ジチタイワークス

【相談】現在公務員ですが、副業を考えています。どうしたら認められますか?

異動や昇進、副業、転職…公務員を悩ませるキャリアの問題。

この連載では、キャリアコンサルタントの国家資格を持ち、公務員の仕事やキャリアに関する著作も多い小金井市の堤直規さんに、公務員のキャリアに関するお悩みに答えていただく。

今回は、「公務員の副業・複業」に関するお悩みについて、執筆いただいた。

 

今回の相談者

「副業を考えていますが、どうすれば認められるのでしょうか? また、公務員にとって、副業はどんな意味を持つのでしょうか?(40代男性)」

自分の持っている資格を活かして、地域のNPOで副業をしたいと思っています。どうしたら認められますか?

 

こんにちは。本日はご相談ありがとうございます。

仕事で培ったものを活かした副業ができたらと考えている。が、それをどのように進めていけばいいのか分からない。業務との両立のために注意すべきことは何かも知りたい。職場で与えられた仕事をこなしているだけでこの先よいのかという不安も感じていらっしゃるのですね。

私は、勤めている自治体で市長から「地方公務員向けキャリアコンサルタント」の兼業許可をいただいています。また、書籍や雑誌等の連載でも兼業許可をいただいています(このジチタイワークスWEBも記事もそうです)。

兼業についてのご質問にお答えしつつ、自分らしいキャリアを拓いていく観点から兼業にどう関わっていったらよいか、考えてまいりましょう。

任命権者による「兼業許可」

地方公務員法第38条第1項では「営利事業への従事等の制限」が定められています。禁止されているのは、

①営利団体の役員等を兼ねること
②自ら営利企業を営むことおよび
③報酬を得て事業または事務に従事すること

の3点で、いずれも「任命権者の許可を受けなければ」とされています。つまり、任命権者の許可があれば可能です。

兼業は、実は必ずしも珍しいことではありません。これまでもそれなりに許可されてきました。多いのは、神主・住職との兼職や比較的小規模な農業やアパート経営などです。

しかし、そういった「伝統的」なもの以外の新たな兼業が許可されるかは自治体…もっと言えば、首長や人事部門の姿勢によって大きく異なるというのが実態です。

例えば、1回限りの講演・寄稿は、謝礼が生じても費用弁償の範囲であれば許可を要しないという自治体から、許可はもちろん内容のチェックを行う自治体、ほとんど許可しない自治体まであります。兼業についての基準を定めている自治体は4割程度とされています。

このため、兼業許可を取るにあたっては、まず、自分の勤める自治体ではどのような場合に許可等が必要で、また許可されているのかを調べるところから始めることをお勧めします。その上で、兼業許可は、

①職務の能率の確保
②職務の公正の確保
③職員の品位の保持

といった観点から行われますので、勤務時間外に行い業務に支障をきたさないこと、職員としての公正・品位を損なわないことを兼業の申請の中でも示し、説明していくことが大切です。

①に関連して、国家公務員の場合、「週8時間または1カ月30時間を超えない」「勤務時間が割り振られた日において1日3時間を超えない」とされています。また、報酬は「社会通念上相当と認められる程度を越えない額」とされる場合が多いですが、国は各府省単位で上限額を複雑に定めているそうです。特に規定を定めていない自治体の場合は、国のルールを前提に判断しておく方がよいと考えられます(※)。なお、報酬を得た場合には、確定申告をきちんとして納税することが必須です。

「副業」ではなく「複業」「福業」を

お話では、自分の持っている資格を活かして、地域のNPOでの事業でも働きたい。資格に応じた報酬は受け取れるようでありたいということですね。

自分の「本業」である自治体での仕事をしっかりと行いつつ、業務等の中で培った資格や能力を活かして役に立ちたい。それによって、自分の専門性を活かし高めていきたいというお考えは、とてもしっかりしたものだと思いました。本業の他にも職業としての柱を持つ「複業」は、複数のキャリアを歩む中で得たものが、補完・相乗効果を発揮して、本業も含めたやりがいや能力を高めてくれます。

かのP・F・ドラッガーもその著書『明日を支配するもの』(ダイヤモンド社)の中で、こうした「パラレルキャリア」について述べていますが、「パラレルキャリア」については近年注目され、いくつもの書籍が刊行されています。ご自分が読みやすいと思ったものでよいので一読してみるとよいですよ。

共通して指摘されていることは、単なる副業が金銭的な報酬を得ることを目的としているのに対し、「パラレルキャリア」、つまり「複業」では自分のスキルアップや夢の実現、社会貢献活動などのために活動するとされる点です。

