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議事録作成の効率化を起点に、AI活用の可能性を広げる

AI音声文字起こしツール
栃木市では、議事録作成に多くの時間を要し、職員の精神的な負担も課題となっていた。そこでAIを搭載した音声文字起こしツールを導入し、業務時間を大幅に削減。この効果をきっかけに、さらなるAI活用を見据えているという。
※下記はジチタイワークスVol.46(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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栃木市
総合政策部 デジタル推進課
課長 大塚 清孝(おおつか きよたか)さん

栃木市
総合政策部 デジタル推進課
課長補佐 兼 デジタル行政係長
福田 博紀(ふくだ ひろき)さん

栃木市
総合政策部 デジタル推進課
主査 棚橋 敬浩(たなはし たかひろ)さん
議事録作成の負担を軽減するためデジタル活用で効率化を目指す。
令和3年9月のデジタル庁発足を機に、全国の自治体でDXに向けた取り組みが加速した。同市でもこの流れを受け、令和4年4月に「情報システム課」から「デジタル推進課」へと名称を変更。それまで行っていたシステム管理に加え、庁内のデジタル施策の企画運営も進めることとなった。「その頃は、DXという言葉は知られていても、その意味や具体的な施策は職員の間で十分に浸透していませんでした。そこで、まずは庁内報で国が取り組むDX推進の説明や専門用語の解説をするなど、周知と啓発に努めました」と大塚さんは振り返る。
また、デジタル活用による業務効率化の可能性を探るため、同年、全庁を対象に業務フロー調査を実施。その結果、書類による申請の煩雑さなど、様々な課題が挙げられた。「中でも特に多かったのが、議事録作成に関する声でした。一般的に議事録作成には、会議の何倍もの時間がかかるといわれています。会議の長さや内容によっては終日かかることもありました」。当時、同市ではICレコーダーで録音した音声を職員が聞きながら、マイクに向かってその内容を復唱して文字化するというツールを導入していた。しかし、作業の時間がかかるため十分に活用されていなかったそうだ。
そうした経緯から、同課は新たな文字起こしツールの選定を開始。約10社の製品を比較し、近隣自治体への聞き取りも行ったという。その結果、使いやすさや文字起こしの精度、セキュリティ、費用などを評価し、「時空テクノロジーズ」が提供するAI音声文字起こしツール「ログミーツ」のトライアルに申し込んだ。

文字起こしから要約までAIが一気通貫で対応する。
同ツールは、マイクが内蔵された専用モバイル端末のボタンを押すと、録音と文字起こしが行える。会議の音声データとテキストはリアルタイムでクラウドにアップロードされ、WEB上の編集画面から聞き直しや修正ができる。「利用した職員は、自分の発言が瞬時に文字起こしされる様子を見て驚いていました」。トライアル当初は、同課が各部署に利用を呼びかけていたが、徐々に使った職員の間で評判が広がり、全庁へ利用が拡大していったという。棚橋さんは「大人数で行う会議では、有線マイクの接続が必要なため導入時に接続方法の説明をしました。しかし、端末の操作は簡単なので、使い方に関する問い合わせはほとんどありませんでした」と話す。
3カ月のトライアルを経て、同年11月に2台を本格導入。予算の範囲内だったことから、年度途中での導入ができたそうだ。「現場の要望があったことに加えて、トライアル時の利用者アンケートで好意的な回答が多く寄せられたんです。これらの声があったので、財政部門との調整もスムーズに進みました。同社のサポートが迅速で丁寧だったことも決め手になりましたね」と大塚さん。現在は利用予約が埋まる日も珍しくないという。
また、同ツールには生成AIが搭載されており、編集画面上で議事録の要約や箇条書きでの整理が可能だ。「生成AIが膨大なデータから重要な点を素早く抽出してくれます。会議内容を整理したいときに非常に便利で、ポイントを押さえて自動で作成してくれるので助かっています」。要約内容がイメージと異なる場合は、再度ボタンを押せば異なる切り口でつくり直せる。目的に応じて複数の要約を比較できるそうだ。
業務時間の削減効果をもとに新端末の導入検討を始めた。
議事録の作成時間について、導入前の作業時間と、導入後の令和5~7年度の平均作業時間を比較すると、年間約840時間の削減となった。これを職員の時間外勤務の単価に換算すると、年間約230万円相当の経費削減になるという。「作業が軽減されたことで、職員の精神的な負担も減りました。導入費用を考えても、それ以上の効果はあるのではないでしょうか」と福田さん。
また、同市では議会の常任委員会など、長時間に及ぶ会議の進捗把握にも同ツールを活用しているという。「これまでは、自分の出番を確認するため会議の様子を見に行ったり、連絡を待ったりする必要がありました。今は、編集画面の文字起こしで会議内容をリアルタイムに確認できるので、自席で業務を行いながら進行状況を追えます。自分の出番に合わせて会場へ向かえるようになり、効率的に時間を使えています」。
こうした手応えを受け、同課では3台目以降の導入も検討しているという。大塚さんは「ジチタイワークスを読んで、新たに開発されている“ログミーツPRO(プロ)”を知りました。当市は20人規模の会議も多いため、ワイヤレスマイクに対応できるようになると知り、興味をもって問い合わせたのです」と話す。この新モデルは、これまでのコンパクトさや精度を保ちつつ、端末をスマホサイズにリニューアルしたもの。画面が大きくなったほか、バッテリー容量も増えている。同市でプロトタイプを使ったところ、2時間の会議でもバッテリー消費は約20%にとどまった。また、新しくカメラが搭載され、会議中の資料やホワイトボードを写真で残せるようになるそうだ。

