
2025年で第9回目を迎える「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」。地方公務員が、全国のすごい職員を推薦して受賞者が決まる、株式会社ホルグ主催のアワードです。
2024年のアワードでは147件の推薦があり、2025年も5月31日から推薦の募集がスタート。皆さんの身近な「推し公務員」を推薦してみませんか。推薦するにあたり、気をつけたらいいことがあれば知っておきたいと思う方も多いと思います。そこで、ジチタイワークスでは2019年と2020年には審査員を務め、自身でも受賞歴がある2人の対談に潜入。審査の舞台裏や、推薦文のどんなところを見ているのか、推薦文を書くときに気をつけたいポイントなどを聞きました。
※所属およびインタビュー内容は、取材当時のものです。
『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2025』開催のお知らせページにリンクします
石塚 清香(いしづか さやか)さん
地方公務員アワード2019年、2020年審査員
一般社団法人コード・フォー・ジャパン Govtech推進コンサルタント/アグリゲート・デザイン代表/総務省地域情報化アドバイザー/真鶴町CxO補佐官/神奈川県DXアドバイザー/豊橋市デジタル化推進アドバイザー/Code for YOKOHAMA CSO/Code for Manazuru立ち上げメンバー
横浜市役所で25年にわたりICT関連の部署を歴任。金沢区役所在籍時にはオープンデータを活用したパーソナライズ型子育てポータル「育なび.net」を企画・構築し、全国的に子育てアプリが立ち上がるキッカケをつくる。その他、防災分野、行政手続オンライン化などでメディアに取り上げられるプロダクトを複数手がける。2017年には「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード」を受賞。2022年末に横浜市を退職。現在は自治体におけるDX支援および人材育成研修などを担当。
岡元 譲史(おかもと じょうじ)さん
地方公務員アワード2019年、2020年審査員
寝屋川市 教育委員会事務局 社会教育推進課長(元 滞納債権整理回収室 係長)
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2018」受賞
1983年生まれ。2006年に同市入庁後、12年間にわたり、様々な債権の滞納整理に従事し、市税滞納額70%(約25億円)削減に貢献。2024年より現職。
「滞納整理に価値を見出して伝えることで、受講者の不安や葛藤を取り除く」という独自スタイルによる研修を全国で実施し、10年間で延べ7,800人が参加。受講者が給食費の滞納ゼロを達成するなど、すぐに使えて再現性の高いノウハウを伝えている。執筆に、「現場のプロがやさしく書いた自治体の滞納整理術」「異動直後で何も分かりませんが、滞納整理をイチから教えてください!」(いずれも学陽書房)、「滞納整理のための空地・空家対策」(『税』2018年3月号)など。プライベートでは2児の父。PTA会長を務めるなど地域の活動にも取り組む。
―地方公務員アワードは、すごい職員について推薦者が書いた推薦文をもとに、審査員の方々が受賞者を選びます。お二人が審査するとき、推薦文のどんなところに注目していましたか?
岡元: 推薦文を読んで、特に心が動かされた人を高く評価しました。それを冷静に分析するなら、「推薦される職員の(実績+人柄)」×「推薦文からにじみ出る推薦者の熱量」でしょうか。例えば、実績が100でも推薦者の熱量が0なら0にしかならないし、逆に実績が50でも推薦者の熱量が100あれば、全体として突き抜けることができます。
石塚: 今は過去の推薦文がたくさんあるので、参考にして書きやすいですね。熱量はもちろん、内容としてはプロセスや人に及ぼした、よい影響が書かれているといいと思います。
あとは、推薦文の内容に加え、誰に推薦されているかにも注目しています。他の自治体職員から多く推薦されている場合は外からの印象、庁内からの推薦の場合は身近な職員がどう見ているかが分かります。
岡元: 確かにそれは感じます。
石塚: 庁内の職員から推薦されているというのは、よほどのことだなと。人間性も優れていて、身近な人に応援されていることが伝わってきます。
―反対に、オススメしない推薦方法があれば、こっそり教えてください。
石塚: 私たちが審査したときは、30人分の推薦文を読みました。結構な文章量になり、それぞれのポイントをつかんで評価するのは、なかなか難しいものです。そんなとき、1人の職員に対し、10人ほどの推薦者がほぼ同じことを書いていたことがありましたね。
岡元: そうでしたね。同じ角度で同じ話が繰り返されるより、1つでもすごい熱量で破壊力のある推薦文の方が印象に残りますね。
石塚: 推薦者が複数いるなら、みんなで相談して内容を調整できるといいかもしれません。
岡元: 職員のよいところを、それぞれ別の角度から切り取ったものが集まればすごいでしょう。例えば、実績、エピソード、人間性など、その人のよさを分担して書くのはいいと思います。800字では言い足りないから、数人で手分けする作戦はアリですね。
岡元: 推薦文を書くときのテクニックとして、キャッチフレーズで魅せるスタイルもあります。例えば、自分が審査員を務めた2020を例に出すと、イカのかぶり物をしてまちをPRする能登町の灰谷貴光さんが印象に残っています。「能登のイカした、イカれたおじさん」と推薦するコメントがあって(笑)、うまいなと。ぱっと見イカの格好をした職員を受賞させていいのかちょっと戸惑うところがありそうですが、実績も素晴らしくて、ぜひ受賞してほしいと思いました。
石塚: 地域資源のためにそこまで体を張れるというのは、実際すごいですしね。
岡元: 過去に私が推薦文を書いたときも同様にフレーズを考えて書きました。それがフックになったかは明確ではありませんが、そのとき推薦した方は受賞されていましたね。
―推薦され、受賞する人に共通する特徴はありますか?
