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【前編】給与、退職金はどう変わる?公務員の定年延長、完全解説!

「将来のために資金づくりをしたいけど、何から手を付けていいのかわからない…」「資産運用したいけど、投資はちょっと怖い」…

元公務員で、現在は公務員専門のファイナンシャルプランナーとして活躍している岩崎大さんに、気になる「公務員のお金」について本企画。

今回は、2023年度からいよいよ始まる「公務員の定年延長」について。

定年延長になると、給与は、退職金はどうなる…?気になる話題について、前後編に分けてお届けする。

2023年度、地方公務員の定年延長がいよいよ始まります。「自分の定年って何歳?」「給与って減るの?」「退職金ってどうなるの?」などなど、お悩みの職員さんも多いのではないでしょうか。

定年延長がスタートすると、生涯賃金や将来の年金見込額など、各方面に大きな影響があります。公務員世帯のライフプラン(人生単位の資金計画)も、定年延長前と後では変わってくるでしょう。そこでこの記事では、公務員の定年延長をテーマにお伝えしていきたいと思います。

なお、本記事の公開は各自治体での条例改正前となります。法律はすでに公布済みであり、条例例も総務省から各自治体へ示される予定なので、各自治体間での取り扱いが大きく異なることはないと思われますが、条例改正前の暫定の内容になりますのでご留意ください。

それでは、今回お伝えする内容は、大きく4つです。

1.    定年延長はいつから?具体的なスケジュール

2.    定年延長で給与はどうなる?

3.    定年延長で退職金はどうなる?(後編で解説)

4.    定年延長が公務員のライフプランに与える影響(後編で解説)

 

定年延長はいつから?具体的なスケジュール

2023年度にスタートする定年延長。最終的な定年は65歳ですが、一気に65歳まで引き上げられるわけではありません。次のように、2023年度から2031年度まで、2年に1歳ずつ引き上げられます。

・2023~2024年度…61歳

・2025~2026年度…62歳

・2027~2028年度…63歳

・2029~2030年度…64歳

・2031年度以降…65歳


ちょっとイメージしにくい場合は、生年月日で考えてみましょう。

・1963年4月1日以前…定年延長の影響なし(60歳で定年)

・1963年4月2日~1964年4月1日…61歳で定年

・1964年4月2日~1965年4月1日…62歳で定年

・1965年4月2日~1966年4月1日…63歳で定年

・1966年4月2日~1967年4月1日…64歳で定年

・1967年4月2日以降…65歳で定年


また、各自治体は職員に対し、定年延長についての情報提供を行うよう義務付けられました。情報提供の時期は、職員が60歳に達する年度の前年度です。

現在でも、退職予定者を集めて再任用や退職手当についての説明会が開催されていますよね。2022年度には、法改正後初の説明会が各自治体で行われる予定です。職場から案内があると思いますので、案内を受けた方は参加されてくださいね。
 

定年延長で給与はどうなる?

さて、定年延長で気になるのはやはり給与かと思います。地方公務員の給与は、基本給である「給料」と、プラスアルファである「手当」から構成されています。「給料+手当=給与」ということです。今では電子交付の自治体も多いかもしれませんが、毎月もらう給与明細にも「給料」と「手当」が載っていますよね。そんな給料・手当について、定年延長の影響を見ていきましょう。
 

給料(基本給)は7割水準になる

まず、基本給である給料の決まり方をカンタンにお伝えします。地方公務員の給料は各自治体の「給料表」にバシッと載っていて、インターネットで全世界に公開されています。

給料表は「級」と「号」で構成されているので、職務の級と号さえ分かれば、誰でも正確な給料月額を知ることができます。「まだ給料表を見たことがない」という自治体職員の方は、ぜひ例規集などでご確認ください。「4号上がったら〇〇円上がるのか」といった昇給のイメージが持てますよ。

ではここで、話を定年延長に戻しましょう。ひとことでいうと、定年延長後の給料は「給料表の額×70%」になります。つまり、延長前の7割水準になるということです。

例えば、5級93号で39万3,000円の給料をもらっていた場合、定年延長後の給料は、27万5,100円になる見込みです。
 

手当の扱いは大きく3パターンに分けられる

それでは次に手当について。ひと口に手当といっても、地域手当、時間外勤務手当、扶養手当など様々なものがありますよね。定年延長における手当の整理としては、大きく3パターンに分けられます。

1.    給料と連動するもの(給料が下がれば手当も下がる)
…例)時間外勤務手当、地域手当、期末・勤勉手当など

2.    影響がないもの(現在と同額)
…例)扶養手当、住居手当、通勤手当など

3.    別途設定されるもの
…例)管理職手当、初任給調整手当など

 

定年延長後の給料水準は再任用と比べてどうなる?

2021年度現在でも、60歳定年後に引き続き自治体で働ける制度があります。「再任用」と呼ばれるこの制度ですが、定年延長との違いについて少し触れておきましょう。

再任用の場合、いったん60歳で退職し、その後新たに職務の級が決定されるため、一般的に60歳前よりも職務の級は下がります。また、扶養手当や住居手当など、再任用職員は対象外の手当もあるため、結果的に収入は大きく減少します。

一方、定年延長の場合は、60歳前と同一の職務の級で引き続き勤務するため、再任用よりも職務の級が高くなる見込みです。また、扶養手当や住居手当など諸手当も出ますので、再任用よりも収入が増えるケースが多いと思われます。

 

「定年延長で退職手当はどうなる?」「ライフプランにはどう影響する?」
後編に続く


【後編】給与、退職金はどう変わる?公務員の定年延長、完全解説!
 

 


岩崎 大(いわさき・だい)

公務員専門FP事務所代表。1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、CFP®。

1984年生まれ。熊本県出身。自治体職員として、生活保護・地域おこし・防災・選管・児童福祉などの業務に携わる。在職中にFP資格を取得し、2017年に退職・独立。公務員世帯に特化した独立系FP事務所を運営中。

ブログやメルマガ、YouTubeなど各種メディアで「公務員にとって本当に役立つお金の知識や情報」を発信中。YouTubeチャンネル「公務員専門FP」はチャンネル登録者7,000名(2021年10月時点)。
 

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