィール

様々な自治体に対し、AI-OCRやRPAをはじめとするDXツールの導入支援を行い、業務効率化に貢献。営業だけでなく構築・運用保守のプロジェクトリーダーを経験し、現在は行政向けDXソリューションの企画・開発を担当している。


行政が進める自治体DXの中でも、AI・RPAの利用推進は現業務の体制や運用を大きく変えることなく、短期間で定量的な導入効果が出やすいというメリットがある。そのため、“取り組みやすいDX”として全国各地の自治体で導入が進んでおり、今後も導入拡大が予想されている。そんな中で、小規模な自治体でも簡単に導入可能なNTTビジネスソリューションズのスマート自治体プラットホームの概要と、AI・RPA利用推進に向けた取り組みについて、同社の扇本さんが紹介する。

 

「自治体DX推進計画」と「AI・RPAの利用推進」について

2020年12月、"デジタル・ガバメント実行計画"と"自治体DX推進計画"が策定され、デジタル庁設置に伴い「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」というビジョンの実現に向けた政府方針が示されました。2021年6月時点で、535自治体がAI・RPAを導入しており、国も"AI・RPA導入ガイドブック"にのっとった導入・活用推進や、AI・RPA技術を活用した新業務プロセス構築(実証事業)、デジタル人材任用推進などの支援体制を整えています。国の支援が本格化していること、短期間で定量的な効果が出やすいこと、現体制や運用を大きく変えずに導入可能なAI・RPAは、今後も導入実績が伸びていくでしょう。

以下の2点は、総務省が報告している地方自治体のAIとRPAの導入状況です。AIに関しては令和2年度時点で、都道府県および指定都市では8割以上に増加した一方で、その他の市区町村では2割程度にとどまっています。

一方のRPAについても、都道府県では7割程度、指定都市でも65%に増加しているのに対し、市区町村の場合は2割程度に止まっているのが現状です。ただし、AI・RPAともに、“検討中”を含めると6割の自治体が導入に向けて取り組んでいることが分かります。
 


 

ひと言で"AI"と言っても、さまざまなサービスやソリューションがあります。

例えば"情報提供"ではチャットボット、"業務ツール"では音声認識型のAI議事録や文字認識型のAI-OCRなどがあります。また、保育所入所のマッチング、最適解表示や数値予測など、多岐にわたるサービスが登場しています。それらの中でも特に、"文字認識型AI-OCR"の導入件数が急速に伸びています。

当社でも、以前はAI議事録やチャットボットの提供が大半を占めていましたが、現在はAI-OCRの提供件数が逆転しました。その要因として、RPAとの親和性が高く、バックオフィス系の業務の作業効率化に向け、RPAとセットで導入している自治体が多いこと、AIの進歩により急速にOCRの読み取り精度が向上したことなどが挙げられます。

以下の図は、当社が提供するAI-OCRサービスの読み取り実例です。漢字、平仮名、カタカナが混在している書類も正確に読み取り、誤認識されやすかったけい線も、当社が提供するソリューションであればけい線を認識し、除去します。
 

 

AI-OCR・RPAの導入事例

従来、職員が大量の紙帳票を目視しながら、システムに手入力している業務が、AI-OCRでは紙帳票をデータ化、そのデータをRPAが自動でシステム投入していくことで 、各種システムへの登録や処理の自動化が実現できます。
ある自治体(幼児課)での、教育・保育給付認定業務に関する導入事例がこちらです。
 


 

こちらの事例は、特別定額給付金の申請業務です。
 


 

このようにAI-OCR・RPAは運用を大きく変えずに、短期間で定量的な効果も出やすいということがお分かりいただけると思います。

 

「スマート自治体プラットフォーム」のご紹介

自治体のAI-OCRとRPA導入にあたっては、(1)コスト、(2)スキル、(3)管理統制という、3つの課題が考えられます。当社の「スマート自治体プラットフォーム」は、以下の3つのポイントによって、それらの課題を解決することができます。

