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1市2村の協力体制によって学校現場の業務改善を進める

教員の負担軽減を目指した学校事務職員の広域組織
教員の長時間労働と学校事務における業務の属人化を懸念していた塩尻市では、1市2村の関係者を組織化し、知見を共有する体制を構築。課題解決のための動きや、広域連携の工夫について話を聞いた。
※下記はジチタイワークスVol.46(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

塩尻市
教育委員会 こども教育部 学校教育課
係長 酒井 健太(さかい けんた)さん

塩尻市
教育委員会 こども教育部 学校教育課
主任 岩垂 寛樹(いわだれ ひろき)さん

塩尻市
教育委員会 こども教育部 学校教育課
塩筑南部教育事務支援室 室長
三村 英吾(みむら えいご)さん
行政職と近しい学校事務職員が学校の働き方を変えるカギ。
平成29年に文部科学省が公表した教員勤務実態調査によると、小・中学校教員の約8割が週50時間以上、学校で勤務していることが分かった。教員が授業以外の事務や管理を担うケースが多く、長時間労働が常態化。同市としても長年の課題だったそうだ。そこでカギとなったのが、学校事務職員だった。酒井さんは「彼らは予算・人事・施設管理などの業務を担っており、行政職との共通言語も多いことから、理解を得やすい存在だと感じていました。その力を借りて、様々な事務改善に取り組めば、教員の抱える負担も減らせるのではと考えました」と話す。その一方で、学校事務職員は各校で1~2人と配置人数が少なく、個々の仕事の進め方も見えにくい状況にあった。そのため、業務効率化と併せて属人化・孤立の解消を図るべく、知見を共有する組織をつくることになった。
組織化は、隣接する山形村・朝日村と共同で検討を進めた。3自治体の学校は日頃から共同で活動することが多く、自然な流れだったという。2村にはそれぞれ小学校が1校しかなく、配置される正規の学校事務職員も1人ずつ。同市を中心とした広域連携によって、地域内の事務の標準化を目指したそうだ。こうして、約3年の準備期間を経て、地域内の学校事務職員で構成される「塩筑南部教育事務支援室」が発足した。


継続的な研究や組織運営が学校現場を着実に変えていく。
また、教育長・校長会の代表者などによる「教育事務支援室協議会」と、支援室の学校事務職員・教育委員会の職員を含む「教育事務支援室運営委員会」も立ち上げられた。これは、制度改正など高度な行政手続きも見据えた体制だ。職員は支援室の進捗確認や、首長部局・外部機関との橋渡しなど、推進のサポートを担う。「学校事務職員が自治体ごとのグループで活動することはよくありますが、そこに教育委員会が入るのは珍しいと思います」と三村さん。岩垂さんは「学校現場の声を聞き、直接コミュニケーションを図ることで、取り組みを円滑に進められる関係性が築けると考えています」と話す。
令和8年4月時点で、支援室には室長・副室長を含む24人が所属している。この学校事務職員全員が、自校と地域内の学校の兼務発令を受けており、事務改善や人材育成の研修に業務として取り組んでいるそうだ。年3回実施する運営委員会のほか、一年を通して事務改善のためのテーマ研究を実施。「事務局のほか校務DX・自治体課題・業務改善・学校徴収金・財務の5グループが活動しています。自治体課題の分野では、教育委員会との対話の中から取り組みのアイデアをもらうことが多いですね」と三村さん。グループはアンケートをもとに事務局が決定しており、前年度の活動内容を把握するメンバーをグループに1人は残すなど、継続性を担保できるように調整しているそうだ。

教育委員会が参加することで業務改善のスピードが上がる。
こうした活動によって、教員の負担軽減につながる事例が生まれているという。令和5年度からは地域内の小・中学校の卒業証書を全て印刷に、証書ファイルは一括購入に変更。従来は、年度末の忙しい時期に卒業証書の一部を手書きしていたそうだが、これにより15校合計で約61時間が削減されたという。証書ファイルはコスト削減とともに、手配する手間が最小限に抑えられたそうだ。また、支援室では学校における現金での集金を見直す取り組みもサポートしているという。「これまで集金方法は各校の校長の判断に委ねられていました。しかし、集金袋を用いた現金のやりとりは、子どもにも教員にもプレッシャーがあり、朝の忙しい時間の受け渡しもリスクだと考え、口座振替の導入を推進することに。支援室という組織が一体となって、これから取り組む学校をサポートすることで、スムーズに導入できました」。
学校事務職員だけで学校の管理規則の改正や予算を伴う制度変更を進めることは難しいが、教育委員会との協力体制があることで組織的な対応が可能になる。支援室では室長と副室長の2人が同時に異動することがないよう、県の人事にも働きかけをしているという。酒井さんは「学校事務は属人化しやすいからこそ、共有知を見つけてつなぐことが大切だと思います。そのためにも、教育委員会が学校現場と共通認識をもち、改善に向けて一緒に前進していきたいです」と締めくくった。
















