ジチタイワークス

大分県豊後大野市

【山中 萌さん】業務プロセスを見直し、身近な問題から着手を!

※下記はジチタイCLASS(2022年5月発行)から抜粋しており、記事は取材時のものです。
※誌面掲載のアンケートは、ジチタイワークス会員を対象に令和4年1月14日~2月7日に実施したものです

やまなか めぐみ● 2020年7月サイボウズ株式会社に中途入社。前職が公務員である経験を活かし、現在は「自治体のお客さま向け営業活動」に従事している。

自治体職員の声
Q.最近よく聞く「DX」は、何からどのように始めたらいいですか?

先生の答え
A.業務プロセスを見直し、身近な問題から着手を!

「DXの推進」で重要なことは何ですか?

DX推進では、単なるツールの導入ではなく、「業務プロセスの見直し」にもとづいた取り組みであるという点が重要です。今、自治体の現場ではDXという言葉が一人歩きして「とにかくDXを進めなくては」「ツールを入れなきゃ」といった思考に陥る傾向も見られます。しかし、そのまま進めてしまうと、ツールは導入したが十分に活用されないといった結果になりがちです。そうではなく、まずは業務の中で「仕事量が多い」「ミスが起こりがち」など、職員がストレスを感じる部分を拾い上げ、何を改善すればいいのかを明確にすることから始めましょう。DXを壮大なものだと捉えず、「目の前の業務をラクに、前向きに変えていくものだ」と考えて取り組むことが、結果としてDX推進につながるのだと思います。

ここで大切になるのが、仲間を巻き込むということです。私自身が元公務員であることに加え、この仕事を通して多くの自治体から話を聞いてきましたが、まわりをうまく巻き込めずに、孤独を感じながら業務改善を1人で進めようとして、結局頓挫してしまったというケースも多く見てきました。業務改善はひと筋縄ではいかず、1人だけで成功させられるものでもありません。「共感を生み、仲間を増やして、チームで取り組むこと」をオススメします。

 

「業務プロセスの見直し」においては、どこがポイントになりますか?

業務プロセスの見直しについては、改善が必要だと思う職員がいる一方、そうでない職員もいるかもしれません。そもそも「問題」といっても捉え方が個人間で異なるケースも考えられます。そこで活かせるのが「問題解決メソッド」です(図1参照)。

これは当社独自のフレームワークで、ポイントは理想の設定が最初に置かれている点です。例えば、業務の中で「ここがもっとラクになったらいいのに……」という理想を最初にすり合わせ、「今どのくらいの人員と時間を割いているか?」「ミスはどれだけ起きているか?」といった現実を分析します。そして、その理想とのギャップを問題と定義し、そこから原因を考え、解決に向けて行動するというステップで進めていきます。

初めに理想を提示するのは、未来を共有することで誰もが自分事として捉え、問題解決に向き合う姿勢を生むためです。まわりを巻き込んで取り組むためにも最初の段階で「こんな未来が待っている」ということを伝え、みんなで頑張ろうという意識を生み出すことが大切です。この流れで進めることで、解決への道が明確に見えてきますし、同時に共感する仲間も集まり始めるといえるでしょう。

 

「問題解決」を進める上で必要なコトはありますか?

解決に向けて必要なのは「仲間と武器」です。仲間とは、理想を共有したメンバーで編成したチームのこと。武器とは、DXを進める上で使うツールのことです。ひと口にツールといっても様々ですので、ここでは、「サイボウズ」のソリューションを例に挙げて説明したいと思います(図2参照)。

当社では、自治体の業務改善に役立つツールを提供しています。簡単な操作でアプリを作成できるクラウド型業務改善プラットフォーム「キントーン」と、職員間の情報共有を効率化するグループウェア「ガルーン」です。キントーンは、簡単に説明すると、業務に必要なシステムを簡単に作成できるプラットフォーム。自治体では、「各方面から集まるデータの取りまとめが大変」「エクセルでのデータ集計に手間取る」といった問題の改善に活用されています。また、ガルーンは、庁内の情報共有に必要なスケジュール管理や掲示板などの機能が揃ったグループウェア。予定調整で時間を費やしたり、過去のファイルを探すのに手間取ったりといったムダを削減でき、ペーパーレスにも貢献します。

これら2つのソリューションで共通しているのは、働きやすい環境をつくるために、必要な情報を共有していくツールだということです。例えば、他課との情報共有がうまくできていないと、何か情報を求められるたびに必要なデータを取りまとめて他課にメールで送るといった対応が必要になりますが、そうした作業が積み重なって忙しくなれば、業務改善が後手にまわるという負のループに陥ります。こうした問題も、情報共有の仕組みで解決できるはず。つまり、自分たちがラクになるツールが、そのまま業務改善の「武器」になる、ということです。

 

自治体特有の「壁」をクリアするには?

