ジチタイワークス

貫通しにくい防災安全合わせガラスで避難所を自然災害から守る。

割れにくく飛散も防げる窓ガラス

公共施設は災害時に住民の安全確保のためにも活用される場所だ。しかし、自然災害によって窓ガラスが割れるなど、予期せぬ被害を受けることも少なくない。被害を最小限に抑える方法を「機能ガラス普及推進協議会」の池田事務局長に聞いた。

※下記はジチタイワークスINFO.(2023年9月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]機能ガラス普及推進協議会

鋭利な破片でけがをするだけでなく、避難所が使えなくなる可能性も。

災害発生時に避難所となる学校や公民館が老朽化し、経年劣化が危惧される自治体も多いだろう。特に注意が必要なのが、建物の中でも弱く、地震や台風などで打撃を受けやすい窓ガラスだ。「割れると鋭利な破片が床に散乱し、歩くと足裏に刺さるため、とりわけ地震の際は危険です。ましてや体育館の高い位置にある窓ガラスが割れて落下すると、大事故につながりかねません」と池田さん。

学校などで採用されることの多い強化ガラスも、実は万全ではないそうだ。「破片が粉々になるので、一定のけが防止効果は期待できます。ただし、割れて砕け落ちると窓がなくなるため風雨がしのげず、避難所として使えなくなります。また、強風が吹き込むと、屋根を押し上げ、その風圧で屋根が飛ぶ二次被害を引き起こしかねません」。

実際に平成25年には、埼玉県内の体育館の窓ガラスが突風によって多数割れ、屋根が吹き飛んだ。また、令和2年には長崎県内で、令和4年には宮崎県内で避難所の窓ガラスが割れてけが人が出ている。「ガラスは割れるものです。だから避難所の窓ガラスが割れたとき、被害をいかに小さくするかを考えることが大切です」。

暴風雨で飛来物がぶつかっても丈夫な構造が守ってくれる。

窓ガラス破損による被害を防ぐため、同協議会が避難所への普及推進活動を行っているのが「防災安全合わせガラス」だ。同製品はガラスとガラスの間に、厚さ約1.5㎜の樹脂製の中間膜を挟んだもの。その中間膜は耐貫通性に優れているため、暴風により飛来物が窓ガラスに当たっても突き抜けにくいのだという。

「自動車のフロントガラスと同様の構造が採用されています。事故の衝撃で運転手が窓ガラスに衝突しても車の外に飛び出さないのと同じように、飛来物の貫通を防いでいるのです」。

次に注目すべき点は、万が一割れてしまっても中間膜によって破片がほとんど飛び散らない点だ。「強い衝撃を受けるとヒビは入りますが、割れたガラスが飛散することなく窓としての形状と機能を保つことができます。そのため仮に割れてしまったとしても、引き続き避難所として活用することが可能です」。ちなみに窓ガラスが割れたときの破片の飛散率は、一般のガラスが約50~60%。それに対して同製品は約1%なのだという

これらの数値からも高い防災性や安全性を発揮し、被害を最小限に抑えることが期待できる。

※一般社団法人板硝子協会 委託実験結果より

国の交付金を活用できる場合は最大2分の1の費用補助が。

災害時に高い効果を発揮する同製品だが、公立の小・中学校、高校における導入率は、令和2年時点でわずか約2.6%にとどまっているという。「障壁の一つにコスト面が考えられますが、実は学校に導入する場合、条件を満たせば『学校施設環境改善交付金』の活用が可能です。学校の長寿命化を図る改修に対し、費用の3分の1が補助対象に。校舎の長寿命化改修と、ほかの公共施設との複合化・共用化を兼ねた改築・改修をすれば、改修費の補助は2分の1になります」。

また、導入が進まない理由はコスト面以外にもあるのではないかという。「窓ガラスが割れたときの危険性は、災害時に初めて気づくものです。まさか割れると思わなかったという声をよく聞きますし、平時に危機感を抱くのは難しいのだと思います」。そこで同協議会では平成29年から、学校や自治体に防災安全合わせガラスの寄贈や出張授業を開始。認知度や防災意識向上を図っている。幸い災害は起こっていないものの、“通常の体育授業で子どもがぶつかっても安全になった”という声が届いているという。

災害時に住民が身を寄せる避難所は、安全性の確保が欠かせない。ガラスによる被害を最小限にする備えが、住民や学校で過ごす子どもたちを守ることにつながるだろう。

機能ガラス普及推進協議会
事務局長
池田 直輝(いけだ なおき)さん

担当者の声

万が一を想定して、備えをしておくことが大切です。国の交付金が活用できる場合もありますので、ぜひ気軽にお問い合わせください。


強度の違いがよく分かる実験動画を公開中

同製品について、ほかのガラスとの比較など、強度を示すための実験動画を公開している。

ガラスの破壊実験動画はこちら

 

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サービス提供元企業:機能ガラス普及推進協議会

TEL:03-6450-3926
E-mail:n.ikeda@itakyo.or.jp
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