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新人公務員が押さえておきたいビジネスメールの書き方とは?

「現場に配属されたが、研修で学んだこととは勝手が違う…」「実務と並行しているので、なかなかゆっくりは先輩に聞けない…」

本企画では、元自治体職員で、現在はオフィス業務効率化コンサルタントとしても活躍している長野ゆかさんに、「新採1年目が学ぶこと」について執筆いただいた。

第2回目は、新人公務員が知っておきたいビジネスメールの基本について。
「ビジネスメールを学んだことがない人でも、7つの型を知っておくとビジネスマナーを踏まえたメールは書けます。」と長野さん。具体的な方法から考え方までを解説する。

現在、98.9%を超えるビジネスパーソンが利用しているビジネスメール(※)。もちろん公務員も例外ではありません。
また公務員はいわゆるBtoBメールだけでなく、住民からの問い合わせに関してはBtoCメールのスキルも必要になり、書き方を変えることが必要です。しかも、両方のメールが書ける力がなければ、書き分けはできないため、高いスキルが求められる職種と言えるでしょう。

一方で名刺交換や電話応対などのビジネスマナー研修はあっても、ピジネスメール研修を実施している企業は1割程度(9.48%)であること(※)。しかもその多くは民間企業です。そのため、メールに慣れていて使いこなしているように見える先輩上司も、学んだことがないため、自信がなく具体的な書き方の指導はできない方が圧倒的に多く、正解が分からないスキルという位置づけになっています。

(※一般社団法人日本ビジネスメール協会 ビジネスメール実態調査2021より)

そこで今回はビジネスメールを学んだことがない方に向け、BtoB、BtoC双方に必須である基本の書き方をご紹介。
これを読んで実践すればこれまでメールを使いこなしていると思っていた人も、メールを1通も書いたことがない人でも、一般的なビジネスマナーを踏まえたメールを書けるノウハウとして、7つの型についてご紹介いたします。

ポイント1
7つの型を知っていれば、最低限のビジネスメールとして整う

ビジネスメールには、
(1)宛名、(2)あいさつ、(3)名乗り、(4)要旨、(5)詳細、(6)締めのあいさつ、(7)署名という7つの型があります。

――――――
(1)宛名
〇〇様

(2)あいさつ
お世話になっております。

(3)名乗り
〇〇市の〇〇です。

(4)要旨
〇〇の件でお伝えしたいことがありメールいたしました。

(5)詳細
詳細は・・・・・です。
不明点がありましたら、ご質問ください

(6) 締めのあいさつ
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(7)署名
署名(署名省略)
――――――

短い内容でも、長く複雑な内容でも、7つの要素をこの順番で盛り込めば、相手の業種や役職、年齢問わず、一般的なビジネスマナーの形に沿ったメールが書けます。一見複雑そうですが「電話を相手にかけたとき、電話口で伝えることと同じ順番・同じ内容である」とお考えください。

配慮のないメール、何が言いたいか分からないメール。不快感を与えないメールを書くことは、相手の感覚にもよるためとても難しいですが、まずは「最初と最後にあいさつをいれる」ことで、ぶしつけな印象はかなり和らぎます。

また要旨で相手に何をしてほしいか、このメールの要点は何かを書いておけば「何が言いたいか分からない」といわれることも減るでしょう。最低限のトラブルを避けるためにまずはこの7つの型に沿ってメールを書くようにしましょう。
 

ポイント2
7つの型を知っていると時短になる

7つの型は、相手によって毎回変化しますが、この要素と順番は固定です。書く内容を一例としてみてみましょう。

――――――
(1)宛名
送付先・相手の名前 

(2)あいさつ
「お世話になっております」「いつも大変お世話になっております。」「はじめまして」「お忙しいところ、立て続けのご連絡失礼いたします」 

(3)名乗り
「〇〇市の△△です」「新規採用職員の△△です」

(4)要旨
メールの要旨・送信した意図

(5)詳細
要旨、意図の説明

(6)締めのあいさつ
「以上よろしくお願いいたします。」「今後ともよろしくお願いいたします。」「お忙しいところ恐縮ですが、お返事お待ちいたしております」など

(7)署名
毎回統一(相手先によって、内線・外線、町のPR等署名が切り替えられるとベター)
――――――

この要素順に入れるべき場所に入れるべき内容を入力すれば、完成しますよね。すると、しっかりと考える時間をかけるのは「(4)要旨、(5)詳細」だけであることが分かります。
実際の研修でも、7つの型にはめて考えると1通のメールの作成時間が減った!というスピード改善は絶大です。

