第2回「なるほど!公共FM知恵袋」
日本管財(株)の運営するオンラインサロン「公共FMサロン」とのコラボ企画、「なるほど!公共FM知恵袋」。
第2回は筑西市の早瀬さんに、「筑西市における公共施設包括管理業務の取組について」寄稿いただきました。
●「なるほど!公共FM知恵袋」とは?
この企画は、部署、まち、官学民の垣根を超えオファーさせていただいた執筆者のみなさまに「公共FM」に関連するテーマで全2~3回程度の寄稿をいただくものです。
サロン運営事務局側から一方的にご依頼するのではなく、執筆者の皆さまが「発信したい」内容や、サロン会員が「聞きたい」内容を都度ご相談しながらテーマを決めていく、「知恵袋」的な双方向性のある企画となっています。
なお、各寄稿の第二回以降はサロン限定公開となります!是非この機会にサロンへの登録もご検討ください。
●「公共FMサロン」とは?
日本管財(株)が運営する、Facebookを用いた自治体職員限定の無料サロンです。公共FM実践のリアルがわかる情報を日々発信しているほか、パートナー専門家にもジョインいただきサロン会員を含めたオンライン交流会などの限定企画も実施しています!
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Q.筑西市について教えてください。
A.平成の大合併で生まれたまち。公共施設は半数が築30年以上。
筑西市は人口約10万人、面積205.3平方キロメートルの茨城県西部の都市で、平成17年に1市3町が合併し誕生したまちです。
公共施設の現状としては、築後30年経過する施設が半数以上を占め、多くの自治体と同じく老朽化への対応が大きな課題となっています。
今後の少子高齢化や人口構造の変化などによる公共施設等の利用需要の変化を踏まえると、更新・統廃合・長寿命化等を計画的に行い、財政負担を軽減・平準化すること、そして、公共施設等の最適な配置の実現が必要と考えています。
Q.筑西市の公共FMに向けた取り組みについて教えてください。
A.公共施設包括管理業務委託を導入!
公共施設の課題が多くあるなかで、まず必要なことは今ある施設を適正に維持管理することと考えました。そこで、平成31年4月より公共施設包括管理業務委託を導入しました。
市内62の公共施設(庁舎、福祉施設、公民館、学校など)について、保守点検等の管理業務を施設管理が専門の民間事業者に一括で発注するというもので、本サロンの運営もされている日本管財さんと5年契約を締結しました。
Q.包括管理の目的と効果を教えてください。
A.導入して多くのメリットを感じています。
業務導入の主な目的と効果は3つあると考えています。
1つ目は、施設の安全管理の確保です。当市の場合は、施設管理を行う技術職員はいませんが、建物管理のプロによる保守点検結果の評価、年1回の建物点検、月1回の巡回点検により危険箇所を早期に発見・指摘いただいています。それにより、施設管理者は速やかな修繕対応が可能となり、施設の安全・安心な管理に繋がっています。また、施設管理担当職員向けの日常点検方法などの研修会開催や、日常業務におけるアドバイスをいただくなど、施設の安全・安心の一部を担っていただいています。
2つ目は、職員の事務量の大幅な削減です。これまで職員が行っていた、見積取得、予算要求、契約、検査、支払等の事務処理が包括管理業務の導入により一本化されることで大幅に削減され、職員は運営業務や修繕対応に注力できるようになりました。
3つ目は、公共施設マネジメントへの還元です。事業者の施設管理に対するノウハウと提供いただいている施設管理システムを活用し、点検データの蓄積とその分析により、施設の客観的な評価が可能となりました。当市では現在3年目の業務に着手したところで、今後この分析結果を市全体の公共FMや次年度の予算編成等に活かしていきたいと考えています。
Q.従来の施設管理と比較するといかがですか?
A.プロの目でチェックが入る安心感
これまでの施設管理は、職員の経験や引継ぎに依存していました。しかし、施設管理のプロが施設を点検すると、今まで見過ごされてきた危険箇所や運営に支障が出かねない設備の劣化等が確認されました。施設修繕対応は市が行うことになりますが、危険箇所の指摘や劣化状況の評価をしていただけることで、その後の修繕対応に役立てることができています。
また、各施設の管理仕様を横並びで見てみると、同様業務でも内容や点検回数に差があることが分かりました。これについては施設の実情も鑑みながら仕様の適正化を図っているところです。
Q.包括管理を導入してよかった点は?
A.情報の一元管理によって情報共有が円滑に!
日本管財さんに提供いただいている施設管理システムによって、施設管理情報が一元管理されるようになりました。点検作業日、点検報告書、不具合情報の確認や図面管理などがすべてこのシステム上に登録され、担当者間で情報を共有できるので非常に便利で助かっています。さらには、先進自治体が導入している修繕業務を含めるとより効果があるようです。
当市の場合、修繕は各施設所管課において対応しているため、施設間にバラツキがあり、また、対応までに時間がかかる場合が多いのが現状です。さらなる業務の効率化を目指して今後検討していきたいと考えています。
Q.サロン会員の皆様に一言!
A.包括管理を課題解決の一手法に。
公共施設の管理責任は施設管理者および施設管理担当者にあります。特に施設の不適切な管理に起因する事故は必ず防がなければなりません。一般事務職員である施設管理者と施設管理担当者では、その対応には限界があるのも事実だと思います。
まずはこういった課題解決に向けた方法の一つとして包括管理業務の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
お問い合わせ
日本管財株式会社
担当:営業統括本部マーケティング推進部(恒川・大原)
TEL:03-5299-0851
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