業務改善のプロジェクトを進める上で、重要なステップは5つあると私たちは考えています(図3参照)。1つ目が「問題の明確化」。実際に起きている事象にもとづき、定量的・具体的・客観的に、どんな問題かをはっきりさせます。併せて優先順位も決めていくといいでしょう。そして次のステップが「原因の追究」です。業務の中のどこで問題が発生しているかを特定します。繰り返し検証し、部署内で確認しながら進めましょう。問題と原因が整理できたら「手段の策定」を行います。解決手段としてシステム導入が本当に最適なのかを検討し、より有効な手段を決めます。業務改善において、システムの導入はあくまでも選択肢の1つで、ほかの手段もあり得るからです。

次に、「法令規則の整理」に入ります。条例や規則などは自治体ごとに異なるので、問題になりそうな点をあらかじめ整理しておくことも大切。ちなみに私たちも「個人情報の管理をクラウド製品でやっていいのだろうか」という相談を受けることがあります。それに対しては、各自治体の個人情報保護のルールを踏まえ、まずは個人情報を含まないデータから管理を始めるといった方法をご紹介することもあります。また、ツールの導入に際し、ルールそのものを改めて見直す自治体もあります。このように、壁をうまく回避しつつ進めることをオススメします。

そして最終ステップの「ツールの候補と費用の精査」。他自治体で先行事例がある場合は、その自治体に確認すれば費用対効果など詳細な情報が収集できます。もちろんシステム提供事業者からも製品の概要や費用感などの情報をもらい、類似サービスと比較・精査を進めていきます。この5つのステップを1つずつ、丁寧かつ迅速に進めていくことが大切です。

 

新しいことに対して抵抗感を示す職員への対応は?

まず、なぜ抵抗感が生じるのか考えてみましょう。おそらくその人には、「理想を押しつけられている」とか、「取り組みをやらされている」といった感覚があるのではないでしょうか。だとすると、一緒に進めていくのは難しくなるので、最初のステップに立ち返ることが必要です。取り組みが理想にたどりついたら、メリットを享受できるのはその人自身で、そのままでは何も良くならないということを再度共有する。つまり職員一人ひとりが主人公だと認識できれば、個々のモチベーションは上がっていくと思います。

また、こうしたケースでも他自治体の事例や取り組み方は参考になると思います。業務改善がうまくいく事例の共通点としては、「職員の巻き込み力が高い」という印象を受けます。自治体からの出向で働いている当社のメンバーから話を聞くと、 全庁的な業務改善に成功している自治体は、業務改善を推進する庁内コミュニティなどをつくっていたり、DX部門の方々が「原課職員が、自分たちの業務を良い方向に変えていってほしい」 という強い意思をもって、 説明会やワークショップを積極的に行っていたりするようです。そうした積み重ねで思いが伝わり、認識も広まって、結果的に全庁的なDXが成功しているのだと感じます。

 

DXを学びたい公務員へメッセージをお願いします!

私自身、公務員だった頃はDXを自分事として捉えていませんでした。しかし今の仕事に携わるようになり、「自分の業務をより前向きに変えていけるのがDXだ」ということに気づきました。この発見こそがDX推進の原動力になると思います。そうした動きの中で当社のソリューションが役に立てればうれしいです。

キントーンもガルーンもこれまで多くの自治体で導入していただいており、残業時間の削減やペーパーレス、ミスの減少などの効果が業務改善の成功事例として紹介され、導入へのハードルを下げているようです。また、当社が提供する自治体職員限定の情報交換コミュニティの「ガブキン」では、他自治体が作成したアプリのテンプレートがダウンロードでき、「パッケージソフトが自分たちには適用せず、導入できない」「担当者の異動で引き継ぎがうまくいかない」といった、自治体ならではの壁を突破するのに有効だと評価されています。

こうしたサービスやツールを活用して業務改善ができれば、本来注力するべき仕事に時間を割いたり、新たな施策に取り組んだりすることができるようになるはずです。そして、そのような取り組みを進めていくと「うちの課でもできるのでは」というマインドが広まっていくと思います。自治体DXにおいては、必要に応じて民間事業者の力を使っていくことも有効です。私たちも全力でバックアップしますので、理想の未来に向かって一緒に進んでいきましょう!

 

財政課の課題対策から始まった取り組みを庁内へ展開!

大分県豊後大野市(ぶんごおおのし)
財政課 財政係
武藤 昭文(むとう あきふみ)さん

当市財政課では、各担当課のExcel帳票を取りまとめ、入力内容の確認や集計・分析、印刷を行っています。しかし提出されたExcelが担当課ごとに異なる様式に加工されていたり、最新データの保存場所が分からなかったりして手間取ることがあり、集計・分析に時間と労力を費やしていました。そこで令和3年7月からkintoneを導入した業務効率化に取り組みました。

導入時はスモールスタートでしたが、同年8月には庁内で業務改善検討会を開催、対象業務を洗い出しました。その後、複数部署においてアプリ構築を行い、効率化に成功しました。例えば「おくやみ管理アプリ」では、死亡届を受理した後、担当課が関係部署に照会し、Excel に入力された回答を取りまとめるという従来の業務が、アプリで回答を集め、集計や分析までできるようになっています。さらにプラグインを活用し、亡くなった方の情報も自動で出力できるようにしました。その結果、親族が窓口で行う手続きの時間削減につながっています。令和4年度からは、公用車の運転記録や会計年度任用職員の報酬支払いにもki nt oneを活用し、データの一元管理とペーパーレス化を進めていく予定です。

 

 

豊富な導入実績から生まれた他自治体の成功事例も紹介します!

サイボウズ製品は、全国1,000以上の官公庁・自治体・公共団体で導入実績があります。成功事例の紹介やアプリのテンプレート共有、自治体間での情報交換サポートなどを通して、自治体DXに貢献します。気軽にお問い合わせください。

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サービス提供元企業:サイボウズ株式会社

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