<ポイント① AI-OCR・RPA共同利用サービス>

LGWAN-ASPサービスとして共同利用型で提供し、RPA・AI-OCRとも、特定の端末や職員を固定せずに利用することが可能です。また、お客さま側ではサーバー等の環境構築が一切不要(LGWAN 上に構築済み)です。この「スマート自治体プラットフォーム」で提供する、NaNaTsu AI-OCRとWinActorについての詳細は、下記の図でご確認ください。
 


 

WinActorのライセンス形態は、"ノードロックライセンス"と"フローティングライセンス"の2種類があります。フローティングライセンスの方が、より柔軟にRPAを導入拡大できますが、従来型は管理ライセンスや管理サーバーを別途準備する必要があり、導入のハードルが高くなる課題がありました。しかし「スマート自治体プラットフォーム」では、LG-WAN上のデータセンターに管理サーバーを構築しているため、簡易に導入でき、費用対効果を実感できる提供方法を実現しています。
 

<ポイント②自治体コミュニティサイト(コンテンツ共有)>

AI-OCR/RPAを利活用するための、自治体コミュニティサイトを提供しています。サイト上では、他の自治体で利用実績のある業務について、RPAの自動化シナリオやAI-OCRの帳票設定ファイル等のコンテンツをダウンロード可能で、自身の業務適用に活用できます。下記は、自治体コミュニティサイトに掲載されているコンテンツの対象業務例です。コンテンツは随時アップロード予定です。
 


 

<ポイント③管理統制サービス>

IT部門が簡単にRPAの利用状況を把握できる仕組みを提供し、誰がつくったか分からない、いわゆる"野良ロボット"の発生を防止します。管理統制サービスで実現できることの課題と解決例は下記を参照してください。
 


 

最後に、ご紹介させていただいた「スマート自治体プラットフォーム」については、2カ月間の無料トライアルを実施しております。お気軽にお問い合わせください。
 

関市でのAI-OCR・RPAの導入効果と今後の展望

<講師>

関市 財務部 行政情報課
デジタル推進室 亀山 将紀 氏

庁内業務DX化の一環として、2019年度末にAI-OCRとRPA導入の実証実験に取り組み、翌年度から本格導入した関市。同市における庁内での体制づくりや工夫点、実際に導入した業務の内容と導入効果について、亀山さんが説明する。また、本年度から新たに「スマート自治体プラットフォーム」を導入しており、その目的や背景、製品選定のポイント、今後の展望などについても語ってもらう。

 

AI-OCRおよびRPAの導入背景と実証実験の取り組み

本市は令和1年度、ICTを効果的に活用した市民サービスの向上と業務の簡素化・効率化を目指し、ICT推進本部を発足してアクションプラン制定と、可能性を探るためのアイデアだしを行いました。

市民サービスの向上については、手数料のキャッシュレス化などを採用しましたが、業務の簡素化・効率化については、残業時間を削減できるよう技術導入を目指しました。定期的に発生する業務、作業量が膨大な業務、手入力の比率が高い業務などにICTを導入すべき…という観点から、AI-OCRとRPAの導入が決まりました。

それらの導入が有望であることを検証するため、令和2年1月、プロポーザルを経て実証実験を実施。実証実験を行うにあたりICT推進協議会のメンバーで、"手書き様式で量が多い"、"単純な入力作業"などの対象業務を選定しました。上記の条件から、高齢福祉課の介護保険料還付口座入力業務を選択。

・AI-OCRによる手書き文字の読み取り精度
・RPAのシナリオ作成
・事務効率化の効果測定(作業時間短縮)

などを検証した結果、ある程度の効果が確認できたので、本格導入することになりました。

 

本格導入に向けた庁内体制づくりと、苦労点や工夫点

本格導入に向けた庁内体制づくりとして、まず、対象業務の洗い出しを行いました。各部署をまわって「単調で量が多い入力業務ってありますか」と聞いてまわり、いくつかの案件を発掘しました。

次に、シナリオが作成できる人材の育成です。AI-OCRは導入も活用も比較的容易ですが、問題はRPAです。“ノーコード”とは言え、プログラミングの基礎知識は最低限必要なので、人材育成のため研修を行いました。初回8名、2回目は6名の職員を選抜し、以降、"研修"という形ではなく、やりたい業務がある担当者にその業務シナリオをつくってもらいながら、サポートする形で育成しました。