本業で不足する収入を補うために行う単なる「副業」は、自分らしい働き方を築くことにつながりにくく、また、兼業許可も出にくいものです。将来を見据えつつ、地域等への貢献・スキルアップといった自己実現に向けて取り組むことがおススメです。それは、金銭以外の「報酬」=やりがい、スキルや経験、そして新たな出会い・関係づくりという面でも、大きな財産となります。

このように考えると、必ずしも金銭的な報酬を伴わない「福業」が考えられます。勤務時間外に行う、報酬を伴わない活動であれば、兼業許可も必要ありません(職務に影響をきたさないことは絶対条件です)。

私も地域での活動、特に薬物乱用防止のボランティア団体で年上の活動的なメンバーが多い中で事務局として若いうちから活動したことは、リーダーシップやマネジメントを学び実践する機会となりました。薬物だけは「ダメ。ゼッタイ。」の思いでの活動でそのときは大変で当初は失敗の連続でした。でも、それが係長・管理職として働く上での糧となりました。貴重な経験、仲間、地域の方々からの信頼という大きな財産になったと思っています。

「したい」と思ったら少しずつチャレンジを

私が許可をいただいているからでしょうか、最近、兼業についてのご相談をよくいただきます。その際には、「したい」と思ったら少しずつでも行動してみることをおススメしています。計画を立てることも大事ですが、結局のところ、踏み出さなければ始まらないですし、当初は分からないことだらけ。小さく始めて試行錯誤して学びながら少しずつ育てていく気持ちが続けていくためにも大事だと思うからです。

私の場合で言うと、最初は「地方公務員向けキャリアコンサルタント」として兼業許可をいただき、活動しようなどとは夢にも思っていませんでした。ざっと言うと、

①地域活動をした。自主研究会に参加した。組合役員を務めた。仕事等で学んだことをブログに書いていた。
②ブログを見た編集者の方から相談があって、本を書いてみた。
③そこから連載・講師等の機会が広がるとともに、働き方についてのご相談を幅広い方々からいただくことが多くなった。
④年上の方や自分とは状況が大きくことなる方等、自分の経験だけではとてもご相談に応えられない状況になってきた。
⑤それで、ちゃんとキャリアについて勉強しようと思ってスクールに通い、キャリアコンサルタントの資格を取った。
⑥キャリアについての相談を受けるようになった。また、公務員のキャリアについての連載・講師等の機会をいただけるようになった。
⑦きちんとプロのキャリアコンサルタントとして活動するため兼業の申請をした

…そんな流れなのです。

小さなチャレンジを重ねる中で、自分のできることも広がり、報酬にもつながってくる。仕事が先で報酬は後から付いてくる感じだと思っています。だから、ぜひ小さくとも何か行動を起こしてみてください。

例えば、業界誌に寄稿してみる等、それが誰かの目にとまり、何かにつながってくると私は思っています。そして、「パラレルキャリア」の足元が固まってくると、「複業」で培った意欲・スキルが本業に活かされて、より豊かに自分らしく働くことにつながってきます。

ご参考になりましたでしょうか?

「複業」「福業」は「人生100年時代」に向けて大きな意味があると、私は強く感じています。「複業」「福業」で得た知見・経験を、自治体での日々の仕事にも活かす・還元する意識を持つことで、掛け算でより豊かに働くことにつながり、また、職場からも応援してもらえるものになってくるのだと思います。
ぜひ自分らしく自分なりのキャリアを。応援しています!

※高嶋直人先生のご教示による

今回の処方箋

・兼業許可は、「自分の勤める自治体ではどうなってるか」かをまず調べる

・やりがい、スキルや経験、新たな出会いなど、金銭以外の「報酬」を大事に

・「したい」と思ったら少しずつでも行動してみる


この連載で取り上げてほしいお悩みを募集しています!コチラよりお待ちしております。


堤 直規(つつみ なおただ)さん

小金井市企画財政部企画政策課長、キャリアコンサルタント(国家資格)。

1971年生まれ。東京学芸大学教育学部卒業、同大学院社会教育専攻修了。2001年小金井市入所。前職はIT関係。情報システム係、国保税徴収担当、企画政策係長、納税課長、行政経営担当課長、新型コロナウイルス感染症対策担当課長を経て、2022年4月から現職。2018年にキャリアコンサルタントとして登録。
著書に『公務員1年目の教科書』(学陽書房 2016年)、『公務員ホンネの仕事術』(時事通信出版局)等5冊。2022年度は月刊『ガバナンス』に「キャリアを拓く!公務員人生七転び八起き」を連載。趣味は旅行と日本酒・ワイン。特にキャンピングカーでの気まま旅。
 

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