文書作成や案出しだけでなく、先を見据えて技術を活用する。
ログミーツに加えて、業務効率化を目的に様々な生成AIツールを導入している同市。希望する職員は申請して、資料作成や長文の要約、アイデア出しや情報収集などに活用しているが、利用者は全職員の10%を超える程度で、職員によって温度差がある状況だという。また、従量課金制で契約しているため、利用拡大に伴う費用の増加も課題となっているそうだ。こうした状況を踏まえて活用の底上げを模索する中で、同社が開催する“AI無料相談会”を知り、参加を申し込んだ。「令和8年度は職員向けに生成AIの体験会や操作研修も予定しています。回答精度を高める具体的なプロンプトのつくり方や、他自治体の事例も知りたくて申し込みました」と大塚さん。
同社では、このような生成AIに関する全般的な悩みに関して、今後は自治体ごとの課題や導入目的に応じた伴走支援も行うという。自治体によってAIの導入背景や期待する役割は異なる。そのため、業務の目的や背景などをヒアリングし、それに合わせたAIの使い方や、毎日繰り返し行う定型業務の自動実行、電話の自動応対をはじめとした特化型のツール開発など、現場の業務改善につながるサポートを進めていく予定だ。
同課は、コスト削減と住民の利便性向上の両立という市の考え方を踏まえ、複合的なデータ活用など、AI技術をさらに取り入れていきたいと考えている。「議事録作成の効率化で生まれた時間は、単なる削減では終わりません。この時間を企画立案など職員が本来注力すべき業務に充てることで、住民サービスの質を高めることに活かしていきたいです。また、業務負担の軽減がもたらす職員のワークライフバランスの充実は、仕事の質の向上にもつながるのではないでしょうか」。同市では今後も、職員一人ひとりのDXに対する意識改革や、デジタルリテラシー向上を進めていく方針だ。
外国語対応のための同時通訳ツール
窓口での外国語対応が増えている自治体の声をもとに、文字起こしツール開発の経験を活かして同社が手がけた新ツール“二画面型の同時通訳タブレット”。発した言葉がリアルタイムで文字起こし・通訳され、画面に表示される。令和8年の年内にリリース予定だ。

生成AI活用に向けた伴走支援
自治体の業務課題に寄り添いAIを活用し解決を目指す。
全国450以上の自治体で、議事録作成の効率化を支援してきた同社。サポート範囲をさらに広げ、業務改善を後押しする伴走支援を始動する。

CHECK!
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