先日、高校生にメールの書き方を教える機会がありました。研修前は先生や大人に向けてメールを書くのに何時間もかけていたそうですが、7つの型を学んだあとは、1通15分程度まで短縮できましたし、さらに「これで大丈夫な気がします」と書いたメールは立派にビジネス上でやりとりされるメールと同等でした。
同じ研修を実施した場合、単純な添付ファイル送信くらいなら、社会人のみなさんなら数分程度に短縮されます。書き慣れてないために不安で、正しい表現を頻繁にネットで探している、何度も自分のメールを見返しているせいで時間がかかっているという方は7つの型を意識して書き進めてみてください。

ポイント3
要旨を上手に書く人のメールは分かりやすい

(4)の要旨は、相手に「分かりやすいメール」か「何が言いたいか分からないメール」かという印象に左右します。要旨を書くことで結論が先に来ます。そのため、そもそも上手に要旨を書く人に共通することは、このメールは何を伝えたくて、どのような返事が欲しいのか、メールを書く目的が明確であることです。
一方で「何が言いたいのか分からない」自分が受け取ったときにも、そのように思うメールの多くに要旨が書かれていません。7つの型でカバーできるので、忘れずに意識してみてください。

そして(5)の詳細。1番たくさんアドバイスがある部分ですが、全メールに共通するポイントの一つとしては「一度読めば、理解ができるように。相手が読みやすい、分かりやすい」を意識して書くことです。一度最後まで読んだ後「これ、どういう意味なんだろう」ともう一度見返して読ませるメールはNG。これは相手の読取力が低いのではなく、送り手の書き方のスキルに問題があります。相手に熟読させなくても分かることが、詳細を書くときの重要ポイントの1つです。

型を知らなかったがゆえに発生した新人のメールトラブル

とある民間企業であった事例です。この7つの型を知らない新入社員A君がメールの本文の欄に1行だけ「資料確認済み」とだけ書いて先方に送ってしまったそうです。その後、先方の企業から、A君の上司に苦情の連絡がありました。上司は「メールの一般的な書き方くらい、社会人なら知っていて当たり前、うちの新人が申し訳ありません」と謝罪をされたそうです。

しかしこれは、責任を個人のスキルの問題にしてしまっています。「研修で教えていない、上司が指導をしていない、それは組織の問題である」ということを先方から指摘され、初めて学ばずに、教えもしていないのに、誰もが当たり前にできるという認識が謝りであることに、気づいたとおっしゃっていました。

もし皆さんがこの新入社員A君のように、このようなメールを住民に送ってしまったら。宛名も、挨拶もなし。自身を名乗ることもせず、基本的なビジネスマナーがなっていない、と住民に思われたら、間違いなく信頼を下げることになります。
もしかしたら「〇〇市からこんなメールが来た」と画面のコピーをSNS上に掲載されてしまうこともあるかもしれません。こうなると公務員全体の信用を下げてしまうおそれも十分にあるのです。

ビジネスメール力というのは、仕事力そのものと言われています。仕事ができる人というのは、常に先回りして動きます。メールを受信した後、相手にどんな仕事が発生するか、どういう情報を準備すればスムーズに進むかを想定しメールに反映させているのです。それだけ、丁寧に仕事を進めているということであり、結果的に相手のミスも減ります。ストレスを抱えながら無駄なやりとりを何度も行うよりも、はるかに効率的です。

さらに「〇〇さんのメールは分かりやすい」「〇〇さんとの仕事はスムーズに進む」は積み重なり、相手の方からの信頼にもつながっていきます。ビジネスメールも、コミュニケーションツールの1つ。信頼関係を築ける、気持ちよいやりとりができるように、最低限のルールを守るところから、心掛けていきましょう。

 


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身の回りの片づけは心の片づけ。職場や家庭をスッキリすることで、効率アップ・自己成長・人間関係の改善など。片付けがもたらす効果は心理的にも効果がある。そんな職場や家庭の「日々を整える片づけ術」をテーマに、元・自治体職員で、現在はオフィス業務効率化コンサルタントとして活躍している長野ゆかさんに連載の執筆をいただいた。


プロフィール

株式会社オフィスミカサ 代表取締役
長野 ゆか(ながの・ゆか)

大阪府生まれ、大阪府内中核市にて情報システム部門所属、15年勤続を経て独立。
現在は、文書(書類・データ)ファイリングを中心に、オフィスの環境改善・効率化などを指導。1か月で5.2トンの削減の実施。各社企業理念に沿った環境改善→業務改善(モノからコトへ)を促し、全体の業務効率アップを行う。
研修講師としては、オフィス向け(環境改善、接遇、ビジネスメール)から、家庭向け(ホームファイリング®・子育て・シニア片づけ講座)まで様々なテーマで登壇。大手企業、大学、弁護士会、自治体まで多数。述べ受講生は5,000名以上。プライベートでは、小学1年生から高校生までの3児の母。

保有資格
一般社団法人日本経営協会 情報資産管理指導者
一般社団法人ハウスキーピング協会認定  整理収納アドバイザー1・2・3級講師(全国24名) 他

著書

この1冊で安心!!新人公務員のメールの書き方』(学陽書房)

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