前述の通り、"単調で量が多い入力業務"を各部署で聞いてまわりましたが、ICT導入で仕事がラクになるかも…と導入を打診すると、"機械は信用できない"など、想定外の反論を少なからず受けました。導入以前に、原課の理解を得ることに苦労したというのが実際のところです。

RPAを導入すべき対象業務が限定的であった点も、苦労したことの1つです。AI-OCRが絡む場合は導入後の作業量との兼ね合いもあり、業務量が特に多いこと、定期的な単純作業であることなど、いくつかの条件を定義していましたが、それを満たす業務が意外に少なかったのです。そこで、"定期的"という条件を外し、季節業務やスタートアップにも積極的に採用することにしました。ただ、スタートアップの場合、初期データ導入は当然1回しかありませんので、作成したシナリオは使い捨てになってしまいますし、また新たな業務を発掘しなければなりません。

シナリオ作成のための人材育成研修を行った結果、プログラミングの素養が0の職員に研修を受けてもらっても、技術習得は難しいということも分かりました。そこで、実務に近い事例を使った研修や、使いたいシナリオを担当者につくらせながらサポートするという"実地研修"を取り入れました。

 

導入効果のご紹介と導入拡大に向けた課題など


 

上の表は、昨年度の導入後実績です。上半分はAI-OCRとRPAの複合事例で、下半分はAI-OCRのみの案件です。上と下で削減率に結構な差があることがお分かりだと思いますが、RPAがうまくハマれば手作業を激減させることが可能となり、業務効率を劇的に挙げられました。

OCRは、アンケートなど厳密性を求められないものに関しては、大きな効果を発揮します。一方で、人のチェックが入ると、途端に効率が落ちます。これは、項目を1個1個確認していく必要があるためです。特に、厳密性を求められるような作業の場合は、途端に効率が落ちます。昨年度の最終的な削減時間としては、計566時間。一般職員が残業したと考えると、それなりの成果となっていますが、費用対効果を考えると、もうちょっと伸ばしていきたいと考えています。

AI-OCR・RPAについて、今後最も期待するポイントとしては、近隣で利用する自治体が増えることです。本市が所在する岐阜県では多くの自治体が、岐阜県市町村行政情報センターの提供する基幹システムを利用しています。つまり、AI-OCRやRPAを利用する自治体が増えて交流ができれば、業務発掘のヒントがもらえたり、作成したシナリオを融通し合えたりのメリットが生まれます。

関市では、これまでにも近隣市と意見交換を行ったり、シナリオを融通し合ったりしています。多少の手直しは必要でしたが、基幹システムが同じであるため適用できました。ほかにも、シナリオを作成する上でのヒントやテクニックについての知見を得ることもできました。今後、システム標準化や共通化が進んでいけば、同じことが他県の自治体とでも容易に実践ができるはずです。RPAを普及させる意味で、直接的なユーザー同士のつながりだけではなく、スマート自治体プラットフォームにおけるシナリオ共有等のコンテンツの利便性や重要性が、ますます上がっていくのではないかと考えています。

 

[参加者とのQ&A]※一部抜粋

Q:「スマート自治体プラットフォーム」のRPAライセンスは共同利用可能ということですが、自治体内の原課間だけではなく、他自治体との共同利用も可能でしょうか。

A:(扇本)共同調達等による他自治体との共同利用は可能です。ただ、どのように共同利用形態を運用するかが課題になります。例えばA自治体、B自治体で利用するタイミングの予約等、運用設計ができれば十分に提供可能だと考えています。
 

Q:RPA導入を検討する上で、どの業務に適用するか選別するのが難しいということでしたが、どのようなステップが大切と思われますか。

A:(亀山)1番重要なことは、相手の"理解"です。こちらはRPAやAI-OCRがどのような技術かということは理解していますが、それを他課の業務の「ここに適用できるのでは」と提案するには、提案相手の原課の業務というものを知る必要があります。まず、税務であったり健康保険であったり、業務の課題がありそうなところと対話することが重要であると考えています。

 

お問い合わせ

ジチタイワークス セミナー運営事務局

TEL:092-716-1480
E-mail:seminar@jichitai.works

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