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現金給付の業務を効率化し、事業費の負担も軽減する

ATMを活用した現金受け取りサービス
定額減税に伴う不足額給付で、江戸川区は令和7年度にコンビニATMで現金を受け取れる仕組みを採用。迅速な支給を重視する中で、住民は最短で申請翌日に受給できるように。効果を実感し、物価高騰対策でも活用しているという。
※下記はジチタイワークスVol.46(2026年10月発行)から抜粋し、記事は取材時のものです。
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江戸川区
総務部 課税課
係長 野村 一貴(のむら かずたか)さん

江戸川区
総務部 課税課
係長 妻鳥 圭介(めんどり けいすけ)さん
口座振込での給付は審査が長引き、委託のための費用もかさんでいた。
自治体の事業の一つとして、子育て支援や物価高騰対策など、住民に現金を届ける給付金事業がある。同区では口座振込による給付を基本とし、口座が分かる住民には事前に通知した後、変更や辞退の申し出がなければ振り込む“プッシュ型”で対応していた。そして、口座が分からない住民には確認書を送り、登録を求めていたという。審査事務は事業者に委託していたが、申請が集中すると審査に時間を要したそうだ。「令和6年度の給付金事業では、何万件もの登録申請が一気に届きました。住所や口座番号が申請内容と異なる場合などがあると、本人への確認も必要です。連絡が取れず、審査に1カ月ほどかかることがありました」と野村さん。審査が長引けば委託費がかさみ、事業者だけでは判断できない案件には職員の対応も必要となる。住民からも“申請したのに、まだ支給されないのか”という不満の声が寄せられていたという。
また、口座での受け取りが難しい場合には、住民から事前連絡を受けた上で現金を準備し、窓口で手渡していた。「1件ずつ現金を用意し、日時を調整する必要があります。個別対応となり、時間もかかっていました」と妻鳥さん。
野村さんは「課税課では、通常業務と並行して給付金事業を行っています。なるべく対応期間を短くして、早く終了させられる仕組みが必要だと考えていました」と話す。定額減税に伴う不足額給付の実施を令和7年度に控え、情報を集める中で知ったのが「ATM受取」だった。



口座確認の工程が省けて、約35%の費用削減を見込む。
「セブン・ペイメントサービス」が提供する同サービスは、コンビニや商業施設などに設置されたセブン銀行ATMで、現金を受け取れるというもの。自治体と住民ともに、同行の口座開設は不要。自治体が住民に受取番号を通知し、住民がATMでその番号を入力すると、現金が払い出される仕組みだ。「口座情報を確認する工程を省き、早期給付につなげられる点に興味をもちました。また、費用を試算すると、委託費などの総額で、約35%の削減が見込まれました」。
会計および契約部門と、必要な手続きや運用方法を協議。令和7年6月より、定額減税に伴う不足額給付に活用することが決まった。「無理にATMの活用を勧めるわけではありません。口座振込しかなかったところに新たな選択肢を増やしたいと考えたのです」。そこで、口座が分からない住民には、登録方法と併せてATM受取を案内。口座が判明している住民にも、振り込みからの切り替えも可能であることを知らせたという。
同サービス導入により大きく変わったのが、給付までの時間だ。「ATM受取を希望する人のデータを同社のシステムに登録すると、同社から希望者に案内がはがきもしくはメールで送られます。メールなら早い場合は、申請翌日に給付金を受け取ることも可能です」。また、口座確認が不要のため、審査に必要な人員も減ったという。「委託事業者と配置人数を決めていますが、約半数になったのではないでしょうか。審査期間も短くなり、委託費の削減にもつながりました」。

手間や費用削減への期待から物価高騰対策でも活用。
定額減税給付において、導入効果が確認できた同区。令和8年度の物価高騰対策の給付でも、同サービスを活用することとなった。同給付では区内全世帯が対象となり、口座不明の世帯は約10万世帯にのぼったという。該当世帯には、一定期間内に振込口座を登録するよう案内。登録がなければ、ATM受取の案内を追加で送る流れとした。「口座登録を待つ期間を約2週間設けましたが、半数弱は登録がありませんでした。そのため約4万8,000世帯に、ATM受取を案内することになりました」と妻鳥さん。また、野村さんは「住民は最短で申請翌日、遅くとも1週間以内には給付金を受け取れます。コンビニや駅などで24時間、しかも手数料がかからずに引き出せるのもメリットではないでしょうか」と話す。
利用が広がる中で、仕組みになじみがない住民から、“はがきだけで引き出せるのか”という問い合わせがあるそう。そのため同区では、説明を丁寧に行いながら利用促進を図ってきた。「活用する自治体が増え、広く知られることで、利用者も増えるのではと期待しています」と野村さん。同区でも引き続き、給付金事業における給付方法の一つとして活用していく考えだ。また、転居などではがきが届かないケースもあるため、通知の見直しも検討している。「例えば区の公式LINEで案内し、そのまま申請できれば、住民の手間も給付までの工程もさらに減らせると考えています」と妻鳥さんは展望を語る。
給付金事業の際、確認や不備対応に時間を要している自治体も少なくないだろう。ATMという新たな受給の選択肢を加えることが、早期給付と業務負担の軽減を両立させる一助になりそうだ。
身近な場所にあるATMを使えるので様々な事業の給付に活用が可能。
住民がコンビニATMで受取番号を入力して現金を受け取る仕組みは、自治体の規模や事業内容を問わず活用できるという。高校生向け給付金とヘルメット購入費支援の事業を紹介。


全国の自治体に広がるコンビニATMの活用事例。
セブン銀行ATMは全国に約2万8,000台設置(令和7年9月時点)。住民の利便性が高いことから、自治体の利用が広がっている。

CHECK!
コンビニATMを活用した自治体支援を行う
同社では、ATM受取をはじめとする自治体向けの支援を展開している。各種給付金の迅速な支給を通じて、自治体業務の効率化をサポート。
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