岡元: 本人は「賞なんて、とてもとても」と控えめでも、頑張って挑戦している姿を見た近くの職員たちが応援していて、“どうしても推薦したくなる”というのは理想的だと思います。
2019の受賞者に尾道市役所の倉田麻紀さんがいらっしゃいますが、推薦文に「倉田さんとまちを歩くと、まちの人がみんな“マキさん”と声をかけてくる」と書いていた人がいて、こういう人こそ受賞すべきだと感じました。受賞によって、きっとまちの人たちも喜んで盛り上がったのではないでしょうか。
石塚: まちに出ていくことは、公務員の仕事の本質ですから。今の時代はそれが難しくなっている中で、正当にやれる人は貴重だと思います。庁内の活動で受賞するのもいいけれど、外に出て行って、外の人と一緒に何かを成し遂げたエピソードは他の人の参考になりますし、そういう人を評価できるのが、このアワードだと思います。
―昨年から30歳以下が対象となる「ネクストホープ賞」も新設されました。若手の受賞や、そのほか今後の地方公務員アワードに期待することを聞かせてください。
岡元: 若いうちから評価される機会があることは素晴らしいと思います。最近は若手の離職が課題になっていますが、若手の職員が受賞することで成功体験となり、さらに頑張ってもらえればうれしいです。
石塚: そうですね。地方公務員は、最初から希望通りの部署に行けるわけではありません。どこに配属されても、そこでちゃんと学んで成果を出せる人、“どこに行っても咲く人”が評価されるといいですね。
岡元: 1年目から望んだ部署でホームランを打てると思って入庁してくる人が少なからずいますが、公務員の仕事は、結果が出るのに時間がかかります。望んだ部署じゃなくても、前向きに泥臭く頑張っている人が受賞して、それを知った他の人が「心が折れそうだったけど、自分もやってみよう」と奮起するきっかけになる賞であってほしいです。
石塚: どんな部署でも学べることは絶対に転がっているので、それをみすみす逃すのはもったいない。自らつかみにいく努力をしている人を評価したいし、推薦してほしいと思います。
岡元: 過去の受賞者には、公私問わず経験から得た問題・課題を解決するために活動している方もいます。そんな「生きざまが公務員」である方に今後も受賞してほしいですね。
石塚: そういう方は、公務員を辞めても公務員(の精神で人生をおくる人)だろうなと思います。
岡元: 地方公務員アワードは素晴らしいことを素晴らしいとまっすぐに言えて、称賛されるべき人をしっかり称賛できるアワードです。さらに認知され、“実はここにすごい人がいる”と知ってほしい人に光が当たるきっかけになるよう、これからもずっと続いていってほしいです。
1. 地域に貢献し、住民から親しまれている様子を見たことがある。
2. 公私を超えて、自主的に地域の課題解決に取り組んでいる職員がいる。
3. 困っている人を放っておけず、つい動いてしまう職員がいる。
4. 制度や仕組みを工夫し、業務の効率化や改善を実現した人がいる。
5. 若手職員に活躍の場を提供し、成長に貢献している人がいる。
6. 新しい取り組みやアイデアを積極的に提案し、形にしてきた人がいる。
7. 表に出ることは少ないが、縁の下の力持ちとして信頼されている人がいる。
8. いつも誰かを応援し、自らも壁に挑み続けている人がいる。
9. 「あの人がいなければ実現しなかった」といえる仕事をした人がいる。
10. 新人だが、周りの力を借りながらでもチャレンジしている人がいる。
結果はいかがでしたか……?
●YESが8個以上
あなたの身近に「地方公務員アワード候補」がいます!推薦することで、その人の活躍がもっと広がるかもしれません。
●YESが5〜7個
あなたのまわりには素敵な公務員がいるようです!推薦を検討してみませんか?
●YESが4個以下
今はピンと来ないかもしれませんが…この記事を通して、日常の中の「推し公務員」を探してみてください!
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2025」推薦募集中!
【開催概要】
1)推薦文の応募受付期間(応募締切)
2025年7月7日(月)まで
2)応募・推薦方法
自薦ではなく“他薦”であること!自分自身ではなく、周囲の人が推薦文を投稿する方式。
頑張っている職員に光を当て、応援するのがねらいです。
『地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2025』開催のお知らせページにリンクします
3)結果発表等
・2025年8月中旬に、『Heroes of Local Government』 にて掲載
・2025年10月18日(土)に表彰式開催予定※変更の可能性があります
【全受賞者の活躍が書籍化され、全国書店で販売!】
昭和42年創業の「株式会社公職研」が商業出版する書籍にて、地方公務員アワード2025の全受賞者が紹介されます。この書籍は全国の書店に並びます。
▼2024年表彰式の様子