大阪府富田林市

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歴史的建造物の寄贈を機に維持管理の課題に向き合う

歴史的建造物の寄贈を機に維持管理の課題に向き合う

遊休施設の利活用に関する総合支援

富田林市では、古いまち並みを構成する歴史的建造物の寄贈をきっかけに、維持管理の課題と向き合うことになった。限られた財源の中でも、受け継いできた文化的資産を守り活かすため、専門家による一気通貫の伴走支援を受けているという。

※下記はジチタイワークスVol.46(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。

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富田林市
生涯学習部 文化財課
課長 重野 好信(しげの よしのぶ)さん

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富田林市
生涯学習部 文化財課
課長代理 道家 薫(みちいえ かおる)さん

歴史あるまち並みを受け継ぐために新たな支援手法の導入に踏み切る。

令和3年、同市は「旧東奥谷家住宅」の寄贈を受けた。建物の一帯は富田林寺内町(とんだばやしじないまち)と呼ばれ、江戸時代から続くまち並みを今に残す。また、歴史的価値の高さから、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されており、その景観を未来へ引き継ぐことは市の総合基本計画にも掲げられている。「同地区内の町家は、単なる住宅ではなく地域の文化財でもあります。代々個人が所有していましたが、高齢化や後継者不足で、維持管理が困難なケースが増加しており、危機感がありました」と重野さんは振り返る。本来、建物の維持管理を担うのは所有者だ。しかしそれが難しく寄贈に至った同建物について、持続可能な新しい仕組みを考える必要性を感じていたという。

維持管理には継続的に費用がかかるが、それを市の財源だけで賄うことは難しい。すでに同市では、国の重要文化財である「旧杉山家住宅」をはじめ、「寺内町センター」、「じないまち交流館」、「じないまち展望広場」という4つの施設を管理している。さらに、保護すべき文化財はほかにもあるのが実情だ。寄贈を受けたまま放置すると、同建物がもつ価値を活かせないまま、老朽化が進んでしまう可能性もある。

こうした背景から、利活用の道筋を模索していたという同市。そんな中、近隣自治体が「阪急コンストラクション・マネジメント」とともに、遊休施設の再生に取り組んでいることを知った。同社が得意とする“コンストラクション・マネジメント”とは、発注者側の立場で設計・工事施工・運営・管理などを一気通貫でマネジメントする手法だ。よりよい施設の利活用のために、同市はこの手法を取り入れることを決めたという。




自治体への一気通貫の支援が職員の負担を大きく減らす。

従来、公共施設の事業では、シンクタンクなどが市場調査や活用アイデアの提案を行い、設計事務所が計画・設計を担当する。このように複数の業者が段階ごとに関わり、進めていくのが一般的だ。しかしこれでは、自治体が各社の情報を取りまとめる手間や負担が発生するだけでなく、途中の軌道修正も難しい。一方、同社からは事業構想の策定を含む伴走支援を受けられる。道家さんは「業務範囲が固定されておらず、課題に応じて支援の内容を組み立てられることがこの手法の強みだと思います」と話す。重野さんは以前、総務課在籍時に担当した新庁舎整備で、同手法を知ったそうだ。「自治体の職員は大規模なプロジェクトに携わった経験が少なく、事業者との関係性づくりにも限界があります。私たちにはない専門知識やつながりを補完してくれる存在として、当時から有用性を感じていました」。

令和7年にプロポーザルによって同社の提案が採択され、建物の利活用について検討するプロジェクトがスタートした。同社が窓口となり建物調査や法的整理などを段階的かつ並行的に進めることで、様々な可能性につなげられる体制を構築。職員は事業の判断や庁内の調整に注力できるため、業務の負担軽減にもつながったそうだ。

まちづくりのパートナーとともに可能性を広げていく。

令和7年には事業者に意見や提案を聞くサウンディングを実施。同社のつながりを通じて、メール・電話・対面などで15社と意見交換を行った。同建物の利活用について、立地条件などからコワーキングスペース・飲食店・結婚式場としては難しいという結果が出たそうだ。そんな中、同地区を高く評価し、観光資源としての魅力を感じたという事業者との出会いもあった。同事業者とは連携協定を締結し、今後に向けた検討がスタートしている。道家さんは「自治体だけでは、何社にもアプローチすることはできません。それぞれの反応を見ながら、二度、三度と働きかけてくれました」と振り返る。

「古いまち並みや町家の活用といっても、自治体ごとに課題があり、目指す姿は異なります。先進事例を視察したり、業務委託をしたりするだけでは解決できないことも少なくありません。だからこそ、専門知識やつながりをもち、私たちに寄り添ってくれるパートナーの存在が心強いです」と重野さん。今後も同社では、事業化と体制構築に向けて支援を行っていくそうだ。これらの取り組みは、官民それぞれの強みを活かして公共施設の新たな可能性を探る、一つの実践例となっているといえるだろう。

歴史的建造物の活用事例

歴史的建造物の利活用を検討する自治体を、同社がコンストラクション・マネジメントで支援した事例を紹介。市場調査や住民との対話、社会実験を通じて、保存と利活用の両立や新しい価値の創出、事業の実現に向けて着実に歩みを進めている。

自治体を支える一気通貫の伴走支援の全体像

事業構想から維持管理まで、一気通貫で自治体に伴走する。このように、民間ニーズの把握や、地域の状況を踏まえた事業の方向性づくり、コスト・品質・スケジュールの管理を任せられることは、自治体にとってもメリットになるだろう。

企業担当者の声

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阪急コンストラクション・マネジメント
プロジェクトデザイン部
小島 彩乃(こじま あやの)さん

従来の遊休施設の利活用では、事業構想の策定・建物調査・設計・施工など、それぞれの専門事業者への委託が一般的でした。しかし 、それらは相互に影響し合うため、全体を俯瞰して検討を進めることが重要です。コンストラクション・マネジメントでは、各業務を 切り離して考えるのではなく、一つのプロジェクトとして支援し、状況に応じて方向性を見直しながら全体最適を目指します。そうすることで、自治体は複数の事業者とのやりとりに時間を取られることなく、事業の意思決定や庁内の合意形成など、本来の役割に注力できるようになるでしょう。当社の事業は、古いまち並みや木造の町家の利活用だけではありません。自治体の課題と目指す姿に寄り添い、様々な遊休施設の再生や建設プロジェ クトを通して、持続可能で魅力ある地域づくりに貢献します。


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サービス提供元阪急コンストラクション・マネジメント株式会社

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